フィボナッチタイムゾーンを活用しても損益は伴う - 使えない理由
フィボナッチタイムゾーンは、FXトレーダーの間で人気の高い手法ですが、その効果については疑問視する声も少なくありません。本記事では、フィボナッチタイムゾーンを使えない理由や原因、そして上手に活用するためのポイントを解説します。
フィボナッチタイムゾーンとは?
フィボナッチタイムゾーンは、時間軸に沿ってフィボナッチ比率を適用する手法です。具体的には、トレンド転換の起点となった時間から一定の比率(23.6%、38.2%、61.8%など)に該当する将来の時間帯を特定し、その付近で価格の反転を予測します。
例えば、ある通貨ペアが9:00に下落トレンドに転じたとします。フィボナッチタイムゾーンでは、この9:00を起点として61.8%に相当する時間後(13:38頃)に反発が起こる可能性があると判断されます。
なぜフィボナッチタイムゾーンが使えないと言われるのか?
フィボナッチタイムゾーンには、以下のような理由で機能しないという指摘があります。
時間と価格の関係性に欠ける
フィボナッチタイムゾーンは、時間の経過と価格変動に相関関係があると前提としています。しかし実際には、時間が経過したからといって必ずしも価格が反転するわけではありません。時間と価格は独立した要素であり、両者を結びつけることには無理がある可能性が高いです。
人為的な解釈が入る余地がある
フィボナッチタイムゾーンを使う際、トレーダーは自身で起点となる時間を特定する必要があります。この起点の設定次第で、ゾーンの位置が大きく変わってしまいます。つまり、主観的な解釈が入る余地があり、客観性に欠けがちです。
チャート時間足の選択が難しい
フィボナッチタイムゾーンを適用する際、どの時間足(1分足、5分足など)を参照するかによって、ゾーンの位置が異なってきます。適切な時間足を選ぶのは容易ではありません。
他の指標との相関性が低い
フィボナッチタイムゾーンは時間情報のみに依存しているため、価格行動を示す他の指標(移動平均線、RSIなど)との相関が低くなりがちです。単独で使うよりも、他の手法と併用した方が効果的です。
フィボナッチタイムゾーンを上手に活用するには?
フィボナッチタイムゾーンには確かに限界がありますが、それでも上手に活用すれば一定の効果は期待できます。以下のポイントを押さえましょう。
トレンド転換時のエントリーに利用する
フィボナッチタイムゾーンは、トレンド転換の際に新たなトレンドへの参入タイミングを見極めるのに適しています。つまり、ゾーンが指し示す時間付近でエントリーすれば、有利な位置取りが可能になる可能性があります。
短期トレードに特化させる
長期的な視点ではなく、短期のスキャルピングやデイトレードに特化してフィボナッチタイムゾーンを使うことをおすすめします。短期間であれば、時間と価格の相関性が高まる傾向にあります。
他の指標と組み合わせる
フィボナッチタイムゾーンは単独よりも、トレンド追従系の指標(移動平均線クロス、MACD、RSIなど)と組み合わせた方が効果的です。時間情報と価格情報を掛け合わせることで、エントリーのタイミングがより明確になります。
複数の時間軸を参照する
1つの時間足だけでなく、複数の時間軸(日足、4時間足、1時間足など)を参照し、それぞれのゾーンを確認することをおすすめします。時間軸ごとにゾーンが重なる部分は、特に注目すべき時間帯と考えられます。
フィボナッチタイムゾーン以外の時間分析手法
フィボナッチタイムゾーン以外にも、時間情報を活用するさまざまな手法が存在します。
ギャンアナリシス
ギャンアリシスは、過去の時間帯に着目し、類似のパターンが現れた際に反転が起こると予測する手法です。時間的な規則性を利用するという点で、フィボナッチタイムゾーンと似ています。
ジャパンタイムウィンドウ
東京時間のある一定の時間帯(例えば9時から13時)に特に価格が動きやすいという考え方に基づく手法です。時間帯ごとに取引参加者が異なるため、時間によって価格行動が変わると想定されています。
トライアンドエラー手法
過去のチャートを分析し、どの時間帯で価格が動きやすいかをデータ的に割り出す手法です。時間情報を客観的な数値として捉え、規則性を見出そうとするアプローチといえます。
まとめ
フィボナッチタイムゾーンは理論的な根拠に乏しく、単独で使うと機能しない可能性が高いです。しかし、他の指標と組み合わせたり、短期トレードに特化させたりすることで、一定の効果は期待できます。時間情報を活用する手段としては、フィボナッチタイムゾーン以外にもさまざまな選択肢があります。トレーダー自身が、自分に合った手法を見つけることが何よりも大切です。
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