ビットコイン・デイリーレポート2024.7.17(2024.7.16)マウント・ゴックス社弁済を実施も下落は一時的、欧州時間帯に反発
市況概況(ビットコイン)
16日のビットコインは小幅続伸。BTCUSDはアジア時間帯序盤に65,000ドルに達した。ドイツ政府機関による取引所へのビットコインの送金が完了し、売却圧力に対する市場の警戒感が後退したことや米大統領選で優位に立つトランプ前大統領が暗号資産に友好的なことが引き続き好感された。また、米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF9のトータルキャッシュフロー推計値はプラス3億104万ドルとなり、7営業日連続でプラスを記録したことも支援要因になった。ただ、65,000ドルに到達以降は買いが一巡、上値の重い展開が続いた。日本時間午後に入ると2014年に破綻した日本のマウント・ゴックス社(Mt社)のビットコインの移動が確認され、債権者による売り圧力への警戒感が再燃し徐々に軟化し始め一時62,460ドル付近まで下落し、この日の上昇分をほぼ失った。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると16日、Mt社はビットコインの移動を開始した。まずは少額の移動が確認され、送金のテストが行われたと見られる。その後複数のアドレスへの送金が確認されたが、ほとんどはMt社内のアドレス間で行われたものだった。一方で特定されていない未知のアドレス(3JQ・・・)へ48,641.24294BTCの送金が確認された。これはMt社が指定する取引所の弁済用の代理口座の一つKrakenのものと後に判明した。Krakenによると、弁済金の分配は管財人によって指示され、債権者が弁済を受けるまで手続き上7~14日かかるという。この日、Mt社の再生管財人は7月5日に続いて弁済を実施したとし、現在までに 1 万 3000 名を超える債権者に対して、ビットコイン及びビットコインキャッシュでの弁済を行ったと発表した。尚、前回の弁済はBidbankへ1544.686BTCが送金されている。Arkhamのデータでは現在Mt社の保有するビットコインは138,985BTCとなっている。
その後、欧州時間帯に入るとMt社に新たな動きがなかったことや「ほぼトラ」を背景とした「トランプ・トレード」、米国の年内利下げ観測を支援要因に再び上昇に転じると米国時間帯には65,250ドルまで上昇した。NYクローズにかけてやや軟化したものの、この日の高値圏を維持しており、現在も64,500ドル付近で取引されている。また、この日米商務省が発表した6月の米小売売上高は前月比0.0%となり、前月の改定値0.3%から鈍化したが、市場予想のマイナス0.3%を上回った。これを受けて外国為替市場では一時的にドル高が進んだ。ただ、米国の年内2回の利下げ見通しに変化を与えるものではなく、米株式市場がオープンするとドルは失速し、BTCUSDへの影響はほとんど見られなかった。一方で、BTCJPYは日銀の介入警戒感から上値が抑制されつつある。日銀は11日に続いて週末12日も米卸売物価指数発表後に介入を実施したと見られている。ロイター通信は、日銀が16日に公表した17日の当座預金予想によると、介入が反映される「財政等要因」は民間予測から2兆円超乖離しており、日本時間12日夜にドル円が急落した背景に介入があった可能性が高いと報じた。引き続きドル円が160円接近の場面では介入による円高への警戒感が燻り続けると見られる。
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