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カンヌライオンズ2023の受賞作品をご紹介! (食料/飲料編)

ChatGPTを始め、AIに関するニュースで盛り上がっている2023年。
また、コロナも終息し企業やブランドにも勢いが感じられ、今年のカンヌライオンズではどんな広告やキャンペーンが受賞したか楽しみな年でもありました。
色々紹介したいので記事を分け、今回の記事では話題になった食品や飲料の受賞作品をご紹介します!


言わずもがなホットトピックは AI

受賞作品もトークセッションでもAIに触れたものが多く、カンヌライオンズのレポートによると、AIを使用した作品エントリーは、これまで以上に多く、昨年の3.7%に対し、今年は全応募の約7.3%がAIにまつわる作品だったそうです。
グランプリを受賞した作品でもAI技術を搭載した作品もいくつかありました。

Creative Commerce グランプリ受賞
Hunger Station 'The Subconscious Order'(サウジアラビア)

お腹が空いているけど、選択肢が多すぎて何を食べたら良いか決められず困った事はないですか?
そんなオーダー迷子になったユーザーに対してサウジアラビアのオンラインフードデリバリーサービスHunger Stationは、潜在的に何を食べたいか AIが分析し提案してくれる新機能「Subconcious order(潜在意識による注文)」をアプリに追加しました。
その方法はと言うと、Hunger Stationのアプリでスクロールしている時間が長いと何をオーダーするか悩んでいるとアプリが認識し、Subconcious orderボタンがポップアップします。

Hunger Stationケーススタディ動画よりスクリーンキャプチャ

Subconcious orderを選択すると、料理の写真がいくつか表示され、高度なアルゴリズムとスマホのカメラでユーザーの視線がどのフードに集中し、潜在的に食べたいと思ったか分析しスマート AIが絞り込んでくれます。
革新的な機能で便利と感じる人もいれば、顔追跡をされることに不快に感じる人もいると思いますが、結果は2週間で250万インプレッション、63万ポータル訪問、7.8万人の新規顧客を獲得し成功を収めています。

Radio & Audio部門 シルバー受賞
Coca-Cola 'I see Coke'(サウジアラビア)

100年以上映画やテレビ番組などにボトルや缶だけでなくビルボードとして登場しているコカコーラはアレクサを使ってインタラクティブな買い物体験を提供。

インタラクティブな買い物体験 "I see Coke"とは
視聴している映画やTVドラマなどコカコーラが登場し、アレクサに"I see Coke"と話しかけると、アレクサが何で見たか質問をします。
見た映画またはTVドラマを伝えると、クーポンコードを教えてくれます。

I See Coke ケーススタディ動画よりスクリーンキャプチャ

ここで面白いのがアレクサがちゃんと捻りを返した返答をしてくれるということ。
上のスクリーンキャプチャ画像にもあるように、TVドラマ「フレンズ」で見たと伝えると、アレクサはフレンズの主題歌の有名なフレーズのI'll be there for youを使って「I'll be there for you…and so will an ice -cold Coca-Cola / あなたのそばにいます・・・そして冷たいコカコーラも」と答えてくれます。

ちなみに、I see Pepsiを言うと・・・その答えは是非ケーススタディ動画での1分37秒あたりを見てみてください(苦笑)

ケーススタディ動画によると、サウジアラビアではコカコーラよりもペプシが最初に上陸し、市場もメディアもペプシが一番ですが、I see Cokeのキャンーペーンによってブランド認知度を234%まで上げ、コカコーラは最もアレクサに話しかけられたブランドを獲得することができました。


他にもブランド想起で印象的だったのがマクドナルドの"Raise Your Arches"

Brand Experience & Activation シルバー賞 / Film ブロンズ賞受賞
Mc Donald's 'Raise Your Arches'(UK)

マクドナルドに行こうというアイコンタクトとして眉毛を上下に動かし、アップテンポな音楽で仕事を抜け出しマクドナルドに向かうCM。
セリフもフードも店舗も出てこないCMですが、眉毛を上下に動かす仕草は、象徴的なマクドナルドのMの形を想起させます。
CMの他にはデジタル、アプリ、店舗、SNSなどでRaise Your Archesキャンペーンを展開。
アプリのダウンロードを促進するために2週間の割引キャンペーンを行うほか、SNSでは従業員、ブランド、クリエイターに呼びかけ、CMのように眉毛が上下に動いたり、Mマークの眉毛が登場するレンズがInstagram、TikTok、Snapchatにも登場しました。

InstagramとTikTokよりスクリーンキャプチャ

イギリスからスタートしたキャンペーンでしたがマクドナルドは今後1年間、グローバルキャンペーンとして40の異なるマーケットでMを想起させるアーチ活動は行うと発表しています。
マクドナルドのUKのウェブサイトによると売り上げが7.1%アップし、癖になる音楽と動きのあるロゴは今後も長く象徴的な使われ方がしそうな気もします。

画像:マクドナルドUKのウェブサイトより

そして広告ではなく少し映画の話になりますが、CMで使われている音楽は1986年の映画「フェリスはある朝突然に」でも使われたサウンドトラックで、音楽だけでなくCMの仕事を抜け出すシーンは映画のオマージュと言われています。
CMを手がけた監督は「ベイビー・ドライバー」のイギリス人映画監督のエドガー・ライト。「ベイビー・ドライバー」はシーンごとに使用される音楽が話題となった人気映画でこの癖になるCMにも納得です!

最後にご紹介したいのが、リアルとデジタル体験を掛け合わせたオレオのキャンペーンです!

Creative Commerce部門 ゴールド その他3部門合計5つ受賞
Oreo 'Oreo Codes'(アメリカ)

画像:The Drum

牛乳パックのバーコードをスキャンするとオレオの特別オファーがもらえるキャンペーン「Oreo Codes」。
オレオ発のキャンペーンだけど、オレオの商品からクーポンをゲットではなく、牛乳(豆乳、オーツミルクなどもOK)から。
そう、オレオと相性抜群のドリンクで知られる牛乳でクーポンを得られることで牛乳とオレオのセット販売促進を促しています。

一見よくあるコラボキャンペーンのようで、自社製品ではなく日常的に多くの人が購入している牛乳からクーポンを取得できるところがポイントです。
しかも、バーコードなので購入済みの牛乳だけでなく、店頭販売中の牛乳でもバーコードスキャンがOKというところも新しい。

Oreo Codesケーススタディ動画よりスクリーンキャプチャ

キャンペーンはアメリカのシカゴ、インディアナ、アイオワの地域限定で行い、1000個以上の牛乳製品とすべてのバーコードを一致させるために、3つのスーパーのチェーン店と提携し、すべてのバーコードを識別するデータ収集を行いました。

キャンペーン結果は以下の通り。
ソーシャル・エンゲージメント: +230%
引き換え率 :83%
売り上げ前年比:7.3%増

ケーススタディ動画もとってもスタイリッシュに仕上がっているので是非ケーススタディ動画もご覧ください!

以上、4作品を今回ご紹介させていただきました。
他にもゲーミングやビューティーなど他の分野の受賞作もご紹介したかったのですが、少し長くなってしまったので今回はここまで。

執筆:高嶋 くらら