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リコリス・リコイル 第4話感想:「よきパンツ回でした」?
リコリス・リコイル第4話観ました。第3話で心の距離が縮まった千束とたきながパンツのお買い物デート(!)を通じてお互いをさらに知り合うというとてもよき回でした。私は大好きです!
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巷では パンツ回 と呼ばれています。しかしこの第4話、単に最高のパンツの回でした!とまとめてしまうには もったいない くらいの多くの要素と製作陣のこだわりを含んだ回なのです。
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私事で恐縮ですが、私はアニメに限らず製作物に込められた製作者の意図やこだわりを見つけてはニヤニヤするのが大好きです。隅から隅までこだわりで満ちているリコリス・リコイルは観ていてとても楽しい作品です。少なくとも記事を書いてしまうくらいには。
もちろん、第1話から第3話もすべて1秒ごとにこだわりが詰まっています。これらについても感想を書きたいと思っていたのですが、いざ感想を書こうと振り返りのために再生ボタンを押すとつい見入ってしまって結局1文字も書けず、リアルタイムにアウトプットする機会を逸してしまいました。
反省を踏まえて 第4話は鑑賞を3度に抑え、とりあえず記事を書き始めました。第4話を観て、しゅき!と感じたシーンや演出です。おそらく実際に関係者のみなさまが作品に対して注ぎ込んだこだわりの百万分の1も気づけていませんが、ほんの一部でも書き記すことで気持ちを共有できたら幸いです。それではどうぞ!
好きな演出
想像させて引き込む
再生ボタンを押して本編開始直後、まだ絵が一枚も出ない瞬間から第4話は始まっています。黒い画面、何も情報を与えられていない状況下で発砲音が数回。
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第3話の電車シーンから直線を引いて待っていた私は 延長線上にない予想外の出だし に戸惑いました。新たな事件?別人物の視点?過去回想?真っ黒い画面を前に状況を一瞬で想像させられ一気に引き込まれました。
画面に映るたきな。視線の先にはずいぶんとバラけた弾痕。第3話でのたきなの正確無比な射撃からの落差に、私の思考も発散します。
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再生ボタンを押してからここまでで10秒。特にクライマックスでもなんでもない出だしの演出に引き込まれていました。話をまたいで時間経過・状況変化の差分を説明せずに想像させて引き込む、しゅき。
実際はたきなが千束のゴム弾を使って試射しているシーンでした。千束のゴム弾はコントロールが難しく、第1話・第2話でドローンの狙撃を千束がたきなに任せた理由、第3話までで千束が接近戦しか使わなかった理由がここにきてやっとわかりました。不殺の誓いをした千束が この近接戦闘スタイルになったのは必然 ということを示しています。しゅき。
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ワンクッション置いて印象を強く
水族館のシーン、大きな水槽の前、千束は胸元からペンダントをとり出し、アラン機関から支援を受けていることをたきなに打ち明けます。その情報開示の仕方がとてもよきです。
まずペンダントを 裏面から見たカットでシルエットを出し、視聴者に想像させます。
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ペンダントの向き、たきなの視線の向き、カメラの向きが中央で揃っている構図がとてもおもしろいです。一瞬しか表示されないのですが、これまでのお話で何度か見たそのシルエットに視聴者は興味を引かれます。
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表面を見せてすぐにねたばらし。答えだけを見せられるよりも軽いクイズにして ワンクッション置いて「やっぱり!」となる方が印象が強くなります。思えば千束のスマホカバーはフクロウでしたね。
シーン背景に語らせる
リコリス・リコイルで平和の象徴()として登場する旧電波塔ですが、第4話にはしつこいくらい(合計6回)登場します。あくまでも背景としての登場で、決して主張するわけではありませんが、「たまたま旧電波塔が見えるロケーションだった」というわけでは決してなく、もちろん意図的に効果的に登場させています。
旧電波塔背景は旧電波塔と同じく二つの意味合いを持ちます。6回のうち4回は平和な日常の背景として、残り2回は不穏な空気を演出する背景として機能しています。
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このリコリス・リコイルという作品において旧電波塔は、作品のテーマの一つをアイコン化したものと言っていいでしょう。
平和は私たち日本人の気質によって成り立ってるんだ。そう思えることが一番の幸せ。それを作るのが私たちリコリスの役目、なんだってさ。
この旧電波塔がそのシーンのその文脈に登場することで場面を説明すると同時に、旧電波塔の意味合いを再認識 させています。平和なシーンに漂う裏事情のにおい。
第1話から第3話まではリコリスとしての立場が描かれましたが、第4話で初めて制服を脱いで平和を享受する側となっています。
千束とたきなのデート!お買い物!水族館!平和!なのになぜかふわふわして落ち着かない!なんだこの演出は。しゅき。
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好きなシーン
さかなー!
かわいい。
水族館デート中、千束はアラン機関の支援主を探していることをたきなに打ち明けます。千束の「(支援してくれた人に)ありがとうって言いたいだけなんだけど」を聞いた後、長い沈黙を挟んでたきなは立ち上がり、突然魚の真似をします。
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これまで感情を表に出さず、まじめで仕事一筋なたきなが千束の前で突然「さかなー!」と叫びます。千束と過ごすうちに千束のとらえどころのない性格がたきなにうつって奇行に走らせた……というわけではなさそうです。
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たきなが突然さかなー!と叫んだ理由のヒントは第4話の 千束の二つのセリフ にあります。
・一つ目
制服着てないときはリコリスじゃありませーん!
人がたくさんいる水族館館内で「チンアナゴ〜!」と唐突に叫んだ千束。自分たちはリコリスなので無用に目立ってしまうのはよくないことだ、と心配したたきなに千束はこう言いました。いまは制服を着ていないのでここにいるのはリコリスではなく「私」。
第3話で DA への執着を落ち着かせるもリコリスとしての責務を引き続き常に感じて負い続けているたきなに対して、もっと自分(と自分の時間)を大切にしたほうがいい、という千束の想いが現れた行動だと考えられます。
・二つ目
たきな「で、見つかったんですか?これくれた人。」
千束「いいや」
たきな「10年も探して?」
千束「──もう……会えないかもね。」
千束はアラン機関からもらったペンダントをたきなに見せ、DA を抜けてリコリコに来た理由を打ち明けます。
大事な人とは自分を支援してくれたアラン機関の人物。その人に一言お礼を言いたい。DA にいては人探しができないため、千束はリコリコに来たのだと言います。
わざわざ DA を抜けて10年も探し続けているのにその人は見つからない。もう会えないかもしれない。
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千束は自分の時間を10年間も使って「その人」を探しています。たとえこの「人探し」が千束自身のやりたいことだとしても、「千束」としての貴重な時間 をあまりにも多く費やしてしまっています。
「制服を着ていないときはリコリスではなくて自分」。たきなはこのデートを通じて、もっと自分の時間を大切にしてもいいんじゃないの?と千束にアドバイスをもらいました。自分としての時間を多く失った千束を知り、千束がやったようにあえて目立つこと(今はリコリスじゃない)をして、自分の時間を大切にしてもいいんだよね?と言いたかったのかもしれません。
……という想像です。本当はもっと簡単な理由かもしれません。千束を元気づけたかったとか。
どちらにせよかわいい。
さかなー!の後、たきなは千束に「それ(ペンダント)、隠さないほうがいいですよ。めっちゃ可愛いですよ」と言っています。このことから千束の人探し自体を否定しているわけではなく、むしろ応援していることは見て取れます。
平和と不穏の畳みかけ
エンディングに入る直前、平和と不穏を畳みかけ、この回を締めに入ります。この一連の流れが感情を揺さぶり、リコリス・リコイルっぽくてとても好きです。
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ファーーー!!
その他、好きなシーンと演出とメモ
たきなと千束の発砲音の違い
たきな「急所を撃つのが仕事だったんですけど」、千束と同じ側に立ったことを示唆
ゲーム内では弾を避けられない千束(単純化された世界では発砲前の動きも単純化され、動きを読めない)
スロー時に音声が低く
突然のフキとサクラ
千束とフキ「こいつ名前がムカつくんだよ!」シンクロ
千束、シリアスな回想と思いきやパンツ回想
自分のパンツの好みを答えてしまうミカ、それを指定だと勘違いするたきな(天然同士)
集合の約束を仕事だと勘違いするたきな(真面目)
たきな「指定の私服はありますか?」、仕事一筋、今まで自分を持ったことがない
私用にも仕事道具を持ち歩くたきな
たきなの服を選んでいいと聞いた千束のよろこび方に戸惑うたきな(不思議そう)
クルミが扇風機を止める音
試着中、千束の「めっちゃかわいい」
好きなのを選ぶのが苦手なたきな
店員さんの口調でノリツッコミする千束
目的は完遂したと言うたきな
嬉しそうな千束に戸惑うたきな
タツノオトシゴの姿に合理的理由を求めるたきな
チンアナゴについてスマホで調べるたきな、チンアナゴのマネをする千束
アラン機関 100 年前から存在?
自分の才能がわからない千束
隠さないほうがいい、めっちゃかわいいですよ(先ほどの千束のセリフをたきながおかえし)
共通のオブジェクト(水槽の魚)でシーンをつなぐ(水族館 → バー)
アラン機関は支援した人物とは関わらないのにカフェに顔を出す矛盾
ミカとの約束とは?
真島の行動を読んで先回りする DA(目撃者すら出さない)
真島はリコリスの存在を今まで知らなかった
現場を立ち去るときの千束の眼差し
警察よりも強い権限を持つ DA
たきなのパンツを千束が試着(パンツ回を一貫している)
楠木は「例の銃」について情報をつかんでいる(不穏)
カフェメンバーのわちゃわちゃに笑顔になるたきな、からのエンディング
終盤、交互に畳みかけるコミカルとシリアス
突然の C パート
真島「また俺だけ残っちまった」
リコリスの存在をつかんだ真島
真島「さて、はじまりだ」
(次週へ続く!)
(ファーーー!!)