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4泊7日で小笠原一周の旅 延長戦
6日目 最終日だったはずの日
朝から村の防災無線でビジターセンターや、夜明道路が午後から通行止めになるといった放送が鳴っている。
空は少し暗く、風も強い。
光回線が引かれていないこの家では、インターネットは3Gみたいな速度でしか繋がらない。持ってきた本は半分ほど読み終わってしまった。家主は仕事に行ってしまい、喋り相手もいない。
暇で仕方がないので、バスに乗って、村の図書館に行くことにした。
入れ替わりで何人かの人が来ているが、観光客が来るところではなさそうだ。
小笠原村のガイドブックを読んだり、面白そうな新書を読んだりして過ごしていると、14時以降のバスが運休するということなので、仕方なく家に帰ることにした。
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7日目 我慢の延長線
17日の船に乗れると連絡があった。
いつ帰れるかわからないという不安から一旦解放された。あと3日と何度も数えたかわからない。
防災無線が鳴る。帰りの船が1日延長し、18日出発になる。
何度も残り3日と数えたにもかかわらず、残り日数は4日になってしまった。
この日もバスで街に出る。ビジターセンターでは、無料のWi-Fiが使える。図書スペースがあって机も椅子もある。
天国みたいな場所に思えたが、PCを開くと夏休み明けで仕事をしている人からのメールが溜まっていた。
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街の近くの展望台に行き、台風が通り過ぎてもなお荒れる海を見て、バスに乗って帰った。
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8日目 前日と同じような日
この日もバスで街に出る。
小笠原に来て初日は島民がぽつぽつしか乗っていなかったバスだが、観光客で埋め尽くされている。
この日あたりから海も少し穏やかになり、バスに乗って海にでも行こうという人が増えたようだ。
JAの直売書に行く。小笠原のお土産はほぼ本土で作られているが、JAで売っている野菜や果物は島のものだ。パッションフルーツを一袋ほど買って、併設のカフェに入る。
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ここは、Wi-fiだけでなく、電源もある。小笠原で一番天国みたいな場所だ。この日はここで1日を過ごし、バスに乗って家に帰ることにした。
9日目 水族館巡り
朝からカフェに行った。
アメリカンなキャンピングカーとテラスで父島産のコーヒーが飲める。
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元々コーヒーが苦手で、今でも酸っぱいコーヒーや薄いコーヒーが苦手なのだが、ここのコーヒーは薄い方だった。
あまり美味しいとは思わなかったが、これは僕の好みの問題の方が大きい気がする。
バスの時間まで2時間あまり時間を過ごし、街に出る。
そういえば、海洋センターと水産センターに行ってないことを思い出して、まずは歩いて海洋センターに行くことにした。
この場所は、ウミガメの保護を行っているNPOが運営している施設である。
ウミガメの赤ちゃんを集めてきて、一歳になるまで育てて放流しているらしい。
小さいながらウミガメの赤ちゃんは海で泳ぐのに特化しているのか、手足はヒレのようでクサガメなんかと比べても大きい。ヒトが近づくと餌をもらえると刷り込まれているのか、近づいてきて可愛い。おやつも売っているので、餌やり体験もできるようだ。
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歩いて、水産センターにも行く。
名前が似ているがこちらは東京都の施設で、小さい水族館が併設されている。実際に水槽にいる魚と、名前が貼られているシートが一致しなく、何がなんだかわからなくなった。
10日目 ほんとうの最終日
2日ほど前に、図書館で地球の歩き方 東京の島々を読んだ。
先日断念した旧日本軍の施設は僕が思っている以上に色々と見れることがガイドブックでわかったので、そこに行きたくて最終日にもかかわらずツアーを申し込んだ。
夜明山まで車で行く。僕を含め5名ほどで、夜明山の中を歩いた。
この山は旧日本軍の通信基地が置かれていた。島の東側が海軍、西側が陸軍の管轄でツアーでは海軍陣地と陸軍陣地を行き来することになる。
砲台なんかは、母島で見たそれよりも圧倒的に綺麗な状態で残っており、ビンや薬莢、食器やケーブル、トロッコも残っている。歴史付きの人は絶対にツアーで行ったほうがいい場所だ。と最終日に思う。
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あまりにもギリギリすぎて、色々なツアーが全て埋まっていたが、このツアーに参加できたのは延泊のおかげである。
街に降りて、お弁当を買い、家に戻って荷物をまとめて港に向かう。
バスは観光客で溢れかえっている。みんな大荷物を抱えているので、詰めるのも大変だ。
港には、待ちに待ったおがさわら丸がいる。
ここ1週間ほどははじま丸や海上保安庁の船より大きい船を見てこなかったので、おがさわら丸が巨大に感じる。港は人で溢れている。この島にこんなに人がいたのかと思うほど人が溢れている。
港の周りで時間を潰して、船に乗った。
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おがさわら名物のお見送りがある。
港での太鼓の演奏、それから大小いろいろな船がおがさわら丸と伴走する。みんなが手を振ってくれ、行ってらっしゃいと声をかけてくれる。
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最後は一隻ずつおがさわら丸に近づき、海に向かって飛び込んだり、船の上からパフォーマンスを見せてくれたりする。一隻ずつ離脱していき、最後はおがさわら丸だけになる。
やっと、小笠原から脱出できると清々とした気持ちだったのが、寂しいというかまた来たいなという気持ちにさせてもらった。(その後24時間船に揺られたら、もういいかなという気持ちに戻った。)
11日目 東京
帰りの船は快適だった。
疲れからか、ビールのお陰か19時には寝落ちをして、夜中のビールとカップラーメンを挟んで7時までぐっすりと寝ることができた。
お昼前にはインターネットがつながる場所まで戻ってきたので、なんだか一瞬で付いてしまった気持ちになった。
竹芝から浜松町まで歩く。南の島から帰ってきたはずが、東京の方が圧倒的に暑い。歩いたら色々な店があり久しぶりに安全な場所に帰ってきたという安心感を得ることができた。
まとめ
今回は、船の欠航によって、スーパーから食品が消え、仕事もあるのにいつ帰宅できるのか分からない。といったトラウマを植え付けられた。
同じ日程で来ている人の中には、家族で延泊を強いられて、〇〇万円追加でかかってしまったという人がほとんどなので、僕はダメージとしてはだいぶ小さい方だと思う。(宿泊費がゼロなのは助けられた)
それでも、気軽な国内旅行で行く場所にしては、あまりにもリスクが高すぎるし、ものすごく人を選ぶ場所だと思ってしまった。僕はもう小笠原に行くことはないと思うが、離島に行きたい欲は強くなった。どこの離島も、小笠原より行きやすいのだから。