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自民党総裁選を経て円急騰、ドル円は142円台へ ユーロは弱い経済指標受け下落 外国為替(FX)・デイリーレポート2024.9.30(2024.9.27)

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市況概況
 27日の外国為替市場は円が急騰した。ドル円(USD/JPY)は、自民党総裁選の開票速報で金融政策についてハト派とされる高市氏の有利が伝わると、徐々に円売りが優勢となり一時は146.50円付近まで円安が進んだ。その総裁選では一次投票の結果、過半数を獲得した候補者はなく、最有力とされていた小泉氏は票が伸びずに落選。高市氏と石破氏の決戦投票へと移った。その後、決戦投票の結果、金融政策について石破氏の当確が伝わると、円が全面高となり、円ショートの買い戻しやストップロスを巻き込みながら、ドル円(USD/JPY)は142.75円付近まで急速に円高が進んだ。欧州時間帯は一旦143円付近で落ち着いたものの、米国時間帯に入ると、米経済指標の鈍化を受け11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げが意識される展開となり、ドルの下落主導で円高が再開した。ドル円(USD/JPY)はNYクローズにかけて徐々に下げ幅を拡大すると、142.07円付近まで下落した。また、ユーロ円(EUR/JPY)は158.70円、ポンド円(GBP/JPY)は190.02円まで、ドル円と同様の動きで下落した。
 米商務省が発表した8月のPCEデフレーターは、前年同月比2.2%上昇となり、前月の2.5%上昇から鈍化し、伸び率は2021年2月以来、約3年半ぶりの低水準となった。尚、市場予想は2.2%上昇で、市場予想とは一致した。また、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは、前年同月比2.7%上昇となり、前月の2.6%上昇をわずかに上回ったものの、市場予想の2.7%とは一致した。内容的には市場予想通りであり、サプライズ的な要素はなかったものの、物価はFRBが目標としている2%へと抑制されつつあり、金融市場では11月のFOMCでの利下げを後押しする材料になり得ると受け止められた模様。
この結果としてシカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )で11月に50bpの利下げが実施される確率は前日の49.3%から53.3%に上昇しており、25bpの利下げについては金利先物市場では既に100%織り込まれている。

9月30日追記
自民党新総裁の石破氏は29日、テレビ番組に主演し、利上げに慎重な姿勢を示した。番組内での金融政策についての質問に対し「緩和の方向性は維持しなければいけない」とし、「ここで金利をうんぬんかんぬんとは言ってはいけない」と述べた。

 NYクローズ後に米商品先物取引委員会(CFTC)が公表したCommitments of Traders (COT) Reports によると、9月24日のCME円先物の投機筋のネットポジションは66,011枚の買い越しとなり、前週から9171枚買い越しが拡大した。

 ユーロドル(EURUSD)は欧州時間帯に入って下落した。フランスの消費者物価指数(HICP、CPI)の鈍化やドイツの失業者数の増加を受け欧州中央銀行(ECB)の利下げペースが速まるとの見方が広がるなかユーロ売りが優勢となり1.11250ドル付近まで下落した。また、ECBが発表した8月の「消費者期待調査」でユーロ圏の期待インフレ率が低下したこともユーロを圧迫した。その後は、米PCEをきっかけとしたドルの下落主導で買い戻され1.12033ドルまで上昇する場面も見られたが、直後から反落し前日比マイナス圏の1.11600ドルまで下落した。尚、フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した9月のCPI速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比1.5%上昇となり、前月の2.2%上昇から鈍化し、市場予想の2.0%上昇を大幅に下回った。また、フランス国内基準(CPI)も前年同月比1.2%の上昇となり、前月の1.8%上昇から鈍化した。ドイツ連邦雇用庁(BAuA )が発表した9月の失業者数は季節調整済み前月から1万7000人増加し、市場予想の1万2000人増を大きく上回った。また、ECBが発表した8月の「消費者期待調査」で、ユーロ圏消費者の過去12カ月間のインフレ認識率の中央値は3.9%となり、7月の4.1%から低下した。1年先のインフレ期待は2.7%となり、7月の2.8%から低下し、2021年9月以来最も低い水準となった。これらの結果を受け、市場ではECBが10月の理事会で追加利下げを行うとの観測が強まった。

 ポンドドル(GBPUSD)はドル主導で1.33600~1.34275ドルのレンジ内で上下動したものの、NYクローズではレンジ下限まで下落した。この日はポンド独自の材料は見当たらず、レンジ内で方向感を探る展開となったが、1.34000ドル超えの水準では引き続き高値警戒感から売り圧力が強まった。一方、利下げサイクル入りした主要国の中でイングランド銀行(BOE)は物価の再上昇に対する警戒感が強く、追加利下げに慎重な姿勢を示しており、特にBOEにベイリー総裁が24日に改めて利下げに慎重な姿勢を示した(詳細はFX・デイリーレポー2024.9.25参照 https://editor.note.com/notes/n85f4256f9d70/edit/)ことで1.34500の上値抵抗を試す展開が続いている。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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