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#80 you are gone - 毎日投稿40日目
今日は高校生の頃に友人から薦められて聴くようになり、めちゃくちゃハマった"Water Closet"というバンドを久しぶりに聴きました。
Water Closet - MARIGOLD
Water Closet(以下WC)は男女ツインボーカルという今見ても割と珍しいスタイル。西海岸系ファストパンクをベースに、ロックンロールや時には歌謡曲チックなメロディを乗せた楽曲を、絡み合うツインリードとウォーキングベースで届けてくれました。
Water Closet(以下WC)が当時所属していたレーベルPizza of Deathは横山健さん(Hi-STANDARD/KEN BAND)が主宰という事もあって、所謂メロコアバンドにカテゴリされていました。
もっとスイングしてるのでメロコアの括りで語られるのは個人的に好きではなかったのですが、メロコアに被れた友人たちは健さん最高!メロコア最高!でもWCはメロコアじゃないからダメ!的な事を言っており、どうもその風潮好きになれず、健さんやメロコアは好きだけどメロコアを好きと言ってる人は好きじゃない、みたいな妙にひねた考え方をしていました。
今にすれば随分小さい事で他人と壁を作っていましたが、いなす方法は覚えても考え方自体はそれほど大きく変わっていません。
Water Closetは、そういうダサくて一人になりがちな考えの人にも「ダサくてもそのままで良くね?」と言ってくれるようなバンドでした。
Water Closet - let's just rock
西海岸系ファストパンクブームとそのフォロワーが台頭していた当時、独特の個性と馴染みやすさが不思議と共存していたWC。
音楽はもちろん、ファッションもライブのテンポも「カッコいいんだけどなんか垢抜けない」感じが常に漂っていて、そんなカッコつきすぎないWCが大好きでした。
WATER CLOSETは、ポップサウンドが持つ本来の姿【安直でも、難解でもなく、良い浸透性】を持つロックバンドだ。1曲1曲のメンバーのリアルな気持ちを、心地よく、自然とライブを観ている者やリスナーへと感じさせる。退屈で類似なポップなロックバンドが殖えている中、更なる独自のサウンドを追い求め続けるバンドそれがWATER CLOSET。鋲ジャン着てるだけがPUNKじゃない。
メンバーチェンジが激しいバンド(特にドラム)でしたが、特に2003年~2005年の編成は本当に渋くてカッコよかったです。
Shimoさん(Vo/Ba)、Asukaさん(Vo/Gt)のバンドの中核となるツインボーカルに、Etsushiさん(Vo/Gt)の遊び心満載のリード、Aniさん(Vo/Dr)のスタイリッシュで漢くさいドラムが生み出す空間が大好きで、しょっちゅうライブを見に行っていたのを覚えています。
Aniさんが脱退する最後のライブがHusking Beeの解散ツアー大阪公演の日だったので、バンド練習の後夜行バスで大阪まで向かい、大した観光もせずライブを見てその日の夜に夜行バスで帰ってきました。ハスキンも当時大好きで解散を惜しんでいたのは間違いないのですが、それ以上にAniさんの脱退が衝撃で、もしかしたらこれ以降WCのライブは見られないんじゃないか、と感じていました。
Water Closet - SMASH THE THINGS THAT SMASH YOU
音源としてはAniさんが最後に参加した楽曲になります。マジでカッコいい。
一時の活動休止期間はあったものの、その後新たなドラムを加え、ライブをやったり音源をリリースしたりとWCの活動は続いていました。
この頃には僕も社会人になり、WCに限らずライブに行く機会自体が減ってきていたのですが、WCの自主企画『SINGING ABOUT』は定期的に開催されていたので、それだけは食らいついて参加していました。
ShimoさんAsukaさんの、カッコいいのにどこかいなたいボーカルや遊び心に溢れたリフ、どこまでもロールするなんか優しい楽曲、タバコの匂い、お酒、鋲ジャン、他のバンドではなかなか見ない独特の機材センス。
全部の要素をひっくるめた空間の心地良さが溢れていて、あまりライブに行かなくなってからもライブハウスに引き留めてくれていました。
Water Closet - LIVE AT SINGING ABOUT vol.39 TRAILER
WCはその後自主企画やブッキングライブを続け、2018年に活動休止を発表しました。
出会ってからもう20年以上経ちました。
楽曲に古さを感じないか、と言われれば正直出会った時から最新ではないと思っていたバンドですが、独特なメロディとコーラスワーク、彼らにしか生み出せなかった温かな空間は、今でもずっと鮮やかな思い出として残っています。
思い出をザックリ振り返るだけで妙に長い文章になってしまいました。
最後に僕がWater Closetの中で特に大好きで、思い入れのある曲の動画を貼っておきます。
つい口ずさみたくなる儚げなメロディが印象的で、WCのエッセンスが特に詰め込まれた楽曲だと思います。
Water Closet - YOU ARE GONE
夢の中に描いた完璧な君は、目が覚めたらどこかへ消えてしまっていた。そんな歌です。
いつかまた彼らの音楽がライブハウスで鳴り響く日が来て欲しいと願っています。