イントロダクション:はじめまして
堀口麻由美『カルチャー徒然日記』
Text & Photo:Mayumi Horiguchi
デジタルで復活!! 編集長が語る。ウェブ版として蘇った『IN THE CITY(インザシティ)』の見どころは!?
このたびBE AT TOKYOにてウェブ版がスタートした『IN THE CITY(インザシティ)』とは、そもそも文芸カルチャー誌でした。『東京』から生み出されるアート、デザイン、カルチャーなど、混沌とした東京らしさを通じて現代の日本文化を世界に発信することを目指してビームス内に登場した<TOKYO CULTUART by BEAMS>が、2017年まで展開していました。
短篇小説、エッセイ、詩など、「文字による芸術」と、それに呼応した写真やイラストレーションなどを掲載するというプロジェクトでした。また、文字ではなく写真だけで構成された特集号などもありました。そういった号では、そこから音楽や街の雑踏の音が聞こえてくるかのような写真だけで一冊を構成し、カルチャーを感じさせることを目指したりしたものです。
紙版では、音楽や文芸といったジャンルにて、その名を知らぬ人はいない著名人の方々に、多数ご登場いただき、書き下ろしの小説やエッセイ、ここでしか読めない貴重なインタビューなどを掲載してきましたが、このたびウェブ版として復活することが決定。アーカイブの公開については、可能なものをできるだけ多く順次電子化して、無料公開していきたいと思っております。紙版は全18集ありましたから、かなりの物量となりますので、読み応えは抜群! お楽しみに。
そんな『IN THE CITY(インザシティ)』の表紙は毎回、米の画家、イラストレーターであり、『ザ・ニューヨーカー』(The New Yorker)誌でもお馴染みのエイドリアン・トミネ(Adrian Tomine)の作品で統一しておりました。大昔、音楽を通じて友達になった彼とコラボレーションできて、私も嬉しい限りでした。ちなみにトミネは、近年、映画界からも熱い注目を浴びている存在。『ゴールデン・リバー』『真夜中のピアニスト』『預言者』『君と歩く世界』など数々の名作を手がけ、『ディーパンの闘い』では2015年・第68回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した仏映画界を代表する巨匠監督、ジャック・オーディアールの最新作『Les Olympiades(原題)』は、トミネの短編集『キリング・アンド・ダイング』(国書刊行会)が原作となっております。
ウェブ版では、アーカイブ公開に加えて、新作もアリ。片岡義男さんと高木完さんの人気連載の新作および、最果タヒさんの新連載が登場します。
まず御三方の連載について、簡単に説明させていただきます。
片岡さんの人気連載「ドーナツを聴く」の新作について。紙版にて、片岡さんが「棚からひとつかみ」した7インチ・シングルを撮影し、書くという連載の9回目までがあったのですが、このウェブ版には、その第10回の書き下ろし原稿が掲載されておりますので、気になる方は早速、ご覧になっていただきたく思います。紹介されているレコードの写真を見るのも、また楽しいものですよ!
最果タヒさんの新連載は『好きな「漫画」を、詩人の言葉で見渡すエッセイ』。連載タイトルは「MANGA ÷ POEM」。どんな作品が登場するのかは、ぜひご自身の目でご確認を。最果さんのお原稿はもちろんのこと、幾何形態と有機物を組み合わせた独自の立体物を描くアーティストであるカワイハルナさんが、最果さんのお原稿をご一読後、イメージして描き下ろしてくださったイラストも素晴らしいので、こちらもお見逃しなく。
高木完さんの連載『ロックとロールの間には、、、』は、ご本人の説明によると「輸入文化としてのロック、ロックンロール、あるいは前衛音楽は、ファッション含めその時代時代で日本にどう入ってきてどう捉えられていたかを、当事者に聞きながら書いていく」という企画のもと、執筆なさっているエッセイ。日本ロック界の貴重な生き証人のひとりである高木さんが、我が国の音楽を中心としたカルチャーの真髄&深淵を垣間見せてくれる貴重な内容となっておりますので、こちらも閲覧必至ですよ! また、高木さんのページのイラストを担当してくださったのは、漫画家・イラストレーターのうじたなおき(UJT)さん。UJT名義での著書に、名作『チリンヶ丘三丁目』アリ。音楽に造詣の深いうじたさんの手によるイラストも必見です。
そんな三人の書き手に加え、私、編集長である堀口も、上記の御三方に加えて、次回からはエッセイを寄稿させていただきます。各連載は毎週水曜日ごとに、書き手の間で巡回していく形をとっていきます。なお、一ヶ月内に水曜日が5回ある場合には、近著に『僕と魚のブルーズ 評伝フィッシュマンズ』(イーストプレス)『教養としてのロック名曲ベスト100』(光文社新書)がある作家・川崎大助が登場する予定ですので、こちらもなんとなく覚えておいていただけるとよいかと……。
最後にコラムの内容について一言。
コロナ禍に翻弄される全世界において、芸術作品は、ますますその比重を高めていると言っていいでしょう。そんな時代において、インターネット配信は、日々、充実しビッグな存在となっております。その膨大なコンテンツの波の合間から、海外ドラマや映画など、気になる作品の数々をチョイスし、つれづれなるままにカルチャーやアートについて書き記していきたいと思っておりますので、こちらもよろしくです。
ではでは、来月またお会いしましょう。
さよなら、さよなら!
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