ヤクルト阪神の因縁について
昨日のヤクルト対阪神22回戦で事件がありました。1対7で阪神大量リードの9回表に阪神近本選手の脇腹にヤクルト山本選手が死球をしてしまい、近本選手はその場でうずくまって立てなくなりました。それを観た現地ファンは怒号を飛ばし球場は一時騒然となっていました。
近本選手は以前に同じ個所の死球で肋骨を骨折しており1ヶ月ほど離脱していました。怪我を感じさせないほど驚異的な成績を残していたのですがまさかの展開…
キャリアハイ確実でチームも自身も好調な時にこれは不運すぎますね。
阪神ファンもそれを理解しているからか試合後SNSを中心に場外乱闘が起きていました。Xのトレンドには「#ゴミ球団」「#報復死球」等非常に物騒な言葉が並んでおり、ヤクルトファン、阪神ファン同士で恐ろしい舌戦が今も続いています。
でもなぜここまでヒートアップしているのでしょうか。死球はプロ野球を普段から観ている方なら珍しくもなく思うでしょうし、離脱に繋がる怪我もあってもここまで話題になったことは少ないです。過去に元広島前田選手の手首にヤクルトの選手が死球を当てて骨折させてしまいそのまま引退となってしまった時はかなり話題に上っていましたが、ここまでではありませんでした。
近年のヤクルトと阪神には因縁があるのは確かです。直近では7月に阪神正捕手梅野選手の手首に死球で骨折させてしまい今季絶望となった他、2021年には阪神側がヤクルト山田選手、塩見選手、村上選手に死球で塩見選手に至っては2つ死球を与えており合計4死球で不穏な空気が漂う中、阪神大山選手に死球で警告試合が出されました。他にも2020年に阪神がヤクルト戦で審判団から近本選手が試合中に記者と話していたことからサイン盗み疑惑をかけられ、翌年2021年にはまたも阪神がヤクルト戦で2塁走者近本選手の左手の動きがヤクルト三塁手村上にサイン伝達の疑惑をかけられ、有名な「動いたらあかんすよ!」に繋がりました。
これらの問題は球団間では決着はついていたのですが、ファン同士はそうもいかず、そういったくすぶりが今回の死球で大きく燃え上がってしまった形になります。
ヤクルトは2021年、2022年と連覇を達成した素晴らしいチームですが2023年はその面影は全くなく現在5位で最下位中日とも1.5ゲーム差で逆転最下位も射程圏内となっています。逆に阪神は今までの鬱憤を晴らすように勝ちまくり9月の時点で2位広島とは7.5ゲーム差で優勝も視界に入っており、チーム状況が全く真逆といっていい状態です。
ヤクルトは今季絶望、阪神は優勝しそう、という状況で、しかも相手は因縁の阪神主力選手を2名ケガさせたとあれば争いが起きることは火を見るよりも明らかでしょう。
これが仮に相手がヤクルト以外の球団ならここまで問題にはなっていなかったと思います。今期のヤクルトは死球が多く12球団ワーストの58個で中日の主軸の石川選手に頭部への死球で病院送りにしており、復帰した後も頭部付近への危険球がありとにかく印象が悪いです。
ここまで死球が多いのはヤクルト伝統で、強打者を抑えるにはインコースにシュートを投げて内角攻めをするということを徹底しています。それは野村監督時代から行われており、ヤクルトに入ったらシュートを投げられるようにするのは鉄板だったそうです。しかもホーム球場はHRの出やすい神宮なので外角でバットの先当てられただけでHRになると考えたら、内角をドンドン使うことは至上命題でした。そういうこともあってか野村野球を継承した古田選手はとにかく執拗な内角攻めを行いました。それまで頭部への死球は一発退場では無かったのですが、頻回の頭部死球が問題視されルール変更され一発退場になる程とにかく内角を攻めまくっていました。
右でも左でも強打者であれば内角を執拗に攻めるやり方は現在高津監督も行っています。優勝した2021、2022シーズンは比較的死球は少なかったので非常に効果的な内角攻めと捉えられていましたが、今年は投手のコントロールが非常に悪くインコースを要求すると死球を連発している印象です。
死球を出そうがそれでも内角を攻めないと抑えられないのは分かります。死球を恐れて外角一辺倒になると簡単に踏み込まれて打たれまくるのは想像に難くないです。だからこそ高津監督も選手を護る為に自らが矢面に立って発言して選手をかばい、自分が悪者になるから恐れずに内角を攻めろと選手に言ってるんだと思います。
良い話だと思いますが、選手も高津監督にこれ以上辛い気持ちを味合わせないように努力してほしいです。内角を突くなら最低限のコントロールがないと死球で歩かせて自分を苦しめますし、怪我でもさせたらバッシングを食らってチームに居られなくなる可能性もあるからです。
次にもし同じようなことが起こった場合どんな問題に発展してしまうのか今から怖いです。仮に誹謗中傷の嵐でも起きようものなら恐ろしいです。