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【2022年9月記事】 今求められているウェルネスとは

※この記事は下記の記事の転記です。
https://global-creative-trip.hatenablog.com/entry/2022/09/05/124109

パンデミック以降、生活スタイルは大きく変わり、加速するデジタル化に息切れしながら駆け抜けてきた2年間。
常にオンラインで繋がっている状態ではありながらも、同時に孤独も感じる人も少なくないように感じます。
トレンド予測会社のWGSNが発表した未来の消費者を予測する「フューチャーコンシューマー2024」のレポートでは、混乱した感情と常にONのライフスタイルで限界に達してしまう感覚をOverstimulation(過剰刺激)と呼んでおり、ウェルネスへの消費者の関心はより一層高くなっています。 企業やブランドもまたウェルネスへ取り組んでおり、今回はウェルネスをテーマにした広告作品や取り組みをご紹介したいと思います。

Heineken "The Closer"
今年のカンヌライオンズでアルコールブランドの中で今年最多受賞したハイネケン。
カンヌのトークセッションではパンデミック以降、様々な変化にどのように対応してきたか事例と共に説明していたのですが、特に面白い企画だったのが、"The Closer"!
The CloserはBluetooth 機能搭載の栓抜きで、仕事のアプリをBluetoothで接続すると栓抜きを使った時にスリープ状態になってしまうというもの!
そのCMがこちらになります。

流石にバーにパソコンを持ち込んで仕事はしないものの、オフィスから離れてバーチャル背景でマルチタスクをしながらMTGをしている様子は誰もがあるあると頷いてしまうのではないでしょうか。
この強制ビアタイム栓抜きは6月8日にアメリカのギブアウェイグッズ(販促物)として展開され、カンヌのトークセッションでもヨーロッパでの展開予定はないのか?、という質問も出ており、ワーカホリックの人たちのハートをグッと掴んだデバイスでした。

Heineken公式ウェブサイトより

ただ、このThe Closerとデバイス(栓抜き)は面白さを追求して作られたわけではありません。
パンミック以降働き方が変わり、「どこでも働ける」「常に働いている」状態に陥ることもあり、The Closerはそんな世の中の変化と消費者の抱える新たなメンタルヘルス問題に着目して作られました。
アメリカのハイネケンでは社内にも働きかけており、カレンダーの就業時間の最後に"work-blocking meeting"を入れることで、仕事を入れず就業後に同僚や友人達とのハッピアワーを楽しむことができます。
しかも嬉しいのがwork-blocking meeting で集まった同僚や友人たちにもそれぞれに5ドルが会社から支払われる(上限20ドルまで)という制度つき!

YouTubeよりスクリーンキャプチャ

ちなみにコロナ禍でのハイネケンの広告メッセージは、 #SocialiseResponsibly「責任を持ちながらソーシャライズ(交流)をしよう」でしたが、ポストコロナの今回はワークライフバランスを見つめ直すというメッセージを意味する#WorkResponsiblyです。
The CloserのCMやWork-blocking meeting制度は、正に#SocialiseResponsiblyと#WorkResponsiblyの両方が上手に組み合わさっていますね。

NIVEA MEN & LIVERPOOL FC "Never Alnoe"

次に、紹介したいのがリバプールFCとパートナーシップを組んでいるNIVEA MENの最新広告。
イギリスの少年たちのメンタルヘルスに着目した作品になります。

 "You'll never walk alone"の歌詞と同じ言葉で語りかける少年たち、そして映像の後半では「メンタルヘルス問題の50%は14歳を迎える前に始まっている」という情報が流れます。
"You'll never walk alone"はリバプールFCのアンセムであり、歌詞を通して悩みや問題を1人で抱えず寄り添うことや仲間の大切さを伝えています。

男性にフォーカスしたメンタルヘルスや心の悩みの広告は他にもAXEで2017年に制作され、男性向けの広告で描かれがちな男性像や固定概念を打ち壊しています。

LEGO x EPIC GAME

Epic Game公式HPより

最後にご紹介したいのがLEGO。
LEGOは今年EPIC GAMESとの長期的なパートナーシップ契約を発表。
今のところパートナーショップが組まれた事が発表されただけで具体的な内容は明らかになっていませんが、子供たちに安心で安全なメタバース(metaverse)ならぬベタバース(betterverse)を計画中!
メタバースが注目されている一方、多くの企業やブランドはソーシャルメディアで生まれた自己肯定感の低さやメンタルヘルス問題をメタバースでも繰り返さない事を目指しています。 LEGOも同様、子供たちへ安全なメタバースを提供できるようEPIC GAMEとのパートナーシップを組んだと説明し、3つの原則を発表しています。

・安全でウェルビーイング(健康)を優先することで、子供たちの遊ぶ権利を守る。

・子供たちのプライバシーを守ることで子供たちの利益を一番に考える。

・デジタル体験をコントロールできるツールを使用して、子供たちと大人たちに力を与える。

以上、今回は3社のウェルネスの取り組みについてご紹介させて頂きました。

現在web 2.0からweb 3.0移行中の時代と言われており、組織や生活様式が変化していく中で、簡単、利便性、スピード、安心、安全、アクセスビリティなど求めるものを挙げたらキリがないですが、新しい何かを取り入れる際は自分にとって健康に繋がるかどうかウェルネスを意識して選択していく事がますます重要になってくるように感じます。

執筆:高嶋