ユーミンと劇団森とばなな
ユーミン、母が好きだった。
荒井由実時代のカセットかCDを全て持っていた。ユーミンをよく聴かされて育った。
私は母ほど何か一人、ひとつにハマる質ではなくて、青春のシンガー!みたいな人はいないから、ちょっぴり羨ましい。大人になると自然とそういう一本の筋や好みができると思ったら、全然そんなことなかった。とりあえず子供ができたら椎名林檎とサカナクションを聴かせよう。我が子が坂本龍一みたいになりますように。
ユーミンは、決して上手い歌手ではないけれど、作詞作曲家としての才能がものすごい。松田聖子にも呉田軽穂名義で楽曲提供をしている。あの『赤いスイートピー』もそう。
結婚して、あっさり名義を荒井由実から松任谷由実に変えてしまうのもすごい。松任谷って名字かっこいいし。そしてちゃんと離婚せず、二人三脚でやっているのもすごい。くるりとコラボしたり、スピッツとコラボしたり、精力的に活動しているのもすごい。ライブになると声ガッサガッサだけど。それもまたいい。人生初ライブはユーミンだった。
『中産階級の手に届く夢』を歌い、OLの心を鷲掴んで離さないユーミンの楽曲の中でも、共感度 No. 1はDestinyだと思う。振られた男性を見返すため、毎日努力して綺麗になってお洒落して過ごしていたのに、
『どうしてなの 今日に限って 安いサンダルを履いてた』。
分かる〜〜〜〜〜
今日に限って会っちゃう感じ分かる〜
世の人々がそれで何度泣いて来たことか〜
いま「世の男女」って書いて、男女と限定するのもだめかなと思って人々に変えてみたのですが、差別したくて男女って言いたかったわけじゃないんだけど、でも人々って書いたほうが世の中に優しいんだろうなって分かってるんだけど、なんとなくこの場では男女って言いたい。世の男は〜とか女は弱い生き物で〜とか言いたくなっちゃう。それはたぶん女=わたし、男=あくまで私の恋愛対象、として話しているからだと思う。一般論について語るように見せかけて、自分を語りたいからだと思う。結構そういうケース、あるよね。だからべつに差別意識とか男尊女卑とかではないのです。と、言ってみる。でもそういうのも時と場合によってはやっぱりだめだと思う。と、いきなりジェンダーしてみる。男、女、という言い方をするたび、聞くたびに、この言葉で傷つくであろう人を思って1nmくらい傷つく。優しい性格だからでは、ない。
そしてまたユーミンの話に戻る。わたし、大学一年生の時に劇団森の『死海に沈むブス』という劇を観て。すごく面白くて、私の友達の前に座っていたくるめるの2期上の先輩が死ぬほど笑ってたことを覚えてるんですけど、その時にユーミンの『守ってあげたい』が劇中歌で使われていたんですけど、なんか鶴とJKの恋愛シーン?みたいなところで使われてて、ほんとに死ぬほど面白いんですよ。それからその曲を聞くたびに鶴役の役者さんが小刻みにゆらゆらしながら『そーゆーどんはふとぅーうぉーりーうぉーりー』って歌ってるシーンがフラッシュバックしてしまって。
それから3年くらい前に、森の先輩(男性)の『ユーミン聴きながらよしもとばななを読んでたのが母親にバレて、それが自慰を見られた時より恥ずかしかった』というようなツイートを見かけた(フォローすらしてない人だったしもう3,4年くらい前だと思う。いきなり引き合いに出してごめんなさい)。分かる〜〜〜。分かりすぎる。ああいうテイストが好きな自分にちょっぴり腹が立ったりもする。ユーミンもよしもとばななも、母親から受け継いだ「恋愛体質遺伝子」である。『返事はいらない』というデビュー曲の『むかしに借りた本の中のいちばん気に入った言葉を 終わりの方に書いておいた あなたも好きになるように』という歌詞なんか、もうユーミンの歌詞でありながら同時によしもとばななですらあるって感じ。そして私もこういうことやりがち〜夢見がち〜痛い〜ということで痛さを自覚してるふりしちゃう時点でばななにもユーミンにもなれないわたし〜そしてきっとこういう世界観に浸る自分がばれて相当恥ずかしかったのだろう森の先輩〜
そういうわけで、ユーミンと劇団森(と、時々、よしもとばなな)はわたしの中でなかなか切っても切れない関係というか。ちょっと思い出してフフフとなっちゃう、関係。
母のオススメユーミンベスト5
1 DESTINY
2 カンナ8号線
3 守ってあげたい
4 よそゆき顔で
5 翳りゆく部屋
娘のオススメユーミンベスト5
1 ひこうき雲
2 返事はいらない
3 カンナ8号線
4 14番目の月
5 DESTINY
※この記事をおおかた書いたあと、母親にLINEでユーミンベスト5を聞いたのですが ドンピシャでDESTINYが1位に来てて、しかも守ってあげたいが3位で、やっぱり親子ね……と少し感動してしまった。
使途不明金にします