自分でシャツのアイロンをかける
最近は、カジュアルなシャツやTシャツで会社に行くことも多く、アイロンが必要なシャツを着る機会は減った。
アイロンかけたてのシャツ
シャツを着る、洗う、干す、取り込む。そして最後にアイロンをかける。シャツがシャツとして再生する瞬間である。シャツはアイロンかけたてで、ハンガーにかかっている姿が一番好きだった。
自分でアイロンがけする理由
アイロンがけをするようになったきっかけは、クリーニング店の糊付けが嫌いな自分に気づいたことである。クリーニング屋さんにお願いすると、アイロン効果を長持ちさせるために糊付けをしてくれる。
しかし、この糊付けはシャツの着心地を台無しにする。どんな生地のシャツを着ても、同じような着心地になる。極端なことをいうと麻でも綿でも同じようである。シャツ選びは、サイズもカタチも大事だが、生地も重要な要素である。生地の良さを感じる時間はサイズやカタチよりも圧倒的に長い。その生地の良さを台無しにしてしまうのが糊付けである。
さらに糊付けされたシャツにはかなりの確率で生地が折り重なった筋ができている。これは着ているあいだずっとそこにあり続ける。
このように自分としては恩恵を感じない糊付けを回避するため、自分でアイロンをかけるようになった。
立ってかけるアイロン台の登場
自分でアイロンをかけるようになった頃、結婚をした。会社の同僚が結婚祝いをくれるというので、立ってアイロンをかける用のアイロン台をリクエストした。そしたら、想像を超える立派なアイロン台が届いた。
我が家のアイロン台よりいいものですが、こういう形のアイロン台です。
結婚前は自室で低いアイロン台に向かいあぐらをかいてアイロンを当てていた。その姿勢がつらくて、一度にあてられるのは5枚が限度だった。そこでそのころ雑誌でよく見かけていた「立ってあてられるアイロン台」を希望したのだ。立ってアイロンがけするほうがつらいと思っている人が多いと思うが、実際は座ってやるよりも圧倒的に疲れない。腰を曲げる必要はなく、腰や膝付近に鬱血することもなく、長時間座っている時のような腰膝の痛さはない。座ってやっていた頃は5枚で足腰が限界だったが、立ってやると10枚を超えることも可能である。結果、結婚記念にもらったアイロン台は
25年以上、我が家で愛用されている。
プロのアドバイス
同時に、シャツ屋を営む友人から、プロらしいアドバイスをもらった。
「アイロンは裏から当ててみてください。シャツの作りがよくわかって、キレイに当てられるようになりますよ」と。
確かに裏側からシャツを見ると、縫い目の走り方、生地の折り込み方がわかり、どちらからアイロンをかければシワをのばしやすいか、裏の生地の端をどこに収めればキレイになるかなどがわかるようになった。アイロンがけがよりスムーズになり、仕上がりもよくなった。
強制されないアイロンがけ
そんな感じで、アイロンがけはずっと好きな家事だ。今はパリッとアイロンの当たったシャツでなくても会社に行ける時代である。だから、誰かにアイロンがけを強制されるようなことはない。強制ではなく、アイロンをあてて着たいシャツに、自分の意志でアイロンをかけている。
アイロンをかけてハンガーにかかったシャツを見ると、なんとも言えない満たされた気持ちになる。靴磨きの後と同じだ。