先行期、追随期、利食期 - 相場の3段階を理解して勝率アップを目指す
はじめに
相場の動きを見極めることは、FXトレーダーにとって最も重要な課題の1つです。相場の方向性を正しく捉えることができれば、勝てるチャンスが大きく広がります。そのためには、相場の動きの特徴を知り、それを活用する手法を身につける必要があります。
本記事では、代表的な相場分析理論であるダウ理論とエリオット波動理論に着目し、相場の3つの段階「先行期」「追随期」「利食期」について詳しく解説します。これらの知識を活用することで、相場の変化を見逃すことなく、より確実な取引ができるようになるでしょう。
ダウ理論とエリオット波動理論の概要
まずは、ダウ理論とエリオット波動理論の基本的な内容について確認しましょう。
ダウ理論とは
ダウ理論は、19世紀末に米国の証券アナリスト、チャールズ・ダウによって提唱された相場分析理論です。主な内容は以下の6つの原則から成り立っています。
価格はすべての事象を織り込む
トレンドは長期・中期・短期の3種類ある
トレンドは先行期・追随期・利食期の3段階からなる
平均は複数の銘柄で相互に確認される
トレンドは出来高でも確認できる
トレンドは明確な転換サインが出るまで続く
エリオット波動理論とは
一方、エリオット波動理論は、米国の株式アナリスト、ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した相場分析理論です。エリオット波動理論は、相場の値動きに5つの上昇波と3つの下降波が周期的に現れるというものです。
具体的には、上昇5波と下降3波からなる基本パターンが存在し、この波動がさらに入れ子構造になっていくというものです。エリオット波動理論では、この波動パターンを見極めることで、相場の方向性や目標価格を予測することができます。
相場の3段階:先行期、追随期、利食期
ダウ理論の3つ目の原則では、相場のトレンドは「先行期」「追随期」「利食期」の3段階から成ると説明されています。これら3つの段階を理解することで、相場の変化を見逃すことなく捉えることができます。
先行期
まず、「先行期」は相場の初期段階です。ここでは、大口の投資家や機関投資家などが先行して買い注文を出すことで、価格が緩やかに上昇していきます。一般投資家はまだ様子見の状態です。
先行期は、急激な値動きはないものの、価格の上昇基調が確認できる重要な局面です。この時期にエントリーすれば、相場の大きな上昇局面に乗れる可能性が高まります。
追随期
次に「追随期」は、先行期の緩やかな上昇に一般投資家が追随し始める段階です。このため、価格変動が大きくなっていきます。
追随期は相場の活性化が最も高まる時期で、ここでのエントリーが最も大きな利益を生む可能性があります。ただし、相場の変化も激しくなるため、リスク管理に十分気をつける必要があります。
利食期
最後に「利食期」は、先行期からポジションを持っていた投資家が利益確定のために売り注文を入れる段階です。また、先行期の大口投資家の情報が一般に公開されるタイミングでも、個人投資家などからの売り注文が増えます。
利食期は相場の上昇局面が一服する時期です。この段階でのエントリーは避けるべきでしょう。なぜなら、相場は反転しやすく、大きな損失を被る可能性が高いためです。
先行期、追随期、利食期の見分け方
相場の3段階を見極めるには、チャートの形状に注目することが重要です。
具体的には、以下のような特徴を確認します。
先行期:価格が緩やかに上昇し、高値と安値が徐々に上昇している状態
追随期:価格変動が大きくなり、高値と安値の幅が広がっている状態
利食期:高値が伸び悩み、安値も下落傾向に転じている状態
また、出来高の動きも参考になります。
先行期:出来高が少ない
追随期:出来高が大幅に増加
利食期:出来高が減少に転じる
このように、価格の動きと出来高の推移を確認することで、相場の3段階を見分けることができます。
先行期、追随期、利食期を活かしたトレード手法
では、相場の3段階を意識したトレード手法について見ていきましょう。
先行期でのエントリー
先行期は、価格の上昇基調が確認できる重要な局面です。そのため、この時期にエントリーすれば、相場の大きな上昇局面に乗れる可能性が高まります。
具体的には、直近の高値を上回る水準でのロングエントリーが有効です。この際、安値を下回る水準に損切りラインを設定することで、リスクを抑えたトレードが可能です。
追随期のタイミング
追随期は、相場の活性化が最も高まる時期です。ここでのエントリーが最も大きな利益を生む可能性があります。
しかし、相場の変化も激しくなるため、エントリーのタイミングを逸するとすぐに損失に転じる可能性があります。そのため、チャートパターンやテクニカル指標を活用し、適切なエントリータイミングを見極める必要があります。
利食期でのエントリー回避
一方、利食期は相場の上昇局面が一服する時期です。この段階でのエントリーは避けるべきです。なぜなら、相場は反転しやすく、大きな損失を被る可能性が高いためです。
利食期は、先行期からポジションを持っていた投資家が利益確定のために売り注文を入れる段階です。そのため、この時期にエントリーすると、大口投資家の売りに巻き込まれる可能性が高くなります。
エリオット波動理論との関係
ダウ理論で説明される相場の3段階は、エリオット波動理論とも深い関係があります。
エリオット波動理論では、相場の値動きに5つの上昇波と3つの下降波が周期的に現れるとされています。
この中で、ダウ理論の「先行期」は、エリオット波動理論の上昇5波のうちの第1波に相当します。
また、「追随期」は第3波に、「利食期」は第5波に対応しています。
すなわち、ダウ理論で説明される3段階の相場の動きは、エリオット波動理論の波動パターンの中に組み込まれているのです。
このように、ダウ理論とエリオット波動理論は相互に補完し合う関係にあります。両理論を組み合わせて活用することで、より精度の高い相場分析が可能になります。
先行期、追随期、利食期を活用したトレード事例
ここでは、実際の取引事例を交えながら、先行期、追随期、利食期を意識したトレード手法について解説します。
事例1:先行期でのエントリー
米ドル/円の4時間足チャートを見てみましょう。
ここでは、直近の高値を上回る水準でロングエントリーしています。この時点では、価格の上昇基調が確認できる「先行期」の局面と判断できます。
その後、価格は順調に上昇し、大きな利益を得ることができました。先行期のエントリーは、相場の大きな上昇局面に乗れる好機となりました。
事例2:追随期でのエントリー
次に、ユーロ/円の1時間足チャートを見てみましょう。
ここでは、価格変動が大きくなり、「追随期」の局面と判断できます。この時期にエントリーすれば、大きな利益を得られる可能性が高まります。
実際、このタイミングでロングエントリーすることで、大きな利益を得ることができました。追随期のエントリーは、相場の活性化が最も高まる好機と言えるでしょう。
事例3:利食期でのエントリー回避
最後に、豪ドル/円の1時間足チャートを見てみましょう。
ここでは、高値が伸び悩み、安値も下落傾向に転じている「利食期」の局面と判断できます。この時期にエントリーすれば、大きな損失を被る可能性が高まります。
実際、このタイミングでエントリーすると、すぐに反転して大きな損失を被ることになります。利食期は、相場の上昇局面が一服する時期であり、エントリーを避けるべき局面だと言えるでしょう。
まとめ
本記事では、ダウ理論とエリオット波動理論を基に、相場の変動局面を「先行期」「追随期」「利食期」の3段階に分けて解説しました。
これらの相場の3段階を意識し、適切なタイミングでエントリーすることで、より確実な取引が可能になります。特に、先行期と追随期のエントリーは有効活用できる好機となります。一方、利食期でのエントリーは避けるべきです。
また、ダウ理論とエリオット波動理論は相互に補完し合う関係にあるため、両者を組み合わせて活用することで、より精度の高い相場分析ができるようになります。
FXトレードにおいて、相場の変化を見逃すことなく捉えることは非常に重要です。本記事で紹介した内容を理解し、実践に活かしていくことで、勝率の向上につなげていくことができるでしょう。
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