タンポポの綿毛のひみつ
毎年この時期になるとタンポポってこんなだったっけと思う。
日本で見たタンポポは、ひっそりと陰日向に咲いていて、ふと目に入ると「あ、たんぽぽが咲いてるよ!」って伝えたくなるイメージ。咲く時期も、桜が葉桜になって、梅雨前後に咲いていたような。
ところが、アメリカのタンポポは春になり気温が上昇すると、“Yo! 待ってました!”とばかりに一気に開花します。それも群生しているので、タンポポ畑というのがそこら中に出現する。
そもそも芝生が多いので余計に繁殖しやすい環境なのかもしれない。
それが1〜2週間も続くと、今度は花が落ちて綿毛が群生します。それが今のカンザスシティ。
実際どんな風なのかというと、写真のとおり。
儚さの象徴とも言える綿毛。まあるくてフワフワが可愛らしい印象の綿毛。それもこんな感じで密でたわわになっていると、「タンポポってこんなだったっけ」(思ってたんと違う...!)となるのです。
アメリカ在住6年半なのに毎年。
綿毛で実験
この土日のカンザスシティは春を通り越したように気温が上がり、最高気温は30℃になりました。軍人の夫はブートキャンプに出向したのもあって、私1人で炎天下のなか子供達を連れて出かける気にもなれずバックヤードでのんびり遊ぶことに。
まず出したのがバックヤードテント。
キャンプテントとは違って組み立てが簡単な小さなプレイテントです。我が家のテントはゾウさん型で、子供達が楽しめるようにたくさんの工夫が施されています。
中は子供3人が入れる広さ。子供って狭い空間に身を置くのが好きなんだなとつくづく思います。
出たり入ったり、中で本を読んだり、ぬいぐるみを入れてみたりして忙しそう。
テントを出した次の日も暑くて、テントの隣にビニールプールも出しました。
4月に水遊びができるのも、アメリカ中西部ならではの気候のおかげです。湿気はないし、風もよく吹いて心地いい。
さて話を戻すと、写真では分かりづらいのですが、我が家のバックヤードにもたくさんのタンポポの綿毛が自生しています。
はじめは綿毛をフーフーして飛ばして遊んでいた子供たちですが、水遊びと綿毛を行ったり来たりしているうちに「綿毛を水に浸けたらどうなるか」ということに興味を持ち始めました。
道具は全部揃っています。タンポポの綿毛、小さなバケツ、そして水。
プールの水をバケツにひとすくいすると、きらきらした太陽が水面に波を立てて浮かびました。
春。はるがきた。
カンザスシティに桜は咲かないけど、こういう瞬間が春の知らせになっています。
あの群生したタンポポも、それからぎゅうぎゅうに生えてる綿毛も。全部春の知らせ。
娘が綿毛になったタンポポを何本か摘んできました。浸水したらタンポポの綿毛はどうなっちゃうのか一通り予想してみます。
じゃあ見てみよう。
綿毛を下にして、水の中へドポン。
綿毛が水に触れた瞬間から大きな表面張力が働いていることにすぐに気づきます。
それだけですでに驚きの表情を見せる子供達。
儚くて、フワフワ空を飛ぶあの綿毛は、集合しているとこんなにもパワフルだとは。
もう一度、茎をしっかり握り直してグッと力を入れて水の中に綿毛を押し込む。
すると、綿毛のまんまるの束が水の中で小さく縮みました。
「えー、なにこれー」「なんでー?」
もともと実験をするなんてたいそうな考えでやってないので、「これはね、」と博識ぶってどうなってるか説明できないのが母の準備不足であり知識不足なところ。
「面白いね。なんでだろうね。」と答えるだけでは大人として全く面目ないのだけど、まぁあとで調べればいい。私も知りたい。
さらなる驚きは水から綿毛を引き上げたとき。
そのまま、まんまるフワフワでまたもとに戻ってきました。すんごい撥水力。さっきまで水に浸されてたのが嘘みたい。
見ると子供達の目はまんまるで、それがまた面白い。
何度も同じ操作の繰り返し。考察は次のステップです。
遊びから純粋な好奇心へ、それを学びへつなげる。親主導ではなく、子供主導で。
子供達とこういう時間と学びを大事にしたいなと思っています。
子供達の綿毛実験の様子をリールにしました。