バスケットボールダイアリーズ
仕事場に行く途中にグラウンドがある。
そのグラウンドは海のすぐそばにあって
小さな電車の車両と
2つのバスケットボールのゴールがある。
僕は自転車でグラウンドに乗り入れて
バスケットボールのゴールの裏に停める。
いつも鞄の中にはバスケットボールがある。
ビーチサンダルを脱いで
靴下とスニーカーを履く。
鞄からボールを取り出して
ボールを突きながらストレッチ
股関節。腰。膝。
歳をとってから
腰と膝に少し痛みが出てきた。
老いるより速くと焦り。
バスケットボールを始めて1年とちょっと。
1度もちゃんとした試合をしたこともないのに。
気づけばゴールにボールを放る毎日。
始めてすぐに肉離れ。
下手すぎてボールが手につかず
突き指が続いて変形した左手の人差し指の関節。
それでもやめられないドリブルただ一人。
地面から土埃が立ち上る。
ゴールの向こうに広がる空の蒼。
真冬の夜に一人音楽を聴きながら。
時々邪魔をしにくる制服の役人。
夏の炎天下の誰もいないゴール下。
汗の滝でショートするイヤホン。
いつまでたっても決まらないシュート。
球技がまったくできなかった十代。
30年を経て果たすリベンジ。
続ける試行錯誤。
続けられる残りの年月で
僕はどこまで行けるのか。
そんなことはちっぽけで。
ボールで遊んでいる時間は無色透明で。
ボールを突いて。
音楽を聴きながら。
今日もまた。
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