#59_【視察】ニッチな博物館_ゼンリンミュージアム
都会にいますと、忙しくて手に負えない雑事や、専門的で理解に時間がかかる手続きは「他人にお願いする」という解決手段がありますが、地方ではお金を積んでも解決してくれる人がいない、ということがよくあります。
とはいえ、自分でしなければいけない分だけ、学びの機会が多いと捉えることもできます。
以前、お酒の製造免許を取得する手続きをお手伝いしたことがあり、提出書類の中に「財産の根拠を示す書類」と書かれているのを見て、最初は「なん、それ?」と思いましたが、登記という制度の仕組みや固定資産税の名寄帳(保有する固定資産が一覧になっている帳簿。市町村の税務窓口に行くと発行してくれます)というものの存在を知りました。
いま考えると、「そんなことも知らんかったの?」とツッコまれそうなくらい、低レベルの内容ですがf^_^;)。
不動産登記や固定資産に絡むお仕事でお馴染みな道具のひとつに、ゼンリンという会社が出版している「住宅地図」というアイテムがあります。
昨今では、個人情報保護の観点から、人目に触れない場所に保管されておりますが、そのゼンリンさんの博物館が小倉にあるということで、TOTOミュージアムで便器を1年分拝んだあと、行ってきました。
住宅地図やその作り方が展示解説されているわけではなく、日本が描かれた西洋製、および日本製の地図とその背景について紹介されています。
地図といいますと、いまではお金を出せば買えるのが当たり前ですし、最近ではGoogle先生のおかげで衛星地図や航空写真を手軽にネット上で見ることもできますが、むかしは軍事上の国家機密情報でした。その点から、シーボルト事件をはじめとした地図の持ち出しにまつわる事件とその後の顛末についても触れられています。
館内の大半は撮影禁止ですので、写真でご紹介できませんが、西洋製の地図でも対馬はちゃんと描かれていますし、江戸時代の地図になってくると、対馬の部分は、浦々の名前まで細かく記されているのが見て取れます。
三角点マニアの方のように、地図を道具としてフル活用される方もいらっしゃいますが、一方でデザインの美しさに魅了されるという方もいらっしゃいます。
ひとくちに地図といっても、道路地図や海図など、何を目的に編集するかで、表現の仕方が変わってきますので、そこがまた面白いところではないかと思います。
そんな地図の図柄を楽しんでしまおうという「地図工房」も、隣接しますリバーウォーク北九州の4階にあります。
地図をもとにした切り絵や、地図記号をあしらったキーホルダー、缶バッチなど様々なものが作れます。
切り絵は、北九州、福岡、長崎など市販されているものもありますが、ここに来ますと、他の場所の地図でも作れます(^^ )。
そして、リバーウォーク北九州の1階には「マップデザインギャラリー」という、グッズショップもあります。
よくできたセレクトショップという感じです(o゚▽゚)o。
福岡の天神にもあるようですが、九州は遠い!という方でも、インターネット通販で購入することが可能です。
ミュージアムの展示自体は、地図好きや歴史好き以外でも十分ウケそうな、普通に面白い内容でしたが、工房とショップの突き抜けた感じに、完全にやられました。
子ども向けのワークショップやお土産の商品企画をする人にとっても、ネタの宝庫ですのでオススメですo(^-^)。
そして、ミュージアムのキュレーターさんも、地図工房のスタッフの方々も、説明を聞いているだけで、地図への愛情が溢れているのがよく伝わってきて、非常に好感が持てました。
どうしたら、こんなにネタが集まってくるのだろうかと感心してしまいましたが、一芸を突き詰めた結果が、このような形となって現れたのかもしれません。それを感じに足を運ぶだけの価値は十分あると思います。
対馬もマニアの巣窟となるよう、精進したいと思います。
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