「ファンダメンタルズに近づく株式相場:相場の方向を決める2通りの道」
<株式相場を4つの視点から専門家が分析する「資産運用のブティック街(*)」より引用。>
株式相場はコロナ禍の直撃によって年初から激しい動きを続けています。しかし、そんな中、相場は基礎的条件であるファンダメンタルズに近づきつつあり、正常化に向かっていると言えます。
下の図は今年初の1月6日から直近の6月25日までの日経平均と、ファンダメンタルズに見合う日経平均の水準を示す「理論株価」の推移を日次ベースで示したグラフです。
日経平均と理論株価の推移
―2020年1月6日~2020年6月25日―
紺色の線が日経平均、赤線が理論株価です。期初の1月6日と直近の6月25日、そして日経平均が理論株価を最も下回った3月19日と逆に日経平均が最も理論株価を上回った5月18日について、当日の日経平均と理論株価、およびかい離率を合わせて記しています。
3月19日のかい離はファンダメンタルズに大きな変化がない一方で投資家がコロナ禍の先行きに対してそろって不安を高め一斉に売りが集中した結果相場が急落したものです。いわゆる「リスクオフ」の状態です。
5月18日のかい離は逆に相場が堅調な中でファンダメンタルズが急低下したためです。これはファンダメンタルズの主要要因である企業の業績見通しが期初の段階で極端に悲観に振れたことによります。その後この行き過ぎは是正され、足元の業績は底値の2倍まで回復しており、相場はファンダメンタルズに近づきつつあると言えます。
とはいえ、直近時点で日経平均と理論株価の間には4千円弱の差があり、また、これまでの経験則からいずれ相場とファンダメンタルズは一致するものとすると相場は今後の大きな変動のマグマを抱えていることになります。
すなわち、ファンダメンタルズの方が相場に近づくか、相場の方がファンダメンタルズにサヤ寄せされるかによって、その差は端的に日経平均と理論株価の差で示されます。
どちらの道筋を辿るかはコロナ禍が一応の終息を見せる時期にかかってきます。以下は短期終息の場合と長期に及ぶ場合の日経平均の水準を占ったものです。
1.短期終息の場合。
人の動きが活性化、経済が動き出すことで業績の回復が一段と進み理論株価(ファンダメンタルズ)が上昇して日経平均(相場)に追いつく。
日経平均は現状を維持した上で市場に安心感が広がれば2万3千円台超えも。
2.長期に渡る場合。
経済の停滞が続きファンダメンタルズ回復のメドが立たなくなる中で日経平均が現状を維持する力が尽きて下落、理論株価(ファンダメンタルズ)に一致する。
日経平均が現状維持の力が尽きる時点の理論株価の水準まで低下。2万円割れも。
現下の情勢から長期派の見方がやや勝っているように見られますがいかがでしょう。
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(有)インテリジェント・インフォメーション・サービス
講師:日暮昭
日本経済新聞社で30年以上に渡りマクロ計量モデル、ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数等の開発に係わる。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。
(*)ご注意:
当コラムは投資推奨をするものではありません。当コラムを基に行った投資の結果について筆者とインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。
(*)「資産運用のブティック街」:
大手経済新聞社OBを中心にファンドマネージャー、チャーチスト、海外事情に詳しい大学教授が集結し、それぞれの専門分野から株式投資の基本から応用までを身につけるための講座を構成する投資学習サイトです。
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