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キーワードは「アテンション」と「リテンション」D2C最強のパートナー“音声メディア”

1.はじめに

私は広告代理店で10年以上、音声メディア(主にラジオ)の広告セールスや、番組・イベント企画、連動したプロモーション企画に携わってきました。

これまで自動車、飲料・アルコール、住宅、化粧品、食品メーカーから、通信事業者、アパレルブランド、通販事業者などとありとあらゆる業種の広告主の「音声を通じた」広告コミュニケーションを行っていました。

ラジオに限って考えると、2000年には2,000億円程度であった市場規模から、現在は1,200億円程度と約4割も市場規模を縮小させています。

ずっと「斜陽産業」とも揶揄されていた業界で、テレビ業界の圧倒的なパワー、インターネット業界の急成長を横目に悔しい想いもしてきました。

そんな中、2019年頃から「次は音声メディアが来る!」という話がにわかに活気付き、2020年に発表された調査では、2020年→2025年比較でデジタル音声広告市場は25倍以上の規模(16億円→420億円)と急拡大をするという結果も出ていました。

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そして、極め付けは、2021年1月に急速に拡大をした「Clubhouse」の登場です。詳細の説明はここでは割愛しますが、これまで混沌としていた音声SNSプラットフォームを一気に席巻したと言っても過言ではないほど、急速に普及している音声SNSです。
もちろん2020年に発表された上記調査にはClubhouseのことは考慮されていないので、デジタル音声広告市場の成長がさらに加速することも大いに考えられると思います。

そんな中、このClubhouseを活用し、一気に脚光を浴びた1人のD2C起業家がいました。オミさんです。

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オミさんは「食べる美容酵素ジェラート amakouji」を製造・販売されている会社を経営されています。
そんなオミさんが、Clubhouse滞在1時間で40万円もの商品が売れた!ということがありました。(※その後60分のトークで100万円分売れたとさらに実績が伸びていました。)

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オミさん自身が「革命のファンファーレ」と評されていましたが、僕もまさに音声メディアの活用の型をまとめていた際に、「これだ!」と感じたので、その考えをまとめたいと思います。(Clubhouseのハック方法ではなく、あくまで「D2C×音声メディアの可能性」です。)
序文が長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

2.D2Cと音声メディアの相性

D2CとはDirect to Consumerの略で、自ら企画、生産した商品を広告代理店や小売店を挟まず、消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。ソーシャルメディア(SNS)やECサイト、直営店舗で消費者とコミュニケーションをとり、生産した商品を販売します。アパレルブランドや美容化粧品ブランドの多くが採用している形態で、ここ数年でよく取り上げられるようになりました。
(引用:https://keywordmap.jp/academy/d2c-direct-to-consumer/)

D2C自体のメリット、デメリットの詳細もここでは割愛いたしますが、要は「何を買うか」と同じくらい「誰(どこ)から買うか」が重視される。ビジネスモデルです。

一方で、音声メディアの特徴は、
・音だけなので何かをしながら聞いてもらえる(ながらメディアと言われる)→習慣化しやすい→その発信者のファンになりやすい
・声だけだから嘘がつけない→テキストよりも感情が伝わるので、その人が本心で語っているかどうかが聞き手に伝わりやすい
映像よりもに気軽にスタートできる→着替えも、化粧も、しなくても、いつどこでもやれる可能性がある。

などが挙げられます。

D2Cブランドを盛り上げる為に必要な要素の多くが、音声メディアでカバーできると思っています。

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3.音声を始めよう!のその前に。

今、自分の音声メディアを持とうと思えば、非常に手軽に始められる環境が整っています(詳細は後述)。始めようと思えば、10分以内に自分のチャンネルを持つことも可能です。けど、一旦落ち着きましょう。少なくとも、下記が整理されないと、すぐに発信を始めても、その労力は無駄になってしまうかもしれません。

①買って頂ける価値のある商品なのか?
②一言で語れるその商品の魅力は整備されているか?
③話を聞いてくれた人の興味を喚起できる熱量はあるのか?
 →それらの根拠を具体的に示すことができるものはあるか?

①買って頂ける価値のある商品なのか?
これは、音声メディアの活用うんぬんの前に、D2Cというビジネスを行うにあたって必要な問いだと思っています。確かに「誰から買うか」が重視されるので、声を通じて人柄の良さを感じてもらい、商品購入につながる可能性はゼロではありません。ただし、買って頂いた商品が満足行くものではない場合、リピートされることはないでしょうし、もっというと悪評が立ちかねません。それはD2Cのビジネスを行うにあたり、致命的なことだと言えると思います。なので、①のところに自信がない方は、こういったプロモーションの施策を考える前に、自らの商品力を高めることを優先してください。

②一言で語れるその商品の魅力は整備されているか?
人は、興味のない人の話を長くは聞いてくれません。30分話を聞くとようやく伝わる魅力では、残念ながらそこに至る前に、多くの人がその場から立ち去ってしまい、魅力が伝わることがないでしょう。ベンチャー業界では、エレベーターピッチ(エレベーターに乗っているくらい短い時間で、投資家に対して自分のビジネスのプレゼンテーションを行うこと)と言われるくらい、短い時間で語れるくらい、自分の商品・サービスを端的に伝えられる整理が必要です。

③話を聞いてくれた人の興味を喚起できる熱量はあるのか?
音声メディアのメリットとして「声だけだから嘘がつけない」「テキストよりも感情が伝わる」と書きましたが、これはデメリットにもなり得ます。
自分の考えをまとめて、伝えるのが苦手な方もいらっしゃると思います。そういった方にはゆっくりと考えをまとめながら、想いを表現できるブログなどの方が合っていると思います。
ただ、溢れる想いを「整理して」話すことができる人は、テキストの何十倍も商品に込められた想いを伝えることができると思います。根っこに熱量がキチンとあれば、それを表現するのは、テキストよりもテクニックが必要ないと思います。

→それらの根拠を具体的に示すことができるものはあるか?
やはり、具体的な数字、エピソードというのは、相手に理解して頂くために非常に重要です。栄養分が〇〇の何倍、と言った数字を羅列すれば良い、ということではないですが、その根拠が具体であればあるほど、相手には理解されやすいです。マーケティング的にはRTB(Reason to believe=信じられる理由)と言われる部分です。これが備わっていること、というのも非常にポイントとなります。

4.では音声配信を始めてみよう!

今、音声メディアは非常に多種多彩なサービスが展開されていて、本当に気軽に自分のチャンネルを持つことができます。
ただ、サービス毎に特徴は異なるので、その特徴を理解した上で、どのサービスに自分の声を残すのかを考えていく必要があります。
またClubhouseはそれ以外の音声メディアと大きく特徴が異なるので、別項にて解説をしたいと思います。
こちらのまとめが、非常にわかりやすいので流用させて頂きます。
(ちなみにこの猫森うむ子さんのまとめは他も非常にわかりやすいので、フォローをオススメします!)

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Voicyは審査制、himalayaは少しコンテンツが雑多、radikotalkはお笑いコンテンツ向き、RECはタレント予備軍中心に支持を集めやすい、Spoonは若年層(10代〜20代前半)向き、という印象なので、個人的には「Stand fm」か「Podcast(Anchor)」(もしくはその組み合わせ)をオススメしたいと思います。

オススメの理由として、
□Stand fm
・配信が手軽(スマホ1台あれば始められる)
・アーカイブが残る(話をした内容がストック(蓄積)した資産となる)
・LIVE配信が可能(最大5人まで繋ぐこともできる)

□Podcast
・Spotify、ApplePodcastなど、すでに多くのユーザーがいるところに配信できる
・アーカイブが残る(話をした内容がストック(蓄積)した資産となる)

※収録した音源を、Stand fmとPodcast両方にアップロードすることも可能。
 ただし、その場合、Stand fmのアプリでの収録はできない。

5.キーワードは「アテンション」と「リテンション」

さて、タイトルにもあるように、ここが一番の肝だと思っています。
音声メディアは上述の通り、「ファン作り」や「想いを伝える」という意味では、非常に適したメディアです。また、ながらメディアとして、生活習慣に取り入れられやすいので、継続的に接してもらう(=リテンション)にも向いています。
ただ、「注目(=アテンション)を集める」ことが苦手なメディアでした。

なので、TwitterやInstagram、noteといった他の認知を稼ぎやすいメディアと組み合わせて運用していくことがオススメです。

さらにそこに「Clubhouse」という、今圧倒的にアテンションを稼ぎやすい音声SNSが登場したので、アテンションを稼ぐ意味で一つの手段として検討するのは非常に良いと思います。

ただ、個人的には「アテンション」と「リテンション」が両方ないと、長期的には効果は持続しないので、今は一時的にアテンションを稼ぐ意味でClubhouseに全労力を注ぎ込む!はありだと思いますが、将来的なリテンションの種は蒔いておく方が良いと思います。
※これは音声メディアだけでなく、Twitterのフォロワーが増える、というのでもリテンションを確保する意味では良いと思います。

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6.配信のコツは「継続あるのみ」

上述の通り、基本的に音声メディアは「アテンション」を取るのは苦手です。
ただ「リテンション」を保つためにも、そして音声メディアの特性を活かすためにも、「継続した発信」が唯一あるセオリーです。
そしてその中に「有益な情報 > 自分が語りたい情報」をどれだけ詰め込めるのか、というのが内容としては全てです。

これはD2Cでの活用のみならず、すでに音声メディアで発信をしている方々で、今ファンを獲得できている人が皆さん共通しておっしゃることです。

魔法のようなヒントがあれば良いのですが、これはやると決めたら、やりましょう!

ただ、それだけだと厳しいと思うので、いくつか継続していくためのヒントを記載します。

・型を作る
 →毎回の放送の構成を毎回考えていたら大変です。
  例えば、
  挨拶→チャンネルの紹介(初めての人にもわかるように)
  →ちょっとした雑談(アイスブレイク的に)
  →今日のメインの内容  → 質問・コメントへの回答 →  締め
   というような形を決めるだけでも、続けやすいです。

初期は「いかに有益な情報が聞けるか」が勝負になるので、メインの内容が7〜8割、残りでその他の情報を。
徐々にファンが増えてきて、「その人自身をもっと知りたい」となってきたら、メインの内容を5割くらいにしていっても良いと思います。

例:おはようございます! 音声メディアセールス歴10年以上。自動車からもつ鍋まで、あらゆる商品を音声の魅力で売ってきた、音のセールスマン 村上です。このチャンネルはそんな村上がD2Cビジネスオーナーに音声メディアの活用方法をご紹介するチャンネルです。
(→誰がしゃべるどんなチャンネルかが冒頭でわかるように)

音声メディアといえば、最近「Clubhouse」が盛り上がってますよね。私も友人に招待してもらってはじめてみたのですが、、、、
(→いきなり本題に入っても人柄が伝わらないので、少し日常の雑談がある方が良いです。)

で、そのClubhouseで、〇〇という商品を作っている方が、Clubhouseで自分のエピソードや商品のことを紹介したら、なんと、1時間で100万円分の商品が売れた、ということがあったんですね。どういった仕組みだったかというと、、、
(→聞いている人が参考になる、ヒントになる有益な情報が本編。また設定しているチャンネルの主旨から大きくズレるものは基本的に避ける)

ここで、前回の放送で紹介した内容に、ご質問を頂きました。〇〇さんありがとうございます。、、、
(→質問に対する返答はリスナーがファンになってくれる非常に重要なきっかけなので、丁寧に対応が良いです。名前も読み上げるのが良いと思います)

それでは今回の配信は以上にしたいと思います。こんなこと聞いてみたいというコメント、フォロー、お待ちしております!それではまた、音のセールスマン ムラカミマサヒロでした。
(→締めも定型コメントで。聞いて頂いてもフォローをして頂けるかわからないので、毎回きちんと呼びかける)

7.コンテンツのヒント「プロセス・エコノミー」

インターネット連続起業家として知られる、けんすうさんが、「プロセス・エコノミー」という概念を、最近提唱されています。
※詳しくは下記参照

要は、今までは完成した商品のみに価値があると思われ、それを販売していたが、これからはその商品ができる過程にも価値が付き、それも商品になりえる、ということです。

なので、皆さんが商品の開発をしたり、安定した生産をしたり、遅延なく商品を届けたりと日々奮闘されている姿そのものが、リスナーの方に取って、有益で、その商品を買いたくなる内容になり得るということです。

誰がどんな想いで作っているか、そして自分の手元に届くまでにどんな過程や苦労があったのか、というのは、どういった効果・効能があるか、という説明と同じように価値があり得るということです。

商品についての解説のみであれば、毎日毎日発信をすることは難しいかもしれませんが、日々の挑戦の過程であれば、発信する内容には困らないのではないでしょうか。

ただし、基本的に他人はあなたに興味がありません。なので、最初からずっとあなたの日常だけを発信していても、誰も聞いてくれないと考えてください。
少しずつファンが増えてきた上でのエッセンスくらいに最初は捉えて頂くのがよいと思います。

8.まとめ

こんな長文を最後まで読んでいただきありがとうございます。
なぜこんなにもD2Cと音声メディアのことについてお伝えしたかったかでいうと、、、自分もいつかD2Cをやってみたいという純粋な思いがあります。昔から自分で商売をやることに憧れ、実は数年間鮨屋の経営に携わっていたこともありました。

けど、やはり自分自身が本当に熱量を込めて向き合える商品に出会わなければ、商売を自分でやるのはとても難しいですよね。だから、今D2Cのビジネスをご自身でやられている皆さんは本当にすごいと思っています。

そういった人たちを少しでも自分がサポートできることは無いかと思っていた時に、SNSで改めて気づいたのは、図らずしも自分が長くビジネスを行っていた音声メディアとの掛け合わせでした。

即効性は低いかもしれません。
けど、キチンとしたやり方で続けていければ、非常に可能性のある取り組みだと思っています。

自分はこれからもD2C×音声メディアの活用をさらに研究し、良い発見があれば是非皆さんにもシェアしていきたいと思います。

逆に、もう少し具体的なアドバイスが欲しいというお声があれば、TwitterにDMでも頂けると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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