ミラーニューロンを鍛えるレッスンをしよう

「今日のレッスンの先生はわかりやすかったな。また習いたいな。」と思った時は幸せですよね。逆もありますよね。「話し長かったなあ。」「動きがよくわからなかった。」「わかるんだけど、なんだか疲れちゃった。」

この違いって何でしょう?それは、相手に応じた対応の切り替えができるかどうかです。

 聴覚と視覚入力を使い分けできるかどうかが、顧客満足度をあげられるインストラクターになるための基本的な技量です。スキーのレッスンを長らくやってきて、2つのアプローチを使い分けしています。

一つは、言葉で説明してから、動きを見せる方法。もう一つは、説明はあまりせずに、視覚に訴える方法。

基本的に、前者は大人向けの場合、子供には後者の方法を取ります。なぜなら、子供は言葉をあまり知らないし、そもそも、話を聞かないからです。

大人は、理屈から入る人が圧倒的です。納得しないとやってくれません。ですから、相手に応じて、雑談で和らげて本題に入るという、面倒な手順を踏んでレッスンをする場合もありました。

関係性ができれば、いきなり本題に入る。

「横滑りをします。山足に体重をかけて、体は谷向きです。両手を広げると腰の位置を保持しやすいです。では、手順を分解して練習しましょう。まず、・・・」

相手が頷いていても、その通りやってくれると思い込んではいけません。なぜなら、頭の理解したところで、体で表現できるかどうかは別物だからです。期待しないでいると、「それ違います。」なんて、駄目出しの言葉を使うこともなくなります。

生徒さんが練習課題の動きができたときに一緒に喜んであげられる、共感的スタンスで接することができるとレッスンは楽しいです。

とは言いつつ、若かりし頃は、自分の尺度の中に閉じ込めるような度量の狭い対応のレッスンをしていて、「厳しい」と良く指摘されていました。

心の持ち方によって、相手に伝える印象は大きく変わります。

まず、インストラクターが「レッスン楽しいな!」と思っていれば、生徒さんにも楽しさが伝わるでしょう。空気は伝染します。

そして、生徒さんが良い動きができるのは、先生の動きを真似することができている証拠です。

なぜ、真似できるかというと、脳にはミラーニューロンがあるからです。

目で見たものを鏡のように真似してしまう機能、それがミラーニューロン。先生が笑顔でいれば、生徒も笑顔になるのも、この神経細胞の機能です。

であれば、視覚に訴えるレッスンをするのは、ミラーニューロンを鍛えることになる。つまり、視覚的な脳トレです。

説明や論理で導く方法は、聴覚的な脳トレになります。この場合、前頭前野で処理するために僅かな時間のズレが生じます。動きがなんだかぎこちないのは使う脳の部位が異なるからです。

かつての師によく指摘されました。

「頭で考えているうちはダメだ。体で覚えろ。うまい人の後を滑れ。」

慣れてくると、頭で考えなくても体が自然とその動きをできるようになります。その時は、リズム感で体の動きをコントロールしていることに気がつきました。

美しい流れのある動きにはリズムがあります。

力強い動きには躍動感を生み出すテンポがあります。

この調整力をつけられるように、オートマチック化する組み立てをレッスンで提供しています。

もちろん、生徒さんがやる気になるようなアプローチが大切です。

寒い時は、大人の場合でも、視覚に訴えるレッスンを多めにします。なぜなら、ただでさえ寒い雪山でずっと立っていると、体が冷えてしまうからです。そして、「寒いよー」なんて思いながら練習しても効果が上がりません。何より、生徒さんが嫌がります。

つまり、お客さんの気持ちを理解できる相手意識の高いインストラクターは伝える技量も高いということになります。

相手の空気が読めるというのも、ミラーニューロンが働いているということですね。

教えてばかりでは、自分の思いを優先し、独善的になりがちです。

生徒に好かれるインストラクターになるために、時折、生徒になって、ミラニューロンを鍛えましょう。





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