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ドルは主要通貨に対し下落、円は全面高 FX・デイリーレポート2024.11.28(2024.11.27)
株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
外国為替グループ
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27日の外国為替市場ではドルが主要通貨に対して下落した。ドルインデックス(DXY)は日本時間帯では106.80付近で横ばいとなっていたが、欧州時間帯に入るとサンクスキビング・デーや週末を控えポジション調整のドル売りが優勢となり、米国時間帯には一時105.86付近まで下落した。この日、発表された米経済指標は米経済の底堅さを改めて示す内容となったが、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が上昇しており、ドル売りを促す要因になったと見られる。尚、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物(フェデラル・ファンド・レート)FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )によると、12月のFOMCで25bpの利下げが決定される確率(日本時間28日午前7時の時点)は前日の59.4%から66.5%へ上昇した。また、利下げが見送られる確率は前日の40.6%から33.5%へと低下した。
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また、現在までのところ市場への影響は特に見られていないが、トランプ次期大統領は米通商代表部(USTR)代表に対中強硬派として知られるジェイミーソン・グリア氏を指名した。同氏は前トランプ政権当時のライトハイザーUSTR代表の首席補佐官を務めていた。
この日、発表された主な米経済指標は以下の通り。
米労働省が27日発表した11月23日までの1週間の新規失業保険申請件数は季節調整済みで21万3000件となり、前週から2000件減少し、市場予想の21万6000件を下回った。一方、継続受給件数は9000件増の190万7000件だった。
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米商務省が27日に発表した第3四半期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比2.8%増となり、速報値から変わらず、市場予想と一致した。
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米商務省が27日発表した10月の個人消費支出(PCE)デフレーターは、前年同月比2.3%上昇となり、前月の2.1%上昇から伸びが加速した。市場予想は2.3%上昇だった。変動の大きい食品とエネルギー成分を除いたコアPCEデフレーターは前年同月比2.8%上昇となり、前月の2.7%上昇から伸びが加速したものの、市場予想の2.8%と一致した。前月比は0.3%上昇で前月からの変化はなかった。引き続きFRBの物価目標2%を上回る水準が続いている。
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米商務省が27日発表した10月の耐久財受注は前月比0.2%増となり、前月の0.4%減から増加へ転じたものの、市場予想の0.5%増を下回った。航空機を除くコア資本財受注は前月比0.2%減となり、市場予想0.1%増に反し減少した。前月は0.3%増だった。
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ドル円(USD/JPY)は、日本時間早朝から円買いが優勢となり円高が進行した。12月のFOMCでの利下げ観測や日銀の利上げに対する警戒感から日米の金利差縮小が意識され、米国時間帯には150.46円付近まで円が上昇した。その他主要通貨に対しても円が買い戻され、円は全面高となった。特に目立った材料はなかったものの、米国の祝日を控えたポジション調整の影響もあったと見られる。また、トランプ次期大統領が関税強化について先行して欧州や中国、前日にはカナダやメキシコについても引き上げを示唆する発言をしており、現在までところ比較的影響の少ない円が買われているとの観測も浮上している。
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ユーロドル(EURUSD)はドル安主導で米国時間帯には一時1.0587ドル付近まで上昇した。また、ブルームバーグとのインタビューで欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事が「今後の利下げには慎重になる必要がある」と述べ、利下げに慎重な姿勢を示したこともユーロ買いを支援する要因になった。ブルームバーグによると、シュナーベル理事は「ECBは金融緩和を継続することはできるが、いわゆる中立金利を下回る水準に金利を引き下げることのないよう、緩和は徐々に行うべきだ」と述べ、「緩和し過ぎは貴重な政策余地を無駄に費やすことになりかねない」と警告した。
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ポンドドル(GBP)はドル安主導で米国時間帯には一時1.2694ドル付近まで上昇した。終盤はドル安一服を受けて1.2675ドル付近で膠着した展開となり、NYクローズを迎えた。
(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
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