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【3分読書メモ】「弱者の戦略」(稲垣栄洋)を読んで

■基本情報

書名:弱者の戦略
著者:稲垣栄洋
出版元:新潮選書
出版日:2014年6月25日
ジャンル:生物学
読書メーター:https://bookmeter.com/books/8099372

■気になったポイント(引用文+コメント)

英国の生態学者であるジョン・フィリップ・グライムは、植物の成功戦略を3つに分類した。それがCSR戦略と呼ばれるもので、植物の成功戦略には、C、S、Rの戦略があるというものである。

<メモ>C戦略(コンペティブ型):強いものが勝利するシンプルな戦略。S戦略(ストレス耐性型):強者が力を発揮できない悪環境を選択する戦略。R戦略(ルデラル型):予測不能な変化の激しい環境に対応する戦略。

R戦略は、「Ruderal:ルデラル型」と言われている。「ルデラル」というのは荒野に生きる植物という意味である。「ルデラル型」は日本語では「攪乱耐性型」と訳されている。このタイプは環境の変化に強く、予測不能な激しい環境に臨機応変に対応する。

<メモ>環境の変化に強い「雑草」のような生物こそ、これからの未来を乗り切る強者なのではないだろうか。”環境に耐える”というより、変わりゆく環境に対して柔軟に変化する力が求められるだろう。

強者の戦略は単純である。強者の戦略は、数にものを言わせて規模で戦ったり、弱者の戦略を模倣しながら、それを飲み込むようにシェアを拡大して同質化すればよい。

<メモ>自らの実力に自身があるなら、小細工を使わずとも正面から相手に勝負を持ち込めば良い。逆に相手がこちらに真っ向勝負を挑んできた場合は、何か目論見がある(もしくはナメられている)と見てよい。

最近の研究では、人間が犬を必要としたのではなく、犬の方から人間を求めて寄り添ってきたと考えられている。

<メモ>”群れの中で順位の低いオオカミ”が人間の庇護を獲得したように、生存の為なら長いものに巻かれる方が良い時もある。

弱者と呼ばれる生物は、数が多い。そのため、常に多くのオプションを用意し、多くのチャレンジをしている。だからこそ、環境の変化に対して強い。これが弱いと言われる生物の戦略なのである。

<メモ>弱い生き物だからこそ、種としての生存確率を少しでも上げるために、母数を増やすのである(具体例:マンボウは1回の産卵につき、3億個の卵を生む)。

【本書の感想】

本書を読むことで「弱者こそ戦略を重要視するべきではないか?」と再認識させられた。本書は生物学(植物・動物)をベースとしている一方で、内容の多くは人間社会の生態系に転用できるものばかり。個々人の問題はもちろん、少し頭をひねってアナロジー思考を用いればビジネスシーンにも応用が効くだろう。もしマーケティング業界に興味があるなら、「ランチェスター戦略」の基本原則と照らし合わせつつ、本書をじっくりと読み込んでみて欲しい。

【こんな人にオススメ】

・”強者”を自分の手で打ち負かしたい人
・”弱者”と呼ばれる生物の生存競争に興味がある人
・マーケティング業界と密接に携わっている人

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