ドル円は一時153円台前半へ下落も米国時間帯終盤には154円台後半まで上昇 FX・デイリーレポート2024.11.20(2024.11.19)
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19日の外国為替市場ではドル円(USD/JPY)はやや円買いが優勢となり、日本時間帯から欧州時間帯序盤にかけて円高進行し一時153.29円まで下落した。日本時間の午前中に閣議後の会見で加藤財務相が「極めて高い緊張感をもって注視するとともに、行きすぎた動きに対しては適切な対応を取りたい」と改めて円安をけん制する発言をしたこと受け、介入への警戒感から円の買い戻しが進んだ。ただ、米国時間帯に入ると、円を売る動きが優勢となり、終盤には154.70円付近まで上昇した。前日に植田日銀総裁が講演で利上げについて言及しなかったことや、トランプ次期政権の政策によるインフレ再燃懸念を受けた米国の利下げペース鈍化見通しを背景とした先行きの日米の金利差拡大への根強い懸念から再び円が売られ、ドル円の下値を支えた模様。
ドルインデックス(DXY)はほぼ横ばい。欧州時間帯にはウクライナ情勢の悪化を受けた地政学リスクの高まりから、ユーロが下落したことで一時106.63付近まで上昇したものの、その後は米住宅着工件数の減少を受けドル売りが優勢となり、終盤には106.15付近まで下落した。トランプトレードが一服し直近の高値圏からは水準を切り下げているものの、106.00~106.10が下値サポートとして意識されている模様。
米商務省が19日に発表した10月の住宅の着工件数(季節調整済み)は年率換算で131万1000件となり、前月の135万3000件から減少し、市場予想の133万件を下回った。また、先行指標とされる建築許可件数は141万6000件となり、前月の142万5000件から減少し、市場予想の143万件を下回った。
ユーロドル(EURUSD)は欧州時間帯序盤にウクライナ情勢の悪化を受け地政学リスクの高まりからユーロ売りが優勢となり、一時1.0523ドル付近まで下落した。ロイター通信の報道によると、ウクライナは19日、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使用し、ロシア西部ブリャンスク州の兵器庫を攻撃したと発表した。これに先立ってバイデン大統領は17日にウクライナに対しATACMSの使用許可を始めて与えていた。一方でロシアは米国製武器の使用緩和について戦争が激化するとし、「第3次世界大戦」に発展すると警告していた。
ただ、その後はドルが下落したことを受けユーロが買い戻される展開となり、米国時間帯終盤には前日のNYクローズ時点と同水準の1.0594ドル付近まで上昇した。
また、この日は欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)がユーロ圏の10月の消費者物価指数(HICP)確定値を発表したが速報値からの修正はなく、市場への影響は見られなかった。尚、ユーロスタットが発表したユーロ圏の10月のHICP確定値は速報値からの修正はなく前年同月比2.0%%上昇となり、市場予想の2.0%上昇と一致した。前月は1.7%上昇だった。また、変動の激しい食品とアルコール、タバコ、エネルギー価格を除いたコアHICP確定値は速報値から修正はなく前年同月比2.7%上昇となり、市場予想の2.7%上昇と一致した。前月も2.7%上昇だった。
また、欧州中央銀行(ECB)が19日に発表した9月のユーロ圏経常収支は日数及び季節調整済みで370億269万ユーロの黒字となり、前月の354億3188万ユーロから増加した。
ボンドドル(GBPUSD)は欧州時間帯にユーロ同様に12615ドル付近まで下落したものの、その後はドル安を受けて買い戻され終盤には前日のNYクローズと同水準の1.2680ドル付近まで上昇した。
(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
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