ある時 「愛してる」以上の言葉が必要になった 気持ちの大きさに 言葉が追いつかなかった 愛してるって伝えることに 満足できなくなった 心 言葉の宇宙空間に飛び出してみた 愛を伝える言葉を探しに 目を閉じて 意識をスッと飛ばし 暗闇の中で 音のない言葉を感じとる 無数の星のように 言葉が散財する世界 この気持ちの大きさに 似合う言葉を集め もう一度 リアルな世界に戻って 集めてきた言葉たちを見つめる そうして 生まれたのが 詩だった 詩は 愛の奥行きを
「今日は月が綺麗だよ」 なんて誘い文句で彼女を呼んだ それは口実であって 本当に見たかったのは 月に照らされた彼女の顔 月明かりが照らす車内は 笑い声が弾んだり しんと音が寝たりと 幸せが充満していた しかし 月が時計の針のように 弧を描いていく 月明かりは本心を照らす 彼女の目に反射した月の光が 湖の中で揺れる 「もう帰らなきゃ」って言ってるけど 本当は帰りたくないんだね 月は 美しい彼女の頬をつたい 夜の底に落ちていった
古都は何百年の歴史を見つめてきた いつかのこの場所では 帰らぬ主人を待ち 満月の晩にも顔を背ける女がいたかもしれない いつかのこの場所では 結ばれてはならない二人が 人知れず闇に紛れて愛を交わしていたのかもしれない しかし それらは歴史の書にも載らず 当人たちにしか わからないまま 時代とともに消えていった ぼくたち二人の関係もそうだ 公の記録には残らず 未来において 二人が深く愛し合っていたことは 誰にもわからない 密かな愛は 音もなく 形もなく 姿を消す そ
風通る清水に 風鈴の音色が響き渡る 今 夏がここにいると ささやくように そんな夏を見上げる僕らは 今 同じ顔をしている 夏の始まりにお預けをくらった後の 愛しむ顔 どしゃ降りの雨上がりとともに 晴れ上がった笑顔 魔法のキスで 奇跡が起きたときの 子どものようにはしゃぐ顔 お互いの気持ちがすれ違ったときの 悲しい顔 夏の夕陽に 名残惜しさを感じる顔 同じ景色を見て 同じことを感じ 同じ顔色になっていく 好きって 顔色まで染めてしまうんだね このまま ずっと好
キスのスイッチで 始まった愛の盛り 青い雨が 今日は激しい 車の中で蒸れていく二人は 重なり 交わり 溢れて また重なる 互いの鼓動を感じながら 幸せが逃げていかぬよう 一層強く 抱きしめ合う キスのスイッチで 終わった愛の盛り 青い雨が 今も降りしきる 車の中で蒸れた二人は この時間が永遠であれと 切に願う しかし 無情な雨は トトっ トトっと 車に当たり 時が近づいてることを知らせてしまう このまま雨に隠れていよう 二人で密ごとの続きをしよう あなたがもっ