「なんでもできるおもしろい下川」を次世代へ繋ぎたい
下川でのリアルな暮らしぶりを町内の方にお話ししていただくコーナー。
今月は下川町の歴史を次世代へ継ぐべく、語り部を担う近藤八郎さんです。
生まれは滝上町という、下川町の南東にある町です。
家族が蹄鉄業を営んでいた関係で、子どもの頃に下川町に引っ越してきました。下川町は鉱業と林業が盛んで、当時は馬がたくさん飼われていたんですね。
だから滝上町よりニーズがあったんだと思います。一度、半年ほど江別市に住んでいたことがありますが、それ以外は下川町を出たことがないんです。学校を卒業してから、しばらくして下川町役場で働き始めました。
役場では、ごみ処理施設の導入に携わったり、いろんなことをやりましたね。市町村合併についても相当議論しました。
鉱山が休山して、過疎率が全国4位、北海道で1位になったこともあるくらい、人口流出が激しい時期もあります。
後継者が減って、農業や酪農を廃業して出て行く人も多かったです。下川町の今後の方針を決めるために、各家庭にアンケートを配布して全戸から意見を集めたこともありました。
そしたら90パーセント近くの人が合併に反対だったんです。もちろん、隣にある名寄市と合併した方が経済的にも安定するのではという意見もありました。でもほとんどの町民の方々は「下川町がなくなるのはいやだ」という気持ちだったと思いますね。
役場職員を退職した後は、議員も務めましたが任期が終わってから、町のことを紹介する語り部をやらないかと声をかけられました。
学芸員などの資格はありませんが、下川町の今までの変遷を見てきた自負はあります。
だんだん下川町の歴史を知る人も減ってきていますし、自分にできることがあればと思って引き受けました。
現在は町内にある「下川町ふるさと交流館」という施設で語り部をしています。開拓後の歴史や、当時の暮らしに使われていた生活道具や資料が集まっている場所です。
新型コロナウイルスの影響や人手不で、なかなか開けられない期間が続きましたが、私が役場職員時代に開設に関わった建物の一つですから、これからもっと活用したいですね。
語り部をやり始めてから、下川町の歴史を知ってもらえるように今まで関わってこなかったような人たちとも繋がりたいと思うようになりました。今度、中学生の授業の受け入れをする予定です。
移住してきたばかりの頃から、なんでもできるおもしろい町だなと思った記憶があります。
その印象は変わっていないですし今の下川町は、元気だなって思います。新しい人たちが集まって、いろんなことを自主的に取り組んでいるなと。北海道新聞や北都新聞の記者は「ネタに困ったら下川町へ行けば何かある」と言っていますよ(笑)。
よその町の人と話しても「どうして下川町は、よくメディアに取り上げられるのか」と聞かれることもあるくらい。心から、自慢できる町です。
Interview:立花 実咲