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紫陽花

友人にぼくのことを話した

ずっと前から彼女には話したかった
でも話せなかった
伝えられる覚悟が出来ていなかったから

嫌われたらどうすればいいのだろうか、

そればかり考えてしまって。


口で語るのは得意じゃない
だから手紙を書いた
いつも通りの「‪✕‬‪✕‬ちゃんへ」という始まり方で
いつも通りのわたしで
便箋に文字を刻みながらふと思い出す
最後に誰かへの手紙を書いたのは何時だったのか

…はは、渡せず終いだったな

便箋入れの奥に入れられた紫陽花と蝶が描かれたぼくにとって特別な封筒
取り出そうか迷って
今やるべきでは無いと思い黙って蓋を閉じた
本当は何を書いたのかみたかった
またエゴを描き示しているのではないかと思ったから
きっと案の定そうなのだろうけれど。

ひたすらペンを走らせる
時々文字が歪んだり違うものを書いてしまったりしたけれど
ちゃんと、最後まで書き切る

約1時間、机に向かっていた。
出来たものは大したものじゃないけれど、気持ちだけは込めたつもりだ
お気に入りのシールを紫色の紫陽花の上に貼り付ける


とどくと、いいなあ…


呑気にそんなことを思っていた
受け入れてもらえるかわからないくせに。

今過ごした時間は、無駄な時間となるかもしれない
でも結末なんて見え透いたものではないし、わからない

1人で舞い上がって
1人で冷静になって
独りで逃げようとした

渡せる気がしない
それだけを感じて


受け取ってもらえるのか
ちゃんと思いが伝わるのか
今後どうなってしまうのか

考えるべきことは未だ未だ沢山あるのに
進めず立ち止まるぼくはきっと弱い
きっと、じゃなくて
ぜったい。


彼女の言葉で救われる未来なんて、
ぼくは決して求めてないのだから。


ぼくの理解者は大切な人達だけで在ってほしいから
でも、もしダメなら
逃げずに死ぬしか、ないのかな



その道を躊躇いなく選べていたのなら
どれだけ不幸で、どれだけ幸せだったんだろう。

まったく、課せないな。

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