FXチャートを読み解く決め手 - サイクル理論の活用術
はじめに
FXトレーダーにとって、相場の流れを正確に捉えることは利益を上げる上で欠かせません。しかし、FXチャートに一定のルールや法則性があるとは限りません。相場は常に変化し続け、予測が難しいのが実情です。そんな中、サイクル理論はチャートの分析に新たな視点を提供してくれます。
本記事では、FXトレードにおけるサイクル理論の活用方法について詳しく解説していきます。サイクル理論の基本的な仕組みから、各サイクルの特徴、そしてサイクル理論を用いたエントリーポイントの見極め方まで、初心者からベテランまで幅広い層に向けて解説します。さらに、サイクル理論を活用する際の注意点も併せてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
FXサイクル理論の基礎
サイクル理論とは
FXの相場は常に上昇と下降を繰り返し、この周期を「サイクル」と呼びます。サイクル理論とは、この相場のサイクルに一定のパターンがあることに着目し、それを分析して取引に活用する手法です。
具体的には、「安値から次の安値」を1つのサイクルと定義し、その周期性を捉えることがサイクル理論の基本的な考え方です。そのため、チャートの形は必ず高値(天井)を経由して山のような形になります。
サイクル理論を活用することで、相場の大まかな流れを読み取ることができ、適切なタイミングでの売買判断が可能になります。
サイクル理論の2つの形
サイクル理論には主に「ライトトランスレーション」と「レフトトランスレーション」の2つの形があります。
ライトトランスレーション
取引開始時の安値よりも高い価格で次の安値が訪れるサイクル
高値がサイクルの中間より後方に位置する
上昇トレンドにあり、買いのシグナルが強い
レフトトランスレーション
取引開始時の安値よりも低い価格で次の安値が訪れるサイクル
高値がサイクルの中間より前方に位置する
下降トレンドにあり、売りのシグナルが強い
トレーダーはサイクルの形を見極め、その特徴に合わせて売買のタイミングを判断することが重要です。
FXのサイクル理論の7つの種類
サイクル理論は、その周期によって大きく7種類に分類されます。それぞれのサイクルには特徴があり、トレードスタイルに合わせて使い分けることが求められます。
1dayサイクル
1日を1つのサイクルとする短期的なもの
1分足や5分足などの超短期足で確認する
スキャルピングなどの超短期トレードに適している
4Hサイクル
5~8日を1つのサイクルとする
4時間足で確認する
デイトレードなどの短期トレードに活用できる
トレーディングサイクル
10~18日を1つのサイクルとする
メジャーサイクルの中に複数含まれる
メジャーサイクル
20~35日を1つのサイクルとする
日足で確認する
プライマリーサイクルの半分のサイクルとも呼ばれる
プライマリーサイクル
18~30週を1つのサイクルとする
週足で確認する
スイングトレードに最適
中間(季節)サイクル
12~20ヵ月を1つのサイクルとする
長期的な視点での分析に活用できる
長期サイクル
40~100ヵ月を1つのサイクルとする
最も長期的なサイクル
これらのサイクルは、時間軸が長くなるほど値動きの大きさも増していきます。自身のトレードスタイルに合わせて、適切なサイクルを選択することが重要です。
サイクル理論のローソク足の数え方
サイクル理論では、ローソク足の本数を基準にサイクルを判断します。各サイクルの特徴は以下の通りです。
サイクル使用時間足1サイクルのローソク足本数1dayサイクル1分足 / 5分足60~83本4Hサイクル4時間足60~80本メジャーサイクル日足35~45本プライマリーサイクル週足15~21本
ただし、これらの数値は目安であり、必ずしも決まりきった本数ではありません。80%程度の確率でこの範囲に収まるといわれています。
トレーダーはサイクルの種類に合わせて、ローソク足の本数を数えることで、より正確なサイクル分析が可能になります。
サイクル理論を活用したエントリーポイントの見極め方
サイクル理論を活用したエントリーポイントの見極め方は以下の3ステップで行います。
STEP1. 直近の底を探す
まずは、チャートから直近の底値を確認します。これは、プライマリーサイクル、メジャーサイクル、4Hサイクルの順に行います。
STEP2. 現在のローソク足の位置を把握する
次に、現在のローソク足が底から何本目にあたるかを数えます。これも同様にプライマリーサイクル、メジャーサイクル、4Hサイクルの順に行います。
STEP3. 今後のシナリオを予測する
上位のサイクルがライトトランスレーションかレフトトランスレーションかを確認し、それに合わせて4Hサイクルの動きを予測します。
ライトトランスレーションの場合: 上昇局面での買いエントリー
レフトトランスレーションの場合: 下降局面での売りエントリー
このように、サイクル理論を活用すれば、相場の大まかな流れを把握しつつ、適切なタイミングでのエントリーが可能になります。
サイクル理論を活用する際の注意点
サイクル理論は有効な分析手法ですが、単独では万能ではありません。以下の点に注意しながら活用することが重要です。
サイクル理論だけに頼らない
サイクル理論は相場の大まかな流れを把握する手段ですが、エントリーやリスク管理の根拠としては不十分です。他のテクニカル指標や分析手法と組み合わせて活用することをおすすめします。
大きなサイクルから分析する
サイクル理論を使う際は、プライマリーサイクルやメジャーサイクルなど、大きなサイクルから分析を行うことが重要です。上位のサイクルが優位性が高く、信頼できるサイクルだからです。
サイクルの重複に注意する
1つのサイクルの中に複数のサイクルが含まれていることがあります。例えば、プライマリーサイクルの中にメジャーサイクルが23つ、メジャーサイクルの中に4Hサイクルが23つ存在するケースです。 このように、サイクルが重複している場合は、慎重な分析が必要となります。
サイクル理論を活用したトレード事例
ここでは、サイクル理論を活用したトレード事例を紹介します。
ライトトランスレーションのケース
ライトトランスレーションが確認できた場合、以下のようなトレードが考えられます。
4Hサイクルで、直近の安値から60本前後のローソク足が形成された時点で買いエントリー
安値を更新しないことを確認し、ポジションを保持
4Hサイクルの残り本数(約20本)が経過した時点で利益確定
レフトトランスレーションのケース
レフトトランスレーションが確認できた場合は、以下のようなトレードが考えられます。
4Hサイクルで、直近の高値更新ができない局面を確認して売りエントリー
安値を更新したことを確認し、ポジションを保持
4Hサイクルの残り本数(約20本)が経過した時点で利益確定
このように、サイクル理論を活用すれば、相場の流れに沿った売買タイミングの判断が可能になります。ただし、あくまでも参考程度に留め、他の分析手法と組み合わせて活用することが重要です。
サイクル理論とテクニカル指標の組み合わせ
サイクル理論を単独で使うよりも、他のテクニカル指標と組み合わせて活用すると、より精度の高いトレードが可能になります。
代表的な組み合わせ方は以下の通りです。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、価格の変動性を示すインジケーターです。サイクル理論では、ボリンジャーバンドの±2σラインがサイクルの高値・安値のサインとなります。
RSI
RSIは「買われすぎ」「売られすぎ」を示すオシレーターです。サイクル理論では、RSIの高値(70以上)と低値(30以下)がサイクルの高値・安値のサインとなります。
このように、サイクル理論とテクニカル指標を組み合わせることで、より精度の高いエントリーポイントの判断が可能になります。
まとめ
本記事では、FXトレードにおけるサイクル理論の活用方法について解説しました。
サイクル理論は、FXチャートの中に一定の周期性があることに着目した分析手法です。ライトトランスレーションとレフトトランスレーションという2つの基本形を理解し、自身のトレードスタイルに合わせて適切なサイクルを選択することが重要です。
また、サイクル理論を活用したエントリーポイントの見極め方や、注意点についても解説しました。サイクル理論は相場の大まかな流れを把握する手段ですが、単独では万能ではありません。他の分析手法と組み合わせて活用することで、より精度の高いトレードが可能になります。
FXトレードを行う上で、サイクル理論は強力な武器の1つと言えるでしょう。ぜひ本記事を参考に、サイクル理論を活用したトレード手法を身につけていきましょう。
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