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幼少期に宇宙一嫌いだった大人はなかなか好きになれないから、子供と接するときは注意が必要なんだ
数年ぶりに歯医者に行った。もしかすると10年ぶりくらいかもしれない。でも虫歯は一本もないし、お口は健康なんです。
歯医者に全然行ってなかったのも、虫歯が一本もないのも、幼少期の恐怖体験による。
子供の頃に行っていた歯医者はものすごく怖い歯医者さんで、何度も何度も泣かされた。いや、たぶん泣かせれ率100%だったと思う。子供の恐怖を取り除いてあげようという気持ちが全くなく、口を無理矢理開かせる装置を有無を言わさず装着し、不安いっぱいの子供の口にドリル音を響かせる機械を突っ込んでいくから、もう常に子供はギャン泣き。
宇宙一嫌いだった。
大人になってから母親に聞いたところによると、どうやらあれは親への見せしめのためにワザとやってたらしい。『親がちゃんと歯を見てあげないから虫歯になるんだ』というメッセージだったらしい。
マジ迷惑。
忘れられない一日がある。奥歯が虫歯になってしまって親に連れられて歯医者に行った。治療室には私一人が入って診てもらったところ、その歯は乳歯でほんの少しだけどグラグラしていたから、もう削らずに抜いてしまった方がいいとなった。
歯医者は7、8歳の私に、「麻酔は無くてもいいよね?」と言った。よく分からないし、怖いから基本「はい」しか言えない。
そうして私は無麻酔で、ちょいグラの奥歯をペンチ(みたいなもの)で抜かれた。痛すぎると涙は出ないと知った。
これはもう治療じゃなくて、拷問で使う手法なんですよ。
こんな経験を積んで、私は二度と歯医者に行かない人生にするために、虫歯は一本もつくらないと決めた。そして今までそれを完遂して、虫歯はないし、歯医者も行かない人生を歩んでいる。
で、なんでそんな大嫌いな歯医者に行ったかというと、年明け何か自分にチャレンジを課そうと思い、せっかくならハードル高めがいいだろうということで、歯医者を選んだ。新年に何かにチャレンジしたくなる性分なのだ。
行ってみたら。よかった。
歯をクリーニングしてもらったわけだけど、歯磨きでは得られないスッキリ感。歯医者さんも宇宙一嫌いだったあの人と雲泥の差だった。
私はこうして幼少期の恐怖体験を克服したわけだけど、子供に関わる職業の人は細心の注意が必要だよなぁとしみじみ思う。
親に向けたメッセージだかなんだか知らないけど、そんなのは大人同士で直接やりなさいよ。気を付けないとずっと宇宙一嫌われますよ。
無麻酔で歯を抜かれた日、母親は私を慰めるために当時家族でよく行っていたもんじゃ焼き屋に連れて行ってくれた。デザートにあんこ焼きを焼いてくれたのを覚えている。写真はそのあんこ焼き。
奥歯を抜かれててもあんこ焼きはおいしかった。