見出し画像

#92 しっとり - 毎日投稿52日目

今朝は腕から下が全部うっすら濡れてしまう、傘の守備範囲を貫通する頼りない霧雨でした。降水確率は20%〜50%で、お昼前くらいには止む、と聞いた気がします。随分降り止みませんでした。
帰宅中、おそらく今朝の天気予報をキチンと見て、雨が止んだタイミングで干したであろう各ご家庭の洗濯物に多少同情しました。他所のお宅の洗濯物をジロジロ見るのも趣味が悪いので、チラ見だけして心の中で合掌。僕も同じような事を何度も味わってるから、ドンマイの気持ちです。

僕は僕でおろしたての革靴が雨に打たれる様子をひたすら眺めてました。こんなに頼りない雨粒でも、革靴はもちろんスーツもカバンもじっとりさせるに足るパワーを秘めている事に驚きです。涓滴岩を穿つ、ですね。若干誤用してる気がなくもないですが、大枠で言いたい事はこういう事です、良くも悪くも。

誤用といえば『穿つ』を「斜に構えた、ひねくれた」的な用法で使っている人多いですね。斯くいう僕も社会人になるまで知らなかったので、「やーい間違えてやんのダッサwww」なんて言うつもりは更々ありません。そのうち国語辞典で「どっちの意味でも正しい」とか載るようになるかもしれません。
言葉は生き物、という考えは否定しませんが、みんなそれで覚えちゃったからもう仕方ないか。そんな妥協で言葉が変わっていくとしたら、それは少し嫌だなぁ。でも僕が今使ってる言葉も、両親や祖父母やそれよりもっと前に生きていた人たちが紡いできた形なんだと思うと、それはそれで慈しんでやらないとなぁ。

少し前になりますが、フジテレビのノイタミナ(大人が楽しめるアニメをテーマにした深夜放送枠)で、『舟を編む』(原作三浦しをん、光文社出版)という作品がアニメ化されていました。実写ドラマ、映画もやってましたね。
出版社に勤める主人公が、新しい辞書を作る物語です。信頼、友情、対立、恋愛や結婚など、辞書作りに携わる人たちの人間模様を描いた群像劇です。

口下手なのに営業部員の馬締光也と、一見チャラ男だが辞書編集部員である西岡正志は、偶然、街中で出会う。

中型国語辞典『大渡海』の刊行計画が進む、出版社・玄武書房のベテラン編集者・荒木は、自身の定年を間近に控えて後継者を探しに躍起になっていた。そんな中、西岡から馬締の話を聞き、彼をスカウトすることに……。

人をつなぐ-言葉を編む

伝わらない言葉。伝えられない想い。
これは、そんな不器用な人間達の物語である。

舟を編む アニメ公式ホームページから引用

言葉の定義や解釈に悩みながら、言葉で繋がる人同士の関係に心が温かくなる作品です。
ドラマと映画は観ていないのでそちらの感想は言えないのですが、レビューを見る限り原作ファンにも概ね好評なようです。
ドラマはアマプラで見られるので、ご興味を持たれた方はご覧になってみてください。僕も近々見てみます。


夕方前くらいにようやく晴れて明るくなりました。他所の一部のご家庭の、しっとりしてしまったであろう洗濯物たちの行方が少し気になります。
今日くらいの霧雨だと僕は洗濯し直すけど、太陽の力に委ねて霧雨を無かった事にしちゃう人もいるかもしれません。逞しいことです。知らんけど。

いいなと思ったら応援しよう!