条件分岐を持たない狂気。

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条件分岐を持たない狂気。
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~ See a condition. ~
Written by BlueCat

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様(を)見ろ【ざまをみろ】

人の失敗不運に対して,心中愉快だと思いながら発するののしりの言葉。それ見たことか。

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 電話の向こうの弟子の声は、ひどく落胆している様子ではあった。
 けれども、以前、恋人にフラれたときほどひどいものではなかったから、今回もせせら笑ってやった。

 どうも話しにくそうにしているので、しばらくバカ話をしていたら、ようやく核心を話す気になったらしい。
 なんでも学生時代からの友人に、自分の信仰の話をしたら(別にその宗教に勧誘したとかではないらしい。まぁ、したとしたらもっと面白いと思うが)それ以来、電話を掛けても出なくなってしまったらしい。

 ふたたびせせら笑ってやった。

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 かつて彼をフった恋人はといえば、彼が生まれつきの骨格による障害で長期の休職をせざるを得なくなったときに(つまりは彼が精神的にも肉体的にも社会的にも辛い状況になったときに)「あなたのような人とは結婚できそうにないから別れる(実際にはもっと、それらしくて長たらしい説明や理由付けがあったらしいが、聞いた範囲で私がショートに説明するとそうなる)」と言われたそうな。

 あのときも私はさんざ嗤ってやったことよ。
 愉快で仕方なかった。
 滑稽で仕方なかった。
 もしかしたら、実際に電話口で、嗤いながら言ってやったかもしれない。
「ざまあみろ」
 と。

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 僕は信心なんてこれっぽっちもない人間で、悪魔に魂を売るくらいは平気でする一方、猫の神様(という独自の信仰があってだな)を崇め奉っている。なんなら自分が司祭だといってもいいかもしれない。
 友達や知り合いに誘われて、宗教施設(やれ教会だのなんだのといわれる、べらぼうに広大な敷地とやけにお金のかかった巨大な建物がだいたい共通している)に面白半分で行くこともある。
 施設内は、清潔で静謐なことが多い。
 少なくともパチンコ屋だとか、風俗店なんかよりはよほどもまともな場所だと思う。
 お金を取られることもまずない。
 エライヒトの説法も、面白いことだってある。
 注意深く耳を傾ければ、なかなか良いことを言っていることだってある。

 誘われれば、しばらくの長期にわたってその「教え」とやらに付き合ってやることもある。
 あまり時間を浪費させるような連中はまっぴらごめんだけれど(生きるために宗教があるならそれは「まっとう」だけれど、宗教のために生きることを強要するようなのは奴隷制と変わらないから)、そういうのだって「そういうやり方に付き合わされるのはまっぴらごめんだ」と言ってやれば、だいたい皆おとなしくなるものだ。

 なぜそんなことをするのかといえば、私はそれでも何かを知りたいからだ。
 敬遠しているものごとの中に、もしかしたら思いも寄らないカタチで、自分の求めている究極的な答えがあるかもしれない。
 あるいはそういうものに対しての姿勢を、誰かの背中から知る事ができるかもしれない。
(もっとも、今までのところを有り体にいえば、ろくでもない姿勢以外というのは、あまり見ていない。まぁどの宗教がどうだ、ということを具体的に言うには、僕は自身があまりにも軽薄だから言わない)

 宗教なんぞにどれだけ脚を突っ込んでも、僕は自分が変わらないことを知っている。
 なぜといって僕には猫の神様がいるから。
 猫の神様が僕の中にいて、僕は猫の神様を信じる自分を信じているから。
 あるいは他の何かを信じてもよいし、いっそ猫の神様を捨てる自由さえあるわけだけれど、それでも僕に何を求めることもしない猫の神様(信仰心すら必要ない)を崇拝しようと勝手に決めているからである。
 つまり僕には最初から、猫の神様さえいない。
 だから自覚的に、僕は自分が変わらないことを知っているし、他の人間だって同じように変わらないことを知っている。

 じゃあどうして宗教に人々が惹かれるかといえば、いろんな側面があるとは思うが、先に僕が述べたように、何か学べるものがあるからだろう。
 教えてもらうのではなくて、学ぶことができるのなら、好きな場所で好きに学べばいいと思う。
 だから信仰を持つ人を僕は毛嫌いしない。
 ときには科学だってひとつの信仰のように思えることがあるし、この国では経済が相当に宗教じみているし、恋愛を崇拝する人もいる。
 一時(バブル経済の頃)は生命倫理がそのまま宗教じみていたこともあったが、今はどうだ。
 経済という宗教の力が医療という宗教の力と結びつき「すぎていて」自分を助けてくれないから、皆が皆、自らの命さえほどほどにしてこの世を去りたいと願っている。
(おおむね年寄りはそう言っているし、僕もその意見には賛同する)

 彼らには信仰もなかったし、崇拝を理解する知恵さえなかったから、自分が何を信じているかすら正しくは理解していなかった。
 だから信じる対象を彼らは容易く見失って、路頭に迷う。
 投資詐欺の被害ににだって喜び勇んで飛び込むし、医療が自分を救うだなんて本気で信じている。

 ワケの分からない潔癖症で宗教の免疫がないから、おかしなものを信じる人もかなりいるように観察される。
 科学(あるいは「科学的」というもの)が何であるかを知らない人たちは、自分たちの健康も医療行為でアウトソーシングする。
 経済に取り憑かれた亡者たちは経済活動さえアウトソーシングする。しないではいられない。もはや狂気的である。
 そこの主体に「自分」があたかもいるような顔をしているが、実のところ、中身は空洞でぺらっぺらの金メッキが表面上輝いているだけに感じられる人は少なくない。
(余談になるが僕はお金が悪いと言うつもりもないし、それを憎むつもりもない。お金はただのお金でしかない。ただしお金に使われる者は死者も同然だと言っている)

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 さて。
 私がなぜ、何をせせら嗤ったか。
 もうお分かりだろう。

 弟子のことを見ず、彼の周辺情報だけで彼を判断するような人間は、友達でも何でもない、ただの知り合い以下なのだ。
 弟子の、あるいは彼と一緒に歩むことそのものの幸せではなく、結婚というステータスとそこにまつわる経済活動にしか幸せを見いだせなかった女など、とっとと別れて正解なワケだから、フられて正解なのだ。

 まさにちょうラッキー。
 彼は僕と違って真面目だし、アタマもいいし、相当な努力家だし、すごく真剣に彼女の幸せについて考えていて、その中のひとつのありようとして結婚を考えていた。
 顔だって悪くない。学歴だって僕よりは高学歴だ。以前より条件のいい(そして何より彼自身が楽しめる)仕事にも復職した。
(それなのに彼が僕の弟子なのにはワケがあるのだが、それは今回の話には関係がないからしない)

 彼は、お金に使われるような人間ではないし、結婚というステータスに支配されるような愚図でもないし、宗教や信仰に自分をコントロールされるような弱い人間などでもない。

 私は電話口で嗤ったことだ。
 口汚く罵ってやりたい気持ちをぐっとこらえて、高らかに嗤ってやった。

「愚図どもは毎回オマエの価値が分からずに立ち去ってゆくんだ。オマエを何かに利用できると無意識に考えているようなクズが身の回りからまた1人いなくなることを喜べ」と。

 宗教を毛嫌いして信仰する人を差別視する人間は、反宗教という信仰を無自覚に(そしてちょう熱烈に信奉)することで、支配されている。
 結婚や経済というステータスに目がくらんで相手(という人間)を見ない女は、結局いつか相手を見限るし、いつまでも自分自身を傷つけ続ける。

 彼ら彼女たちは自分を知らない。自分がしていることも、自分が支配されていることも知らない。
 だから相対的に、他者が何かに支配されていることを毛嫌いする。
 極めて平和で愚かな生ける死者たちだ。

>>>

 できることなら彼ら/彼女たちがいつか、己の生きる道と己の生命を、正しく発見できることを(僕の場合は猫の神様に)祈る。
 もう方向転換ができる年齢ではないかもしれないし、老い先が長いわけではないかもしれないし、選択肢も(自ら潰しているせいで)さほど多くはないかもしれないけれど。

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[NEXUS]
~ Junction Box ~
[ Traffics ]
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[Engineer]
  -黒猫-/-BlueCat-

[InterMethod]
  -Algorithm-Chaos-Darkness-Diary-Ecology-Form-Link-Love-Mechanics-Stand_Alone-Style-Technology-

[Module]
  -Condencer-Connector-Convertor-Reactor-Transistor-

[Object]
  -Cat-Friend-Human-Koban-
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[Cat-Ego-Lies]
-おこと教室-:-ひとになったゆめをみる-


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青猫工場 〜 Bluecat Engineering 〜
猫に小判と申しまして、巨額の借金の返済に充てても焼け石に水になってしまうので、パイプ煙草の葉っぱを買おうと思います。 それかマタタビ、あるいはキャットフード。