空き家の時代の家づくり
空き家の時代に考える住まいの価値
日本の住宅市場は、人口減少と高齢化の波に翻弄されています。2050年には、人口が約8700万人まで減少し、空き家率は現在の約2倍に達すると予測されています。これにより、私たちの家づくりの常識も大きく変わる時代が訪れようとしています。
新築のぜいたく化
かつては当たり前だった「注文住宅」が、未来では「ぜいたく品」になると言われています。
建築職人の減少や原材料費の高騰によるものです。特に大工の人数は1980年代のピーク時に比べて10分の1に減少すると予測、プレカット材など効率化が進むも、人手不足は解決できていません。悪化しかしていません。
一旦減れば、大工技術を習うこともできず、さらなる減少と、高齢化から引退のフルコンボで加速度的に進んでいくと思われます。
大手メーカーの簡単な作業しかできない自称大工さんも増えています。
大工と宮大工は、モデルと、読者モデルくらい別の職業です。
中古住宅とリフォームの時代
こうした背景の中、多くの人が中古住宅を購入し、省エネ性能を高めるリフォームを選ぶようになるでしょう。
良い中古住宅は、より価値が出ます。リセールバリュー=中古の価値が上がっていくことが予想されます。
ただし、現状では住宅ストックの多くが構造計算をされておらず、さらに24%が無断熱という課題があり、中古住宅の流通には多くのハードルが残されています。ちゃんとした中古は少ないのが実情です。
とはいえ、リフォーム市場は今後、住宅業界の中心的な存在になることが間違いありません。
そんな中で、アスベストの基準を厳しいものにしたり、構造計算を必須化したり、本当に大丈夫かしら?と思う法律改正のオンパレードです。
私たちの選択
未来の家づくりでは、「どんな家を選ぶか」だけでなく、「どのように活用するか」が問われます。
買ったら終わりではなく、きちんと商品価値を高め、他の人も欲しいと思うような住宅の購入、改装が重要になります。
地域や家族のつながりをどう維持するかも重要なテーマです。
これからは、持つ人と持てない人。知識の有無で大きく生涯の住宅コストが変わってくると思います。
そもそも買うかどうか、めちゃくちゃ悩む物件は、人に売るときも同様の考えをされる可能性が大きいです。何故悩むのか?そしてその悩みを解消できるかなど考えてみましょう。
今まで通りの選択は危険
空き家が増え、新築がぜいたく品となる時代において、私たちは家の「新しい価値」を見つめ直す必要があります。
大工の不足も法律の変化も全員同じ条件での家探しです。
弱肉強食の不動産業界の中で、きっちりした選択をすることがより重要になっています。困ったらちゃんとプロに相談しましょうね。