無垢なる処刑人
18世紀パリ、フランス革命の最中実在した死刑執行人を生業とする一族、サンソン家の人々を描いた漫画。国から任命された誇り高い家業(ムッシュ・ド・パリ)であるが、処刑という残酷な行為から人々には死神と蔑まれる。主人公シャルルはとても純粋で穏やかな性格故に、このサンソン家に産まれた事で幼い頃から苦悩する。一方、妹のマリーは勝ち気で生意気な性格で口も悪い。笑処刑人になりたくて、生き物の解剖などを進んでやるような子供だったが、女である事で苦労しながらも自分らしく挑んで行く姿が最高にクール!
『イノサン』はどのページを取っても絵画のようで、とにかく絵が圧倒的に素晴らしい!時代もあるけど、耽美なセリフとか表現にもはや感動する。美しさと醜さが渦巻いており、ドップリと惹き込まれてしまう。
また、処刑人には全く不向きな性格だったシャルルが、さまざまな処刑を経験し成長していく姿も魅力です。シャルルとマリーは仲の良い兄妹でしたが、考え方の違いや元々の性格が真逆なのもあってすれ違ってしまうのですが、どちらも自分と向き合った故の結果であって、こちらも見どころ。
史実に基づいてるので歴史上の人物が沢山登場するが、マリーに関しては実在しているが平凡な人物だったようで、女処刑人という設定はオリジナルらしい。ブレずに自分を貫いて、世の中に中指立ててくようなマリーの生き様がカッコ良過ぎて。続編の『イノサン Rouge』はもはやマリーが主役です。
坂本眞一さんが描く『イノサン』は全9巻で、続編で『イノサン Rouge』が現在11巻まで出てます。舞台化もされたようで、マリーは中島美嘉さんが演じたとか。ビジュアルはバッチリですな👌
画力がめちゃくちゃ高い漫画で思い浮かぶのがあって、『Levius -レビウス-』なんですが。スチームパンク系のバンド・デシネ(アメリカンコミックス・漫画に継ぐ3大コミックの1つ)っぽい左開きなので最初は読み辛いけどすぐに慣れます。
昔は、絵がなんか嫌で読まないとか食わず嫌いがあったんですが、カイジがその考えを変えてくれました。笑
どんどはれ。