くまの ゆう
ただ徒然にツーリングに出かけた記憶。
昼下がりのある日、ショートカットした通勤路で見つけた可愛い人形と可愛くない瀕死のオッサン。銃撃事件に巻き込まれた挙句、突然喋り出したその人形はそのオッサンだった。
燃料探しの旅 山小屋の朝は早い。翌朝、あれほど降っていた雨は上がり朝靄の中快晴となった。他の部屋の客は隣の中国人家族を含め既にチェックアウトした様だ。 あまり早くても迷惑かと思ったが杞憂だった様だ。もう一台、泊まっているバイクのオーナーはまだ出発していない様だけど。 荷支度を済ませて、一晩の礼を告げて朝6時過ぎ出発した。 今日の予定は諏訪近くの高ボッチ高原に行くこと。あとは適当に・・どこか温泉でも浸かって帰ろうか。 先ずは自分とバイクの燃料を入れなくてはならない
さわらびの里へ さて遅い昼食は食べた。当初の予定では平湯で温泉に浸かったり安房トンネルの旧道、安房峠を探索したりして投宿する予定だったが後ろから迫っているだろう雨雲とバイクの燃料が気掛かりだった。 (今日は日曜日だし家族連れなどで温泉も混んでるだろう。だったら明日ゆっくり巡ろうか・・・) 確か宿には温泉もついていたはず。温泉に入りました、雨雲に追いかけられてずぶ濡れです!よりは、と再び安房トンネルを下りながら帰りは旧道でも良かったんじゃね?と思い出したり。 30
雨雲とにらめっこ 利賀村に来た時通った水が湧き出てるトンネルを抜けるとこの先は人気の無い山の中。上手いことこのトンネルが人が住むエリアと住まないエリアを隔てている様だ。 遠くの空が暗い。でも見える範囲全部では無い。 土砂降りの雨が来るならどこか木の下に避難して過ぎるのを待つ方が良いか悩んだが逆に今なら雨雲の縁あたりで方向転換して避ける事も出来そうだ。 時々パラパラと豆撒くような雨に当たりつつ、1時間に数台すれ違う対向車の濡れ具合を見ながら再び人の住む領域に戻った。
祭りの後、旅立ちのとき。 「なんとか約束どおり、妖精共のうちが出来たな」 ドールハウスの庭先の花壇の手直しをしている時にそう話かけてきたのはスネークだった。 スネークとはとある有名なゲームに出て来るキャラクターで伝説の傭兵と呼ばれる男。単身敵地に乗り込み数々のミッション、特に「核搭載歩行戦車」を見つけ出したり誘拐された政府要人達を救出したりした男・・・ ・・・の、アクションフィギュア。 まあ、元々はホビーショップで売られているありきたりなフィギュアだったんだけどうち
利賀村 名前のルーツとか気になる事がある。私のハンドルネームの『くまの』だと熊野大社、熊野古道、熊野筆・・と色々あり過ぎて逆にそれほどですが、身内の名前に利賀と書いて「りか」と読む者が居ます。妹ですが。 「りかちゃん」と呼ばれる人は梨花、里香、梨香、理香と数多く居ますがこの漢字を当てた名前って今まで見た事がないんですよね。名付けは亡くなった祖母なので由来は知る由も無かったり。 そこで我々探検隊は名前の由来を知るために富山の山奥の村へと向かったのであった。 神岡から利賀
アイス!アイス!アイス! カミオカンデまて金物屋、あるいはコンビニを探しながらバイクを走らせてると道の駅上宝が目に飛び込んだ。この道の駅、オートキャンプ場に隣接している、という事はちょっとした便利グッズとか、お土産にサバイバルグッズとか眼鏡のドライバーが付いたキーホルダーとか置いてあるかもしれない! そんな僅かな期待に胸を膨らませて飛び込んだ結果、ソフトクリーム片手に出てくるのでした。 今時そんなお土産無かったわ。 外気温は平湯を超えてから僅かに上昇して30度。
ト伝の湯 スノウシェッドと硫黄の跡がある岩肌、何本もの濡れた路面のトンネルを過ぎると上高地への分岐点が出てくる。上高地へはマイカー規制で入り口には24時間警備が立っているので入れない。 その入り口の片隅に丸太小屋がひっそりと佇んでいた。 中ノ沢温泉 ト伝の湯。先ほどの上高地への入り口にある管理棟で入湯料を払い鍵を受け取り入る貸切風呂だった。2020年の大雨で流されてそのまま閉業。前に入った時に写真撮ったはずだけど、アナログ写真だったのでほとんど残っていないのが残念。ネ
中央フリーウェイ 府中スマートインターから中央自動車道を西に進む。日はもう明るい。そしてサンデードライバーなんだろうな、という車も多く追い越し車線を100キロで走り続ける車のなんと多いことか。 普段なら最初の石川PA、最初のサービスエリアである談合坂PAは停まるのにソロだから、というのもあってノンストップでひたすら西を目指す。外気温が28度くらいかな、暑くなる前に甲府盆地は抜けたい、という想いが先へ先へと進ませる。 けど、困った事が起こった。 お腹が減り始めたのだ。
任意という名の強制聴取 ピンポンピンポーン チャイムが急かすように部屋に響く。 俺はインターホンに出た。 「おやすみ中すみません、多摩警察署の杉田と言います。ちょっとお尋ねしたい事がありますのでお話聞かせて頂きませんでしょうか?いや、お手数お掛けしませんので」 鍵を開けると二人の男が入ってきた。 「吉澤警部補!」 『ここだ!』 『お前たちにしては手際が早いな』 「当たり前じゃないですか!」 「よくご無事で・・」 『無事じゃない、死んでしまったんだからな』 「あ
上書きされた記憶 もう何がなんだかわからない。 急かされるように俺は会社から持ち帰った資料の入った鞄にその男の所持品を詰め込んだ。 端から見たら俺がこの男を襲い、金品を奪ったように見えているのかもしれない。 ヤバインジャナイカ マズインジャナイカ… このまま警察に連絡した方がいいんじゃ無いか…… とりあえず、落ち着こう。 家に帰って落ち着こう。 汚れた上着をその鞄を抱えるように隠しながら自分の部屋に戻った。 鍵と普段閉めたことの無いドアチェーンまで掛けると汚れた
近況報告2024年8月23日 ツーリング日記書く場所としてNOTE再開しました。元々は創作短編とか置いておく場所にしようと思っていた事を思い出したり。iPhoneのメモ帳とかツギクルに書いていた物をイソイソと移し始めてます。
第一章 日曜昼下がりの殺人 昼下がり殺人事件 昔、遊園地だった跡地のキワに人知れない山道のような路地がある。 小学生の頃はよく連れて行ってもらったこの遊園地もいまはもう無い。 以前アトラクションだったコンクリートの廃墟に無数の枯れススキが長い時間をかけて自然に戻ろうとしているかのようだった。 高校に電車で通うようになってから見つけた抜け道。 抜け道と言ってもほとんど山道、もちろん地図にも載ってない。 だけどこの道を知っているのと知らないのでは家から駅までの時間が10
プロローグ今年の夏休みは九州へツーリングに出かけたいと思い色々情報を集め始めた。何故九州に?と言う話はまた別の機会に書きたいと思う。 しかし、毎年の事ながら夏休みの日程が確定する頃には長距離フェリーの予約はほぼ埋まり、行くとすれば高速を使って自走するしか無さそう。 若い頃なら青森まで走って予約無しで北海道に渡ったり、高知まで1日で走ったりしてはいるけど、もう気力体力共に不安しか無い。 昨年は東日本大震災の遺構巡りと蔵王に一泊二日で出かけた際に意外と大丈夫だと言う自信み