FXチャートにおける「逆三尊」と「ダブルボトム」の違いを見極め、効果的な買い方


テクニカル分析において、チャートパターンは価格動向の重要な指標となります。中でも「逆三尊」と「ダブルボトム」は、下落トレンドの反転を示唆する代表的なパターンです。しかし、両者の違いを正しく理解していないと、エントリーのタイミングを失ってしまう可能性があります。

本記事では、「逆三尊」と「ダブルボトム」の特徴を比較し、見分け方やエントリー・決済の適切な方法を解説します。FX初心者から上級者まで、誰もが参考にできる内容となっています。ぜひ最後までご一読ください。

逆三尊とは?形成プロセスと特徴を理解する

逆三尊の定義と形状

「逆三尊」とは、下落トレンド終了の可能性を示唆するチャートパターンです。名前の由来は、チャート上に連続する3つの谷のうち、真ん中の谷が最も低くなる形状だからです。

一般的な逆三尊のイメージは以下の通りです。

  • 左の谷(第1の谷)

  • 中央の最も低い谷(第2の谷=ヘッド)

  • 右の谷(第3の谷)

  • 各谷の底値を結んだネックライン

このように、中央の谷が最低値となり、左右の谷が肩の役割を果たすことから「逆ヘッドアンドショルダー」とも呼ばれています。

逆三尊が形成されるプロセス

下落トレンド局面において、次のような価格動きが見られた場合に逆三尊が形成されます。

  1. 一度最安値を付けた後、一時的に反発する(第1の谷)

  2. しかし下落の勢いが止まらず、再び最安値を更新(第2の谷=ヘッド)

  3. ここで勢いが失われ、値を戻す(第3の谷形成)

  4. 上昇して一度は反発するが、前回の安値を上抜けない

  5. 結果としてネックラインを突破し、上昇トレンドに転じる可能性が高まる

このように、安値を3度チャレンジするうちに下落の勢いが失われ、反発に転じることから逆三尊が完成するのです。

逆三尊の特徴的な価格形成要因

なぜこのようなパターンになるのでしょうか。その背景には、以下の価格形成要因が関係しています。

  • 最安値付近で、ショートポジションの一部決済が入る

  • 下げ止まりを期待したロングエントリーが増える

  • 結果として需給バランスが崩れ、上昇圧力が高まる

  • 勢いの限界から最安値を更新できず、反発に転じる

つまり、逆三尊の形成プロセスには、ショートとロングの需給バランスの変化が深く関わっているのです。

ダブルボトムとは?逆三尊との違いを理解する

ダブルボトムの定義と形状

一方の「ダブルボトム」は、下落トレンド終了のもう一つの典型的な形状です。この名前が示す通り、チャート上に2つの谷(ボトム)が連続して現れます。

一般的なダブルボトムのイメージは以下の通りです。

  • 左の谷(第1のボトム)

  • 右の谷(第2のボトム)

  • 2つのボトムを結んだ水平のネックライン

このように、ダブルボトムは2つの谷とネックラインで構成される非常にシンプルなパターンです。

ダブルボトムと逆三尊の違い

ダブルボトムと逆三尊は、共に下落トレンド終了を示唆する点で似ています。しかし、形状面で以下の大きな違いがあります。

  • 谷の数(ダブルボトム2つ、逆三尊3つ)

  • ネックラインの形状(ダブルボトム水平、逆三尊斜め可)

  • 中央の谷の位置(逆三尊のみ存在、最も深い)

このように、逆三尊の方がダブルボトムよりも複雑な形状となっています。

さらに、両者の形成プロセスも異なります。ダブルボトムは2度の下落で完成しますが、逆三尊は3度の下落を経る必要があります。この点から、逆三尊の方が下落トレンドの勢いが完全に失われた状態を示していると考えられています。

逆三尊とダブルボトムの見分け方

両パターンを見分ける上で最も重要なポイントは、谷の数とネックラインの形状です。

  • 谷が2つならダブルボトム

  • 谷が3つで中央が最も深く、ネックラインが斜めならば逆三尊

ただし、実際のチャートではこれらの形状が崩れていることも多く、見分けが難しい場合があります。そのような時は、以下のような補助的な見分け方を活用しましょう。

時間軸の長さを変えて確認する

同一の価格動きでも、時間軸を変えるとパターンの見え方が変わります。短い時間軸(5分足など)で見ると逆三尊に見えても、長い時間軸(日足など)で見るとダブルボトムに見えるということも起こり得ます。

複数の時間軸で確認し、どの時間軸でもっともはっきりとしたパターンが現れているかを見極めましょう。

出来高の動きを確認する

出来高の動きからも、どちらのパターンが形成されているかを判断することができます。

一般的に、逆三尊の形成過程では出来高が次第に低下していきます。一方、ダブルボトムの場合は2つ目の谷で出来高が一旦増える傾向にあります。

出来高の動きを参考にすれば、より正確にパターンを見分けられるはずです。

逆三尊でエントリーする適切な方法

逆三尊が形成されたと判断できたら、いよいよエントリーのタイミングです。ここでは、利益を最大化しながらリスクを抑える適切な買い方を解説します。

基本的なエントリーポイント

一般的な逆三尊のロングエントリーポイントは、以下の2つです。

  • ネックラインを上抜けた時点

  • ネックラインに反発し、再びこれを上抜けた時点

前者は「だまし」のリスクが高いものの、最大の値幅が取れるメリットがあります。後者は「だまし」リスクが低下する代わりに、値幅が若干小さくなります。

「だまし」に遭いたくない方は後者を、最大の値幅を重視する方は前者を選ぶことになります。

エントリー時の指値注文の置き方

指値注文を利用する場合は、以下のようにエントリーポイントを設定しましょう。

  • 前者の場合:ネックラインを少し上抜いた価格に指値を置く

  • 後者の場合:再びネックラインを上抜いた価格に指値を置く

ネックライン付近は需給の駆け引きが激しいため、ラインぎりぎりよりも少し離れたエントリーポイントを設定する必要があります。

値幅を意識した決済ポイントの設定

利益確定の決済ポイントは、ネックラインと中央の谷(ヘッド)の高低差を参考に設定しましょう。この値幅をネックラインの上側に加えた価格が、理想的な利益確定ラインとなります。

一方の損切りポイントは、以下の2つの価格帯が候補になります。

  • 中央の谷(ヘッド)の安値を割り込んだ価格

  • ネックラインを再び下抜けた価格

前者は「だまし」に対する対策、後者は下落トレンド転換の失敗に備えた対策と言えます。リスク許容度から適切な水準を選びましょう。

段階的なエントリーによるリスク分散

エントリーポイントを分散させることで、「だまし」のリスクを軽減できます。例えば、最初はポジションの一部をロングに転換し、ネックラインに反発を確認してから残りのポジションを追加する、などの手法が考えられます。

一気にすべてをエントリーするよりも、段階を踏んでリスクを分散する方が賢明です。

ダブルボトムでエントリーする適切な方法

一方のダブルボトムについても、エントリーポイントと決済ポイントの設定方法を解説します。

基本的なエントリーポイント

ダブルボトムのロングエントリーポイントは、以下の2つが一般的です。

  • ネックラインを上抜けた時点

  • ネックラインに反発し、再びこれを上抜けた時点

逆三尊と同様、前者は「だまし」リスクが高いものの値幅が大きく、後者は「だまし」リスクが低い代わりに値幅が小さくなります。

エントリー時の指値注文の置き方

指値注文を利用する場合は、ネックライン付近ではなく、少し離れた価格帯に指値を置きましょう。

値幅を意識した決済ポイントの設定

利益確定ラインは、2つの谷の高低差をネックラインの上側に加えた価格が目安になります。

一方、損切りポイントとしては、ネックラインを再び下抜けた価格が有力な候補です。下落トレンド転換の失敗に備えて設定しましょう。

「だまし」のリスクへの備え

逆三尊・ダブルボトムを利用する上で最も気をつけなければならないのが、「だまし」のリスクです。チャートパターンが形成された後に、一旦は予想通りの値動きになったものの、再び逆戻りする現象を指します。

「だまし」に遭うと、エントリーした売買注文がすぐに損切りされてしまう可能性があります。そのリスクを最小限に抑えるためには、以下の対策が有効でしょう。

複数の時間軸での確認

15分足や1時間足などの短い時間軸で逆三尊・ダブルボトムが形成されても、長い時間軸(日足など)ではトレンドが継続している場合があります。長い時間軸でトレンド転換の確認をしっかりと行いましょう。

ネックラインの機能変化の確認

逆三尊・ダブルボトムが完成する過程で、ネックラインの機能が変化します。下落トレンド時は抵抗線でしたが、完成後は支持線に転じるはずです。この機能変化がはっきりと確認できなければ、「だまし」の可能性が高くなります。

出来高の動きの確認

「だまし」が発生する場合、ネックラインを上抜ける際の出来高が急増する傾向にあります。出来高の動きにも注視し、異常な出来高の増加がないかを確かめましょう。

損切りルールの徹底

「だまし」に気づいた場合は、すぐに損切りルールを発動させる必要があります。損切りを先送りにすれば、損失が拡大する可能性があります。事前に損切りルールを決めておき、それを徹底することが重要です。

逆三尊とダブルボトムの形成を補助するインジケーター

チャートパターンの形成を見逃さないためには、専用のインジケーターを活用するのも一つの方法です。MT4で利用できる代表的なインジケーターをご紹介します。

ZigZagインジケーター

ZigZagインジケーターは、チャート上の高値と安値を自動的に線で結び、パターンの形状を可視化してくれます。逆三尊やダブルボトムの形成を見逃さずに確認できる有用なツールです。

Fibo Retracement(フィボナッチ・リトレースメント)

フィボナッチ理論に基づき、start地点からend地点までの高低差を一定の割合( 23.6%、38.2%、50%、61.8%など)で水平線を引いてくれるインジケーターです。逆三尊の場合、ネックラインと中央の谷の高低差を参考に、利益確定ラインや損切りラインを設定する際に役立ちます。ダブルボトムでも2つの谷の高低差から同様の活用が可能です。

Pivotインジケーター

当日の基準ラインとサポート・レジスタンスラインを算出してくれるインジケーターで、ネックラインの位置を確認する一助となります。ただし、時間が経過するとラインの信頼性は低下するため、時間外れになる前にエントリーすることが重要です。

これらのインジケーターを組み合わせて使えば、逆三尊やダブルボトムの形成をより確実に捉えられるはずです。

逆三尊とダブルボトムの相性の良いインジケーター

チャートパターンの確認を補助するだけでなく、エントリーのタイミングや方向性の判断を支援してくれるインジケーターも存在します。以下がその代表例です。

MACD(Moving Average Convergence Divergence)

移動平均線の収束・divergenceを利用したインジケーターで、トレンドの転換ポイントを事前に知らせてくれます。MACDがシグナル線を下抜ける時が売りサイン、上抜ける時が買いサインとなります。

RSI(Relative Strength Index)

価格が過熱・過冷領域にあるかを示すインジケーターで、売り買いのタイミングを判断する材料になります。RSIが一定の値(通常は30や70)を上抜けたり下抜けたりすれば、トレンド転換の可能性が高まります。

ストキャスティクス

現在の終値が一定期間の高値や安値に対してどの位置にあるかを、%で示すインジケーターです。過熱・過冷の判断材料となり、MACDやRSIと合わせて使うことで、より確度の高いエントリーが可能になります。

このように、チャートパターンに加えて各種のインジケーターを組み合わせることで、エントリーチャンスを見逃さずに確実に捉えられるようになります。

逆三尊とダブルボトムを活用したトレード手法

ここまでの内容を踏まえ、実際のトレード手法の一例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

トレンド転換の確認

まずは日足やWeeklyなどの長い時間軸で、下落トレンドが終了したかどうかを確認します。MACDやRSIなどのインジケーターを参考にしつつ、大まかなトレンド転換のタイミングを見極めましょう。

短い時間軸でのチャートパターン捜索

次に、30分足や1時間足など、短い時間軸に切り替えます。この時間軸でチャートを見ながら、逆三尊やダブルボトムの形成を待ちます。ZigZagなどのインジケーターで形状の確認を行います。

エントリーとポジションの構築

パターンが形成されたら、前述の方法でエントリーポイントを設定します。指値注文を利用する場合は、ネックライン周辺ではなく少し離れた価格に指値を置きます。

最初は全ポジションの一部でエントリーし、ネックラインへの反発を確認してから残りを追加します。これにより、「だまし」のリスクを分散できます。

利益確定と損切りルールの設定

利益確定ラインは、ネックラインと中央の谷(ダブルボトムの場合は2つの谷)の高低差を参考に設定します。FiboRetracement インジケーターが目安となります。

一方の損切りポイントは、「だまし」を回避するため、中央の谷の安値を割り込んだ価格かネックラインを下抜けた価格のいずれかを設定しましょう。

決済とトレール

利益確定ラインに到達次第、全ポジションを決済します。一方で上昇に十分な勢いがあれば、利確ラインを切り上げてトレールすることで、より大きな利益を狙うこともできます。

ただし、損切りルールが発動した場合は、速やかにポジションの全決済を行う必要があります。

このように、チャートパターンに加えて各種のインジケーターを組み合わせることで、より確度の高いエントリーが可能になります。「だまし」のリスクにも十分に備えられるでしょう。

逆三尊とダブルボトムの活用における注意点

最後に、逆三尊とダブルボトムを活用する上での注意点を確認しておきましょう。

経済指標や重要ニュースの確認

FX取引においては、経済指標の発表や重要人物の発言など、いわゆるファンダメンタルズ要因が大きな影響を及ぼします。これらの要因がチャートパターンの価値を上回る可能性があるため、必ず確認を行う必要があります。

値動きの傾向を常に意識する

チャートパターンの形成時だけでなく、その後の値動きの傾向も絶えず意識しましょう。ネックラインの機能変化や出来高の動きなどから、トレンド転換が確実になったかどうかを判断し続ける必要があります。

手法の検証と改善

一つの手法にこだわらず、常に検証と改善を重ねることが大切です。実際のトレードでうまくいかない場合は、手法の見直しを行いましょう。逆に上手くいった場合も、さらなる改善の余地がないかを考えるべきです。

資金管理の徹底

いくら確実な手法であっても、資金管理を怠ってしまえば一朝一夕で失われてしまいます。適切なリスク設定を行い、必ず損切りルールを守るようにしましょう。

このように、チャートパターンを活用するだけでなく、様々な側面から総合的にトレードを捉える姿勢が重要です。そうすることで、より安定した利益を生み出せるはずです。

ここから先は

0字

¥ 550

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?