見出し画像

ビットコイン・デイリーレポート2024.8.8(2024.8.7)

米国時間帯に失速、米株市場の下落を受けリスクオフトレードが先行
イーサリアムETFは上場来初めて2営業日連続で流入となったが、終盤に失速

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 7日のビットコインは重要な経済指標の発表や大口の資金移動がなかったものの終盤になって失速した。BTCUSDはアジア時間帯から欧州時間帯序盤にかけて底堅く推移すると一時57,700ドル付近まで上昇した。日本株の上昇を背景に過度なリスクオフムードが後退したことが引き続き好感された。日本時間午前中に日銀の内田副総裁が函館での講演で、最近の大幅な株安・円高の進行について「極めて高い緊張感を持って注視し、政策運営において適切に対応していく」とし、「市場が不安定な状況で利上げをすることはない。当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」と発言。これを受けて外国為替市場では円売りが先行し、ドル円は一時147.94円まで円安が進み、株式市場では日経平均が一時35,849.77円まで上昇した。ただ、安値修正の動きは継続したものの、上値は重かった。日本時間午後に出揃った米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の6日のトータルキャッシュフローが3営業日連続でマイナスを記録したことや日本株が終盤になって上昇幅を縮小したことが上値を抑える要因になった。

※6日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス1億6843万ドル。

 その後は57,700ドルを上値抵抗に伸び悩む展開となり、米国時間帯に入ると徐々に軟化した。米株式市場では米経済の先行き不透明感を背景に主要3指数が揃って下落、BTCUSDも失速し終盤には54,710ドル付近まで下落した。先月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金融政策の変更や利下げについては元々見送りが見込まれていたものの、米ISM製造業景況指数や米雇用統計が市場予想を上回って悪化したことで米連邦準備理事会(FRB)が利下げ時期の判断を誤ったとの見方が浮上。市場では緊急利下げや9月会合での50bpの利下げ期待が高まると同時に米経済の先行きに対する警戒感も強まっている模様。
 BTCJPYは前日比ほぼ変わらず。日本時間午前中に日銀の内田副総裁の発言をきっかけに外国為替市場で円が全面安となり、BTCJPYは円安を支援要因に欧州時間帯序盤に852万円付近まで上昇した。ただ、その後はBTCUSDの失速を受け徐々に軟化すると、米国時間帯終盤には節目の800万円付近まで下落した。日銀の利上げによる極端な円キャリーの巻き戻しは一巡しつつあるものの、日本の盆休暇や米国のバケーション・シーズンを迎え、この時期特有の流動性低下に対する懸念から、当面は外国為替市場を中心に不安定な相場環境が続くと見られる。

※日本時間8月8日AM6:00現在のドミナンスは57.019%。


市況概況(イーサリアム) 
 7日のイーサリアムは反落。ETHUSDはアジア時間帯から欧州時間帯にかけては目立った動きは見られず、2475~2555ドルの最近のなかでは狭いレンジ内で方向感を探る展開となった。2日前の急落ショックが残るなかで、デリバティブ・ポジションを中心にロングポジションの整理は一巡したと見られるが、市場参加者は引き続き慎重な姿勢を維持している。日本時間午後に出揃った米国で上場されているスポットイーサリアムETFの6日のトータルキャッシュフローが上場来初めて2営業日連続でプラスを記録したものの、市場への影響は限定的だった。ただ、唯一流出が続いていた転換型で手数料の割高なGrayscale のETHEは流出額が徐々に減少しており、その他手数料の割安なETFへの乗り換えが進んでいると見られる。ETFのキャッシュフローが好転していけば必然的に信託財産に組み込まれるETH量が増加してくると需給は引き締まり、長期的な支援要因となってくると見られる。

※6日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス9830万ドル。2営業連続の流入は上場来初めて。
※Grayscale Ethereum Trust(ETHE)のキャッシュフローは流出が一巡しつつある。


 米国時間帯では米株式市場の下落を受けリスクオフトレードが先行するなか徐々に軟化し、下値支持の2475ドルを割り込むと、終盤には2320ドル付近まで下落した。引き続きJump Cryptによる売却が警戒されることや送金量は多くないものの米国政府が今月5日に299ETHを移動させていることも市場が警戒感を強める要因になっている。
 ETHJPYも終盤になって失速した。アジア時間帯から欧州時間帯にかけては外国為替市場での円安を支援要因に堅調に推移し376,000円付近まで上昇した。その後は円安一服やETHUSDの下落を受け340,000円付近まで下落した。最近のなかでは狭いレンジ内での動きが続いており、ドル円の影響がやや強まっている模様。

※当社の提供する情報及びレポートは、著作権法により保護された著作物です。著作権は株式会社B.C.Aマネージメントにあります。内容の一部、またはすべてを複製、流用および転載、転売することを禁じます。
※当資料は情報提供を目的としており、お取引を促すものではなく、また将来を約束するものでもございません。売買等のご判断はお客様ご自身でお願い致します。