相場分析の決定版!江戸時代から受け継がれる「酒田五法」

投資の世界において、勝ち続けるためには相場の動きを正確に読み取る能力が不可欠です。そのための強力なツールが、江戸時代から伝わる「酒田五法」です。本稿では、この伝統的な分析手法の本質を探り、その活用方法について詳しく解説していきます。


1. 酒田五法とは何か?

酒田五法とは、出羽国(現在の山形県酒田市)出身の相場師・本間宗久が考案した、ローソク足チャートの分析技術です。相場の流れを「三山」「三川」「三空」「三兵」「三法」の5つの局面に分けて捉え、買い時、売り時、休み時を判断するための指標として活用されてきました。この手法は、約200年もの歴史を持ち、今日でも株式やFX、先物市場などで広く用いられているのが特徴です。

1-1. 「三山」と「逆三山」

三山とは、相場が三度同じ形を描くチャートパターンのことを指します。特に真ん中の山が最も高くなっている状態を「三尊」と呼びます。これは、相場の天井を示す典型的なサインとされています。一方、三つの大きな底値(谷)を形成するパターンを「逆三山」または「逆三尊底」といいます。これは、相場の大底を示すサインとして注目されます。

1-2. 「三川」

三川とは、大きな陽線と陰線、あるいは陰線と陽線が交互に現れるチャートパターンを指します。特に、上昇トレンド中に大きな陽線の後に小さな極線が現れ、その後さらに大きな陰線が出現するパターンを「三川宵の明星」と呼び、売りのサインとされています。一方、下落トレンド中に大きな陰線の後に小さな極線、そして大きな陽線が現れるパターンは「底入れ」と呼ばれ、買いのサインとなります。

1-3. 「三空」

三空とは、相場の中に現れる空値(ギャップ)のことを指します。上昇相場では3つの空値が開いた後に下落に転じる可能性が高く、「三空叩き込み」と呼ばれます。一方、下落相場では3つの空値が開いた後に上昇に転じる可能性が高く、これを「三空」と呼びます。このように、三空は逆張りのサインとして用いられます。

1-4. 「三兵」

三兵とは、3本連続する陽線または陰線のことを指します。上昇トレンド中の3本の陽線を「赤三兵」、下降トレンド中の3本の陰線を「黒三兵」と呼びます。赤三兵は買いのサイン、黒三兵は売りのサインとして捉えられます。

1-5. 「三法」

三法とは、相場が一時的に休息する局面を表すチャートパターンです。上昇トレンド中に大きな陽線の後に小さな陽線や陰線が3本続き、その後さらに大きな陽線が現れる「上げ三法」は買いのサイン、下降トレンド中に大きな陰線の後に小さな陽線や陰線が3本続き、その後さらに大きな陰線が現れる「下げ三法」は売りのサインとされます。

2. 酒田五法の活用方法

では、実際にこの酒田五法をどのように活用すれば良いのでしょうか。以下に、その具体的な使い方を解説します。

2-1. 上位足から分析する

酒田五法のサインを確認する際は、日足や週足などの上位足チャートから相場の大局観を把握することが重要です。上位足で売りサインが確認できた場合は、1時間足や5分足などの下位足でエントリーのタイミングを狙うのがよいでしょう。一方、上位足で買いサインが確認できた場合は、下位足でエントリーのタイミングを探るという具合です。

2-2. レジスタンスとサポートを意識する

相場分析では、レジスタンスラインやサポートラインといった重要水準を意識することも欠かせません。多くの投資家がこれらのラインを意識してトレードを行っているため、ラインを超えるタイミングが重要なポイントとなります。例えば、三山パターンの第3の山がネックラインを下抜いた場合は、強い売りサインとなります。

2-3. 他のテクニカル指標と組み合わせる

酒田五法単独では必ずしも高い勝率を誇るわけではありません。そのため、RSIやストキャスティクスなど、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことをおすすめします。例えば、三川のサインが出た際にRSIが超売られ圏に入っていれば、より確度の高い買いシグナルとなります。

2-4. 感情に惑わされない

相場は常に予期せぬ動きをするため、感情に流されずに冷静にトレードを行うことが重要です。損切りを渋ったり、勝ちすぎて調子に乗ったりするのは避けるべきです。トレード記録を付けて自身の癖を把握し、理性的に行動することが勝てるコツです。

2-5. 資金管理を徹底する

トレードで勝つには、相場分析の技術だけでなく、資金管理も欠かせません。レバレッジを上げすぎたり、1回の損失額が大きすぎたりすると、たとえ勝率が高くても資金が吹き飛んでしまいます。1回の取引金額は自己資金の2~3%程度に抑え、ゆっくりと資金を増やしていくことが肝心です。

3. 酒田五法の活用事例

ここからは、実際の相場でどのように酒田五法を活用すればよいのかを、具体的な事例を交えて解説していきます。

3-1. 三山パターンを活用した売り

2022年8月、ドル円の日足チャートを見ると、三山パターンが形成されていました。第1の山と第2の山がほぼ同じ高値を付けた後、第3の山は前二つの山を下回る形となっています。これは典型的な三山パターンであり、相場の天井を示唆するサインと考えられます。 この時点で1時間足のチャートを見ると、ネックラインを割り込んでおり、売りのエントリーチャンスであることが確認できます。ストキャスティクスも上値を追えなくなっていることから、売りポジションを入れることができるでしょう。

3-2. 逆三山パターンを活用した買い

2023年1月、ユーロ/ドルの日足チャートを見ると、逆三山パターンが形成されていました。第1の谷と第2の谷がほぼ同じ安値水準を付けた後、第3の谷は前二つの谷を上回る形となっています。これは、相場の大底を示唆するサインと考えられます。 この時点で4時間足のチャートを見ると、ネックラインを上抜いており、買いのエントリーチャンスであることが確認できます。RSIも30%台まで下落しており、買いのタイミングだと判断できるでしょう。

3-3. 三空叩き込みを活用した買い

2022年10月、ビットコインの1時間足チャートを見ると、3つの空値(ギャップ)が開いた後に大きな陽線が現れる「三空叩き込み」のパターンが確認できました。これは、下降トレンドが一旦終了し、上昇に転じる可能性が高いサインと考えられます。 この時点で4時間足のチャートを見ると、RSIが30%台まで下落しており、買いのタイミングだと判断できるでしょう。三空叩き込みのサインと、RSIの超売られ圏入りが重なったことから、買いポジションを入れることができます。

4. 酒田五法を活用するうえでの注意点

最後に、酒田五法を活用する際の注意点について解説します。

4.1. 騙しに遭遇する可能性

相場には常に「騙し」が存在するため、酒田五法のサインどおりにトレードしても必ずしも勝てるわけではありません。大資金を持つ投資家が相場を操る可能性があるため、上位足の分析や他指標との組み合わせなど、多角的な判断が重要となります。

4.2. 資金管理の重要性

たとえ酒田五法のサインが出ても、資金管理ができていなければ大きな損失を被る可能性があります。レバレッジを控えめにし、1回の損失額を自己資金の2~3%程度に抑えることが肝心です。

4.3. ルールを守り続けることの難しさ

酒田五法のルールを理解しても、実際のトレードではそれを守り続けるのが難しい場合があります。感情に流されずに冷静に判断することや、トレード記録をつけて自身の癖を把握することが重要です。

まとめ

投資の世界で勝ち抜くためには、相場の動きを正確に読み取る能力が欠かせません。そのための強力なツールが「酒田五法」です。本稿では、この伝統的な分析手法の概要と活用方法、実践事例について詳しく解説しました。 酒田五法は、初心者からベテランまで幅広く活用できる優れた分析手法です。上位足の分析、テクニカル指標との組み合わせ、そして冷静な資金管理を意識しながら活用すれば、確実に相場攻略のスキルアップにつながるはずです。ぜひ、この機会に酒田五法の活用法を身につけてみてください。

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