【2023年1月記事】2023年幕開け!2020年以降の心の変化を広告で振り返る
※この記事は下記の記事の転記です。
https://global-creative-trip.hatenablog.com/entry/2023/01/11/164200
12月に入ったと思ったらもう年の瀬!と毎年12月のスピードの早さに驚き、更新が年明けになってしまいました。
もはや新年の挨拶も今更ですが、、、みなさま明けましておめでとうございます!!
世界的に色々あった、いや、あり過ぎたと言える2022年でしたが、みなさんにとってどんな1年でしたか?
Googleでは毎年12月に今年の検索トレンドを発表し、世界中の人が何を検索したか知る事ができますが、2020年以降は特にその時代を色濃く反映しています。
それでは過去3年間をGoogle の広告と共に遡ってみましょう!
2020年 Why
新型コロナウィルスをはじめ、ジョージ・フロイド事件、気候変動など世界中で起きていることに理由や原因を探るWhy。
2021年 How
ワクチンの普及も始まり、明るさを取り戻しはじめたものの、肉体的にも精神的にも弱った人が多く、癒す方法を求めた努力のHow。
2020年と2021年は暗黒な時代の中で希望を見出す努力をしていた2年間と言えます。
個人的には2021年が「うんうん、本当に辛かった。私たちみんな本当に頑張りました。」と抱き合い讃えあいたくなる一番エモーショナルな作品でした。
そして2022年 "Can I change?"
Googleが発表した2022年のテーマは"Can I change"でしたが、1年を振り返るとショッキングな事件があまりに多く、2022年もWhyやHowと世界に問う年でした。
ただ、幸せに向かって今までの習慣を変えたり自由と変化を求めるという傾向があります。
2020年も変化の年でしたが、2020年は必然的に変化を求められた年で、2022年は自ら変化を望む始動の年でした。
制限と停滞が続いていた生活から徐々に解き放たれ、 I CAN CHANGE!と心の中で叫んでいた人も多いのではないでしょうか。
次に心揺さぶれる広告としてご紹介したいのがAdweekのBest Ads of 2022でも1位に選ばれたゲータレードの広告"Love Means Everything"です。
今年引退を発表したセリーナ・ウィリアムズのトリュビュート映像"になっており、映像のテンポ、音楽、ナレーション、とにかく全てがカッコ良い!
NIKEで約10年ブランドマーケティングを担っていたカレン・ソートンが今年ゲータレードのCMOとして就任されており、なんだかNIKEの広告で感じるカッコ良さを感じました。
Gatorade "Love Means Everything"
※映像の最後でロゴを「G」から「S」に変更していていて、ゲータレードの彼女への賛辞と愛が感じられているのも注目です♡
また、ビヨンセによるナレーションで語られる言葉や表現も素敵ですが、特にグッとくるのが冒頭のナレーション。
「世界が彼女を歴史に刻むとき、私たちは彼女が始めたところ、つまりLOVEから始めるでしょう」
ここでのLOVEはテニスの試合用語でゼロを意味するラブとかけており、LOVEを愛という意味だけでなく彼女の原点をテニス用語のラブ(ゼロ)で表現し、とんちをきかせています。
アスリートの功績を讃えた映像は努力や強さについて語られることが多いですが、"Love Means Everything"では努力や自信だけでなく愛が自信や強さに繋がる大切さを伝え、特に若い女の子たちや黒人の女の子たちに向けられています。
今回引退を発表したセリーナ・ウィリアムズですが、彼女は引退という呼び方は現代的ではないと考え「進化」と呼んでいます。
Googleの2022年のYear in Searchでもセレーナ・ウィリアムズが登場しており、改めて変化・進化の時代を実感します。
そして最後にご紹介したいのがAppleの広告"The Greatest"です。
Apple "The Greatest"
こちらは12月の公開でしたがホリデー広告ではなく、12月3日の国際障害者デー(IDPD)に先駆け公開されたものになります。
世界人口の15%が障がい者にもかかわらず、広告、映画、ドラマなどのメディアにおける障がい者の描写は少なく、ステレオタイプで多様性に欠けていますが、The Greatestではステレオタイプを覆しています。
アップビートなテンポで「I shook the world(私が世界を変える)」と歌い、踊り、みんなで讃えあい、映像に登場する障がい者の人たちそれぞれ持つ個性や才能を描いています。
少し広告の話から脱線しますが、個人的にThe Greatestで印象的だったのは盲目の人へSiriが「赤いジャケット」と伝えたシーンで、このシーンを見た時に現代アーティストのソフィ・カルが80年代に発表した「盲目の人々」の作品を思い出しました。
作品「盲目の人々」は生まれつき目の見えない人たちへ「美とは何か」と問いかけ、彼らが答えた美のイメージを写真にして展示した作品で、その回答の中にはグリーンと答え、草や木などの自然の美しさを語っています。
Appleの広告はいつも映像を通して私たちの多くが知らなかったアップル製品の様々な機能を紹介していますが、The GreatestではApple製品の知られざる機能だけでなく私たちが障がい者に対する思い込みにハッとされる作品になっています。
目が見えない人向けに音声ガイド版も公開されており、Appleの包括性とアクセシビリティへの取り組みを知ることができます。
反対に、毎年期待されているAppleのホリデー広告はブエノスアイレスを舞台にした"Share the Joy"でAir Pods Proの紹介でしたが、評判はいまいち・・・
発見が多かった"The Greatest"の方が話題になり、AdweekのBest Ads of 2022の2位にも選ばれました。
以上が、2022年心を揺さぶられた広告作品を紹介させていただきました! 今年はどんな年になるかは未知ですが、気持ち良いスタートとみなさまにとって良い変化になることを願っております。
執筆:高嶋