時のパワーズ•オブ•テン7

第七章:科学技術の光と影
(100 年 = 1 年の 10の2 乘倍)

20 世紀は、科学技術が驚異的な進歩を遂げた時代でした。その進歩は、人類に光と影をもた
らしました。本章では、その象徴的な二つの出来事を取り上げます。
破壊の夜明け:原子爆弾の発明
1945 年、人類は初めて原子爆弾の威力を目の当たりにしました。広島と⻑崎に投下された原

20 世紀は、科学技術が驚異的な進歩を遂げた時代でした。その進歩は、人類に光と影をもた
らしました。本章では、その象徴的な二つの出来事を取り上げます。
破壊の夜明け:原子爆弾の発明
1945 年、人類は初めて原子爆弾の威力を目の当たりにしました。広島と⻑崎に投下された原爆は、一瞬にして数十万人の命を奪い、都市を壊滅させました。広島型原子爆弾の質量は 4400kg。 それ以前の爆薬が全て、化学反応を利用していたのに対し、核分裂連鎖反応という根本的に異 なるメカニズムをもっていました。それは、同じ質量の TNT 爆弾と比較して 3400 倍ものエネ ルギーを放出しました。
これが当時の最新科学の成果であっただけでなく、原子爆弾の開発そのものが科学の発展を 推し進めたことは皮肉というしかありません。また、大統領への手紙を用意したレオ・シラー ド、そこに署名したアインシュタイン、また原子爆弾の開発で中心的な役割りを果たした天才 達の多くが、ナチスを恐れ、アメリカに亡命してきたユダヤ人でした。完成した原子爆弾のタ ーゲットが、なぜか日本になったことは、人間の歴史上、類を見ないほどの不条理です。 希望の光:月面着陸の成功
1969 年、アポロ 11 号が月面着陸に成功し、人類は初めて地球以外の天体に足を踏み入れま した。ニール・アームストロング船⻑の「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類 にとっては偉大な飛躍である」という言葉は、世界中に感動と希望を与えました。テレビ中継 を通じて、月面に降り立つ宇宙飛行士の姿は、人々に未来への夢と可能性を感じさせました。 月面着陸は、冷戦下におけるアメリカとソ連の宇宙開発競争の象徴的な成果でした。スプート ニク 1 号の打ち上げに始まり、有人宇宙飛行、そして月面着陸へと、両国は技術力を競い合い ました。
月面着陸は、人類が協力すれば、偉大な目標を達成できることを示しました。地球で誕生し た生命が、進化の果てに、とうとう別の天体の上に降り立ったのです。それはアメリカの勝利 というよりは、人類の勝利だったのです。科学技術が、人類の夢と希望を実現する力を持つこ とを証明したのです。
科学技術の未来 月面着陸は人類が成し遂げた究極の偉業ですが、科学技術は核兵器によって人類を滅亡させ
る可能性があります。AI、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなど、現代社会において も、新たな科学技術が次々と生まれています。これらの技術は、私たちの生活を豊かにする可 能性を秘めている一方で、倫理的な問題や環境への影響など、新たな課題も提起しています。

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