これからたくさんの人が死にます
友達から「三浦春馬」とだけLINEが送られてきた。何かあったんだろうな、と思ってGoogleを開く。愚かにもわたしはこんなことを考えていた。①コロナ感染。②薬物使用。③逮捕。「三浦春馬」と「死」の間はそれだけ遠かった。ましてや自殺なんて、考えもつかなかった。だから、「自殺」の2文字が出てきた時、一瞬心臓が止まった。
けっこう、好きだった。私たちの世代だったら好きなドラマの何かしらには彼が出ていたと思う。わたしは映画「君に届け」の風早くんが好きだった。漫画の実写映画にしてはすごくよくできた作品だった。キャラクターと俳優のイメージがみんな合っていた。どの登場人物も悪者じゃないあの漫画が好きだった。
キンキーブーツも好きだった。あんなに演技が上手いと思わなかったし、すごくしなやかだった。わざわざ仙台まで観に行った(仙台で観たのはロッキーホラーショーだったかもしれない、あいまい。死んでいる人はバシッとしていて、生きてる人はあいまいである)。一緒に観に行けなかった母は「観に行っておけばよかった……」と悔しがっていた。人気だからまた再演するよと笑っていたのに。
最近、中学生、高校生時代にすごく好きだった人たちがどんどん亡くなっていく。一番最初は、2013年に亡くなったGleeのキャスト:コーリー・モンティスだった。「わたしたちとそう歳が変わらない人でも、こんなに早く亡くなるんだなあ」と思った。それでもまだその頃わたしは15歳くらいで、コーリーは31歳没だったから、まだまだ「お兄さん」という感じがした。次が、SHINeeのジョンヒョン。Gleeのパック役、マーク・サリング。アバンティーズのエイジが亡くなった時は、いよいよ同い歳も死ぬ世界なんだここ、と思った。f(x)のソルリ。Kpopの女性グループの中で、いちばんf(x)が好きだった。KARAのハラちゃん。Gleeのサンタナ役だった、ナヤ・リヴェラ。息子と一緒にボートに乗っていて、息子を助けた後に溺れて亡くなったと言われている。やりきれないほど切ない。そして、三浦春馬。彼がわたしとほんの5歳くらいしか変わらないことに、驚いている。
亡くなり方もそれぞれだけれど、みんなわたしが青春真っ盛りのときに好きだった人たちだった。もっともっと、わたしの人生を、あるときはドラマのキャラクターとして、歌手として、本人として、様々な形で現れて楽しませてくれるはずだった。いろんな人の人生にたくさん影響を与えるはずだった。ただただ悲しい。
ちなみにわたしは中学生の頃はGleeとKpopと名探偵コナンが好きな子どもだったんだけど、コナンにはよくこういう筋書きがある。「この部屋は密室、被害者は自殺と思われている……だけど、被害者の手帳によると明日は美容院の予約を入れているんだ!自殺をする人間が明日の予定なんか立てるはずがない!だから他殺だ!」
でも、ほんとうは、自死ってそんなもんだと思う。「死にたいなあ」と「明日エステの予約入れちゃおっ」は、共存する感情だ。それぞれが入れ替わったり、同時に存在できる。インスタグラムにキラキラした写真を投稿しながら、心は多かれ少なかれ死にたがっている。その「大波」が来てしまったとき、たぶん人は死んでしまう。
これからも、きっとこういうことがおこる。これからも、たくさんの人が死にます。これからは、同世代の名前がニュースで挙がったときに、頭の予測変換みたいなところに「自殺」という字がつきまとうんだろうな。と思った。それだけ。
使途不明金にします