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全般的には小幅な動き、ドル円は150円台中盤 FX・デイリーレポート2024.12.5(2024.12.4)

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
外国為替グループ

 4日の外国為替市場でドル円(USD/JPY)は日銀が今月の金融政策決定会合での利上げを見送るとの一部報道を受けて円売りが優勢となり、米国時間帯序盤には151.22円付近まで円安が進んだ。その後は米経済指標が複数発表され米経済の底堅さが改めて示されたもの、一部市場予想に届かなかったことで米長期債の利回りが低下すると、円が買い戻される展開となり150円付近まで円高が進む場面も見られた。終盤はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で「米経済は引き続き好調である」とし、「さらなる利下げに慎重になる可能性がある」と述べたことを受け、円買いの動きは一巡し150円台中盤でNYクローズを迎えた。ただ、パウエルFRB議長の発言を受けても今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見通しに変化はなく、寧ろ利下げ確率は上昇した。

 ドルインデックス(DXY)は日本時間から米国時間帯序盤まで比較的堅調に推移し一時106.72付近まで上昇したものの、米経済指標の発表後に反落し106.08付近まで下落した。ただ、いずれの指標も米経済の底堅さや拡大を示しており、今週末に米雇用統計の発表を控えマーケットはやや神経質になっている模様。その後はパウエルFRB議長の講演を受けてやや戻したものの、今月のFOMCでの利下げ見通しに変化はなく戻りは限定された。

この日、発表され主な米経済指標は以下の通り。
 米ADPリサーチ・インスティテュートが発表した11月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は前月比14万6000人増となり、市場予想の15万人増を下回った。10月は23万3000人増から18万4000人増へ下方修正された。

 S&Pグローバルが公表した11月の米国のサービス業購買担当者景気指数(PMI)確定値は56.1となり、速報値の57.0下方修正されたものの、前月の55.0から上昇した。総合PMIは54.9となり、速報値の55.3から下方修正されたが、前月の54.1から上昇した。

 米供給管理協会(ISM)が発表した11月のサービス業総合指数は52.1となり、前月の56.0から低下し、市場予想の55.5を下回った。新規受注指数は53.7となり、前月の57.4から低下し、雇用指数も51.5と前月の53.0から低下した。

 シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物フェデラル・ファンド・レート(FF)金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )によると、12月のFOMCで25bpの利下げが決定される確率は78.1%となり、前日の72.9%から上昇した。一方で利下げが見送られる確率は21.9%となり、前日の27.1%から低下した。

 ユーロドル(EURUSD)はフランスの内政混乱やユーロ圏経済減速懸念、欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しを受け、米国時間帯には1.0472ドル付近まで下落した。この日S&Pグローバルが発表したPMI確定値がいずれも冴えない結果となり、ユーロ圏経済の減速に対する市場の警戒感が強まった。
 S&Pグローバルが公表した11月のユーロ圏HCOBサービス業PMI確定値は49.5となり、速報値の49.2から上方修正されたものの、前月の51.6を大幅に下回った。また景気判断基準の50を下回り、10カ月ぶりの低水準となった。総合PMIは48.3となり、速報値の48.1から上方修正されたが、前月の50.0から大幅に低下した。これで1日に発表された製造業PMIを含め3指数が揃って景気判断基準の50を下回った。これまでユーロ圏経済を支えてきたサービス業の落ち込みが影響した。また、ドイツやフランスの落ち込みも目立った。11月のドイツのHCOBサービス業PMI確定値は49.3となり、速報値の49.4から下方修正され、前月の51.6を大幅に下回った。景気判断基準の50も下回り、9カ月ぶりの低水準となった。総合PMIは47.2となり、速報値の47.3から下方修正され、前月の48.6から低下した。11月のフランスのHCOBサービス業PMI確定値は46.9となり、速報値の45.7から上方修正されたものの、前月の49.2を大幅に下回った。総合PMIは45.9となり、速報値の44.8から上方修正されたが、前月の48.1から大幅に低下した。

 ただ、終盤はドル安主導で買い戻され一時1.0542ドル付近まで上昇したが、ユーロ買いは続かず、1.5015ドル付近でNYクローズを迎えた。

 ポンドドル(GBP)は小幅続伸。上値に重さは見られるものの、ユーロ圏との相対的比較からポンド買いが先行し一時1.2720ドル付近まで上昇した。この日、S&Pグローバルが公表した11月の英国のサービス業PMI確定値は50.8となり、速報値の50.0から上方修正されたものの、前月の52.0から低下した。総合PMIは50.5となり、速報値の49.9から上方修正されたが、前月の51.8から低下した。全体的には景気判断基準の50を上回っており、景気拡大は続いているが、サービス業が低下傾向を示しており、製造業の落ち込みを補うことが難しい状況となりつつある。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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