ドルが続伸、円、ユーロ、ポンドその他主要通貨は続落 FX・デイリーレポート2024.11.14(2024.11.13)
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13日の外国為替市場ではドルが主要通貨に対し続伸した。ドルインデックス(DXY)は日本時間帯から欧州時間帯にかけてはドル高が一服していたが、米国時間帯に入って消費者物価指数(CPI)が発表されると、直後に105.70付近まで下落したものの、その後はトランプ氏が掲げる関税強化策を背景としたドルの先高感や欧州通貨の下落を受けドル買いが優勢となり上昇に転じた。米国時間帯終盤には節目の106を超えて106.50付近まで上昇した。
尚、米労働省が13日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.6%上昇となり、市場予想の2.6%上昇と一致し、前月の2.4%上昇から伸びが加速した。前月比は0.2%上昇で前月から変わらずとなった。また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比3.3%上昇し、市場予想と一致し、伸びは前月から変わらずとなった。前月比は0.3%上昇で、前月から変わらず市場予想とも一致した。この結果を受けて、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物(フェデラル・ファンド・レート)FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )では、12月のFOMCで25bpの利下げが決定される確率は前日の58.7%から82.5%(日本時間14日午前7時時点)に上昇した。一方で現状維持の確率は41.3%から17.5%(同)へ低下した。ただ、外国為替市場では12月の利下げ見通しよりも、ほぼ市場予想通りの結果となったCPI通過を経て、ドルの先高感を背景としたトランプトレードが優先された。また、複数のメディアが速報として共和党が下院を制しトリプルレッドが実現するとの見通しを発表したこともドル買いを支援する要因になった。トリプルレッドが実現すればトランプ次期大統領が政策として掲げる関税強化策がスムーズに進展するとの思惑からユーロ圏経済の悪化が懸念されており、欧州通貨が下落したこともドル高につながった。
ドル円(USD/JPY)はドル高主導で155.62円まで上昇した。この日は米CPI発表後に米国債利回り一旦は低下したものの、その後はトランプ次期政権の政策によるインフレ再燃懸念やドルの先高感を背景に再び上昇したことを受け、先行きの日米金利差拡大が意識される展開となり、ドル買い・円売りが優勢となった。
ユーロドル(EURUSD)は続落し、米国時間帯終盤には1.0557ドルまで下落した。欧州中央銀行(ECB)の12月理事会での追加利下げ観測やドイツの連立政権崩壊による政治的不透明感、トランプ氏のユーロ圏に対する関税強化策への警戒感が引き続きユーロを圧迫した。また、ECB理事会メンバーから相次いでトランプ次期政権による関税強化策がユーロ圏経済の先行きに不透明感をもたらすとの懸念が指摘されており、市場ではECBの利下げが想定よりも速く進むとの見方も広がつている模様。ロイター通信による二次情報によると、この日ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁はフランスのラジオ番組で、「トランプ次期米大統領の経済政策は米国にインフレをもたらし、世界の経済成長を阻害するリスクがある」との見方を示した。
ボンドドル(GBPUSD)は続落。ドル高主導でポンド売りが継続した。一方でタカ派として知られる英金融政策委員会(MPC)メンバーのマン氏がインフレ再燃への警戒感を示したが、市場への影響は見られなかった。
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