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24. 注目すべきアメリカの女性下着市場の動向

今アメリカの女性下着市場から目が離せません。王者ヴィクトリア・シークレット帝国の凋落に、強靭な鎧と剣を手に持った女性たちがリードするスタートアップ企業がどんどん参入しています。

ヴィクトリア・シークレットの凋落

アメリカで下着と言えば、ヴィクトリア・シークレット(ヴィクシー)しか思い浮かばないというほど、長年王者として君臨していたヴィクシーがアメリカ女性の「セクシー離れ」により、絶不調なのだ。ヴィクシーは130億ドル(約1.4兆円)(※)と言われるのアメリカ女性下着市場を約4割を占めていた。しかし今では、アメリカ中の女性から、「ダサい」「時代遅れ」「買いたくない」ブランドとして認識されている。そんな私もアメリカのど田舎に住んでいた時、下着を買うといったらヴィクシーしか思いつかず、また、あんな田舎にも店舗があるくらい全米にヴィクシーは普及されていたのだ。そのヴィクシーが今では、バッシングを受けるほどになっているのにはびっくりする。
※日本の記事では130億ドルとあるが、英語の記事だと70億ドル前後。
https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/lingerie-market

https://www.washingtonpost.com/business/2020/02/20/5-factors-that-led-victorias-secrets-fall/

ヴィクトリア・シークレットと言えば、シグネチャーの「エンジェル」によるランウェイだ。スーパーモデルが大きな羽ときらびやかな下着を身につけてランウェイを歩くことにより、ヴィクシーは長年女性の「憧れ」としての存在を確保していた。背が高くて、細くて、プッシュアップされた谷間が強調された胸。「セクシー」を武器にしてきたヴィクシーだが、#MeTooムーブメントによる、女性のエンパワメントが活性化されたアメリカでは、この「男性のためのセクシーさ」「男性に媚を売る美しさ」に対してメスが入ったのだ。また、女性のための下着なのに、男性がCEOであることもネガティブ要素の一つである。

そんな中ヴィクシーは、プラスサイズモデルの起用、幅広い年齢のモデルの起用、幅広いジェンダーや人種のモデルの起用を行わないと宣言し、全米からバッシングを受け、シグネチャーだったランウェイも、2019年末にその幕を閉じました。

2019年末からようやくプラスサイズの起用が開始されましたが、時はすでに遅し。ヴィクトリア・シークレットの英国法人は、先日経営破綻に陥りましたし、米国では投資会社の買収が決まっていたのですが、その買収は白紙に。過去13ヶ月で12%も売上減という不安定な状態が続いています。

https://cpp-luxury.com/victorias-secret-uk-business-files-for-bankruptcy/

女性社長による、スタートアップ企業の参入

そういった大きな動きを見せている市場の中で、長年下着のあり方に対して不満が溜まった女性たちが立ち上がり、女性による、女性のための着心地が良い下着を創出している下着ブランドが新規参入をしています。

2014年に元Googleのマネージャーが立ち上げた快適な着心地と幅広いサイズ展開を行うThirdLove(サードラブ)や、自分にぴったりなサイズを導き出せるTrue & Co.(トゥルーアンドコー)、そして日本でも注目を集めている経血吸収パンツのThinx(シンクス)など、女性のための、女性目線で作られた下着ブランドが注目を集めています

アメリカの特にミレニアル世代では、モノよりもブランドのストーリーやサステナビリティ(持続可能性)だったりエシカル(倫理的)などの思いが製品に宿ったブランドが今後伸びていくのだと思います。

リアリティセレブのKim Kardashianが立ち上げたボディシェイプブランドSKIMや、歌姫Rihannaの立ち上げたSavege X Fentyなど、セレブリティが手掛けるブランドや、暗い肌のトーン向けの人に作られたNubian Skinなど、アメリカ女性の選択肢が増えていっています。

日本を含むアジアでは、まだ「男性のための下着」が多くの女性から受け入れられています。可愛さや女性からみたセクシーさ、お洒落なランジェリー、ヘルシーなランジェリーと選択肢がどんどん増えれば、アジア人女性ももっと元気になるのではないでしょうか。


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