煩悩の果て、美しき哉。
煩悩とは、生きる時に感じる苦しみの原因。即ち、こうしたい、ああしたいという欲そのもの事。この煩悩を消す・無くすというのは仏教的に不可能らしい。なので、コントロールして上手く付き合って行くしかないみたい。その為には、とにかく自分自身と向き合う事。
この『彼女とカメラと彼女の季節』には、欲が渦巻いてる。
舞台は岩手県。なかなか地元が舞台の漫画って見掛けないからそれも嬉しい。知ってる景色や背景がよりリアルさを持たせてくれて、生々しさが増す気がした。
主人公のあかり、ヒロインのユキ、ユキの幼馴染の凛太郎。この3人の三角関係はドロドロと煩悩塗れだが、時折美しさがある。素直に清々しく吐き出された煩悩はとても綺麗に映る。でも簡単に上手く事が運んだら誰も苦労しない。すれ違ったり、苦しんだり、ぶつかったりした過程も最終的には美しいと思える。レンズ越しに出力されたものはいつも美化される。
そんな煩悩に苦悩する3人に惹かれて、あっという間に読み終えてしまう。全5巻で丁度いい読み応え◎カメラの豆知識もちょいちょいあり、フィルムカメラ欲しいな〜カメラ始めようかなあ📸とか思っちゃうようなカメラの魅力も詰まっている。
作者の月子さんはどうやら岩手県出身みたいです。通りで再現度高い!他の作品も数巻で完結するものばかりで読みやすいです。月子さんの漫画はタッチも優しいからか、あったかい空気を感じれるので癒されます♨️
『彼女とカメラと彼女の季節』が好きな人には、『坂道のアポロン』を読んでみて欲しいです。ジャズ題材の青春群像劇で、これまた良いので是非に。
どんどはれ。