FXで逆三尊のだましを見抜き、安全に利益を得る

FXトレードにおいて、逆三尊は上昇トレンドへの転換を示唆する強力なチャートパターンの1つです。多くのトレーダーが逆三尊を活用し、大きな利益を上げてきました。しかし、逆三尊には重要な注意点があり、「逆三尊の否定（だまし）」に巻き込まれないよう十分に注意する必要があります。

本記事では、逆三尊の基本から、その形成理由、トレード手法、そして最も重要な「逆三尊の否定」について詳しく解説していきます。特に「右肩下がりの逆三尊」には注意が必要で、このパターンを見抜くポイントや、その後の相場の動きについても具体的に解説します。

逆三尊を活用してより安全で確実な利益を上げるためのヒントが満載ですので、FXトレードを行う上で非常に参考になるはずです。ぜひ最後まで読んでいただき、逆三尊を上手に使いこなしていきましょう。

逆三尊とは何か

逆三尊とは、下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示すチャートパターンです。3つの谷で構成され、中央の谷が最も深く、両脇の谷がそれよりも浅い形が特徴的です。

このパターンは、一般的に「ヘッドアンドショルダーズ・ボトム」とも呼ばれています。上昇トレンドへの転換を示唆するため、逆三尊は強い買いシグナルと考えられています。

逆三尊の形成過程

まず、下降トレンドの中で、売り圧力が一時的に弱まり、価格が少し上昇します。これが1つ目の谷になります。

その後、再び売り圧力が強まり、価格がさらに下落しますが、前回の安値を下回ることはありません。これが2つ目の谷で、最も深い谷となります。

そして3回目の下落では、前回の安値付近まで下がるものの、そこから反発して上昇に転じます。これが3つ目の谷で、両脇の谷よりも浅くなっています。

この3つの谷を経て、価格がネックラインを上抜けると、逆三尊が完成し、上昇トレンドへの転換を示唆します。

逆三尊とダブルボトム、トリプルボトムの違い

逆三尊と似たパターンに、ダブルボトムとトリプルボトムがあります。

ダブルボトムは2つの谷で構成され、両者の深さがほぼ同じです。一方、トリプルボトムは3つの谷で構成されますが、3つの谷の深さもほぼ同じです。

これに対して逆三尊は、3つの谷で構成されながら、中央の谷が最も深く、両脇の谷がそれよりも浅いのが特徴です。

また、買いシグナルの強さは、逆三尊 > トリプルボトム > ダブルボトムの順となります。つまり、逆三尊が最も強い買いシグナルを示すと考えられています。

逆三尊の形成理由

逆三尊は、下降トレンドの中で買い圧力が徐々に強まってくる局面で形成されます。

まず、相場が大きく下落し続けると、ある程度の水準まで下落すると、割安感から買いが入ってきます。これが1つ目の谷の形成につながります。

その後、再び売り圧力が強まり、価格がさらに下落しますが、前回の安値を下回ることはありません。この時、売りポジションを保有していたトレーダーが利益確定の買い注文を入れ、新規の買い注文も入ってくるため、2つ目の谷の形成につながります。

そして3回目の下落では、前回の安値付近まで下がるものの、そこから強い買い圧力に支えられて反発し、上昇に転じます。これが3つ目の谷で、両脇の谷よりも浅くなっています。

つまり、下降トレンドの中で買い圧力が徐々に強まってきたことが、逆三尊の形成につながるのです。

逆三尊のエントリーポイントとトレード手法

逆三尊を活用したトレード手法には、大きく2つのパターンがあります。

1. ネックラインブレイク後すぐにエントリー

逆三尊が完成し、ネックラインを上抜けた時点で、すぐにロングのエントリーを入れるパターンです。

この手法のメリットは、トレードチャンスを逃さずにすぐにエントリーできることです。ただし、ネックラインを上抜けた後に価格が再びネックラインに戻ってきて、損切りを余儀なくされるリスクもあります。

2. ネックラインを試して再上昇した時にエントリー

ネックラインを上抜けた後、一度価格が下落してネックラインを試し、再度上昇に転じた時点でエントリーするパターンです。

この手法のメリットは、ネックラインを確認できるため、損切りリスクが比較的低くなることです。ただし、ネックラインを試す動きがなかった場合、トレードチャンスを逃してしまうデメリットがあります。

利確ポイントの設定

いずれのパターンでも、利確ポイントは、ネックラインとヘッドの間の値幅を測定し、ネックラインからその値幅分上の価格帯に設定するのが一般的です。

逆三尊の「否定（だまし）」に注意

逆三尊は強力な買いシグナルを示しますが、100%確実に上昇するわけではありません。時には「逆三尊の否定（だまし）」に遭遇することがあります。

逆三尊の否定とは

逆三尊の否定とは、本来の上昇トレンドへの転換を示唆するはずの逆三尊が、実際には下落してしまうことを指します。

つまり、逆三尊のエントリーをしたものの、その後の相場が思わしくない動きをして、大きな損失を被ってしまうというパターンです。

右肩下がりの逆三尊に注意

逆三尊の中でも特に「右肩下がりの逆三尊」には注意が必要です。

右肩下がりの逆三尊とは、3つの谷の中で、最後の谷（右肩）が1つ目の谷（左肩）よりも低くなっているパターンです。

このパターンの場合、上昇トレンドへの転換が必ずしも強くないため、逆三尊の否定に遭遇しやすくなります。

逆三尊の否定を避けるポイント

逆三尊の否定を避けるためのポイントは以下の通りです。

• ネックラインを確実にブレイクしていることを確認する

• ネックラインがサポートラインからレジスタンスラインに転換したことを確認する

• 上位足のトレンド方向に合わせてエントリーする

特に最後のポイントは重要です。上位足のトレンドに逆らってエントリーすると、逆三尊の否定に遭遇しやすくなります。

右肩下がりの逆三尊の特徴と注意点

右肩下がりの逆三尊

先ほど説明した通り、右肩下がりの逆三尊とは、3つの谷の中で最後の谷（右肩）が1つ目の谷（左肩）よりも低くなっているパターンです。

このパターンの場合、上昇トレンドへの転換が必ずしも強くないため、逆三尊の否定に遭遇しやすくなります。

右肩下がりの逆三尊の特徴

右肩下がりの逆三尊では、以下のような特徴がみられます。

• 最後の谷（右肩）が1つ目の谷（左肩）よりも低い

• ネックラインが右肩下がりになる

• 上昇トレンドへの転換が必ずしも強くない

このため、上昇トレンドへの移行が不確実であり、逆三尊の否定に遭遇しやすくなります。

右肩下がりの逆三尊への対応

右肩下がりの逆三尊では、以下の点に注意が必要です。

• ネックラインの上抜けを確実に確認してからエントリーする

• ネックラインが水平、または右肩上がりの場合に限ってエントリーする

• 上位足のトレンド方向に合わせてエントリーする

また、ネックラインを上抜けた後に一度価格が下落してもう一度ネックラインを試す動きがあれば、そこでエントリーするのも良いでしょう。

逆三尊の具体的な事例

ここでは、実際の相場で確認できる逆三尊の事例を紹介します。

ドル/円(USDJPY)の事例

2023年4月頃のドル/円のチャートでは、明確な逆三尊が形成されています。

3つの谷がきれいに描かれており、中央の谷が最も深く、両脇の谷がそれよりも浅くなっています。ネックラインを上抜けた後は、大きな上昇トレンドに移行しました。

このように、教科書通りの逆三尊のパターンが形成された場合は、ネックラインブレイク後のエントリーで大きな利益を得ることができます。

ユーロ/ドル(EURUSD)の事例

一方で、2024年2月頃のユーロ/ドルのチャートでは、「右肩下がりの逆三尊」が確認できます。

3つの谷の中で、最後の谷（右肩）が1つ目の谷（左肩）よりも低くなっているのが特徴です。このパターンでは、ネックラインを上抜けた後も、すぐに下落に転じてしまいました。

つまり、この事例は典型的な「逆三尊の否定（だまし）」のパターンと言えます。右肩下がりの逆三尊では、このようなリスクが高いことに注意が必要です。

逆三尊を活用したトレードの注意点

逆三尊を活用したトレードを行う際は、以下の点に留意する必要があります。

1. ネックラインブレイクの確認

逆三尊の完成には、ネックラインの上抜けが不可欠です。ネックラインを確実に上抜けていることを、ローソク足の終値で確認することが重要です。

2. ネックラインの性質の確認

ネックラインが水平、あるいは右肩上がりの場合は、上昇トレンドへの転換が強い可能性が高くなります。一方で、右肩下がりの場合は注意が必要です。

3. 上位足のトレンドの確認

上位足のトレンド方向に合わせてエントリーすることが重要です。上位足のトレンドに逆らうエントリーは、逆三尊の否定に遭遇しやすくなります。

4. 損切りのタイミング

ネックラインを上抜けた後に価格が再びネックラインに戻ってきた場合は、迅速に損切りをすることが重要です。

まとめ

FXトレードにおける逆三尊は、上昇トレンドへの転換を示唆する強力なチャートパターンです。

しかし、逆三尊にも注意点があり、特に「右肩下がりの逆三尊」には十分な注意が必要です。このパターンは上昇トレンドへの転換が不確実で、逆三尊の否定（だまし）に遭遇しやすくなります。

逆三尊を活用してより安全で確実な利益を上げるためには、ネックラインの確認、ネックラインの性質、上位足のトレンドなどに留意し、慎重にエントリーする必要があります。

FXトレードを行う上で、逆三尊は非常に重要なチャートパターンです。本記事で紹介した内容を参考に、逆三尊を上手く使いこなしていきましょう。