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ドル円は円高修正から143円台回復、欧州通貨は下落 外国為替(FX)・デイリーレポート2024.10.1(2024.9.30)

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外国為替グループ

市況概況
 30日の外国為替市場でドル円(USD/JPY)は一時141.63円付近まで円高が進んだ。週末の自民党総裁選で金融政策についてタカ派とされる石破氏が勝利したことで日銀による利上げが警戒されるなか、週末に続き円買いが先行する展開になった。一方で、新総裁に就任した石破氏は29日、テレビ番組に出演し、利上げに慎重な姿勢を示した。番組内での金融政策についての質問に対し「緩和の方向性は維持しなければいけない」と述べるなど、やや方向性を転換してきた可能性も指摘されている。その後、欧州時間帯以降はドルが上昇したことで円買いも一巡し、円安へと転じた。米国時間帯にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で「連邦公開市場委員会(FOMC)は急いで利下げをしようとしているわけではない」と述べたことを受け、11月のFOMCでの大幅利下げ観測が後退し、ドルが上昇幅を拡大する展開となり、ドル円(USD/JPY)は143.950円付近まで上昇した。この日、パウエルFRB議長は全米企業エコノミスト協会(NABE)での講演で「経済が概ね予想通りに発展すれば、政策は時間の経過とともにより中立的な姿勢へと移行する」としたが、利下げペースについての姿勢は示さなかった。一方で、講演後の質疑応答では、利下げの見通しについて「時間をかけて展開されるプロセス」とし、「FOMCは急いで利下げをしようとしているわけではない」と述べた。この発言を受けて、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )は、11月のFOMCで50bpの利下げが実施される確率が27日の53.3%から37.1%へ低下し、25bpの利下げが実施される確率は46.7%から62.9%へ上昇した。

 ユーロドル(EURUSD)は下落した。欧州時間帯序盤には1.12085ドル付近まで上昇する場面も見られたが、その後はユーロ圏の弱い経済指標や欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言を受けて10月のECB理事会での追加利下げ観測からユーロ売りが優勢となり、下落へと転じた。米国時間帯にはパウエルFRB議長が「FOMCは利下げを急いでいない」と発言したことを受け、ドルの買い戻しが進むなか、ユーロドル(EURUSD)は一時1.11134ドル付近まで下落した。終盤は安値修正の動きから1.11300ドル台を回復したものの、この日の戻りは限定された。ドイツ連邦統計庁が発表した9月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比1.8%上昇となり、前月の2.0%上昇から鈍化し、市場予想の1.9%上昇を下回った。また、国内基準(CPI)は前年同月比1.6%上昇となり、前月の1.9%上昇から鈍化した。先週に続きEU圏の物価が落ち着きつつあることが確認出来る内容となり、ECBの利下げを後押しすると市場では受け止められた。また、ECBのラガルド総裁はブリュッセルで開催された議会公聴会で、「ECBはインフレ率が目標の2%に回帰するとの自信を強めており、これを10月の政策決定に反映させるべきだ」と述べた。

 ポンドドル(GBPUSD)は米国時間帯終盤になって下落した。日本時間帯から米国時間帯中盤までは1.33600~1.34280ドルのレンジ内で方向感を探る展開となっていたが、ドルの上昇を受け米国時間帯終盤には一時1.33470ドル付近まで下落した。ただ、NYクローズにかけて買い戻され1.33730ドル付近まで下落幅を縮小し、この日の膠着レンジへと回帰した。この日、英国立統計局(ONS)が発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)確報値は前期比0.5%増となり、速報値の0.6%増から小幅に下方修正された。前期の0.7%増加からは鈍化し、市場予想の0.6%増を下回った。また、ONSが発表した英国の第2四半期の経常収支(貴金属を除く)は224億ポンドの赤字となり、前期から58億ポンド赤字が拡大した。経常収支の赤字拡大やGDPの減速はポンド売りを促す材料になり得るが、主要国のなかでは減速ペースが緩やかなことやイングランド銀行(BOE)が利下げに慎重な姿勢を示していることが下支え要因になったと見られる。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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