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盆栽管理のためのツールを1年使ってみてわかったこと

はじめに

盆栽を管理するために自分に合った方法を模索し管理アプリを作成しました。この1年で得られたさまざまな知見をご紹介いたします。

やったこと

グーグルスプレッドシートをベースに盆栽のためのデータベースを作成しました。基本データと画像管理が主な機能です。
画像管理のために当初はLINE Botを用いて投稿システムを作りました。
その後AppSheetを使って全体のアプリ化を試みました。

この1年の活動

2024年1月4日: 盆栽の管理向上をめざして
2024年1月11日: 所有盆栽のリスト化
2024年1月16日: 画像データの取り扱いについて
2024年1月17日: LINE Botで画像データを管理したい1
2024年1月17日: LINE Botで画像データを管理したい2
2024年1月19日: LINE Botの作り込み
2024年1月23日: 盆栽管理システムの骨子を設計する
2024年1月25日: 盆栽カルテできました
2024年2月4日: 「盆栽管理」ここまでのテンプレートを公開します
2024年2月8日: こまごまとした修正
2024年2月15日: ポスト(旧:ツイート)生け捕り大作戦!
2024年2月20日: Google AppSheetでノーコードアプリができました
2024年5月16日: 盆栽管理アプリ「盆カン0」公開しました! (AppSheet)
2024年6月3日: Google AppSheetに今までの課題に対するソリューションを任せてみた
2024年6月9日: 「盆カン1」ついに完成しました!
2024年6月18日: AppSheetで「盆カン」を公開サンプルとして公開したい!
2024年8月23日: 棚場のスタッツを表示する【盆カン2公開】

今こうして振り返ると、ハイペースでデータベースの骨子を作り上げていたことがわかります。そして、AppSheet化も2月にはできていたことを改めて認識しました。

おもなStatsです。

年初に240鉢ほどありましたが、管理を向上させたことにより192鉢となり、厳選して残していくことができました。今でもまだちょっと多いと思います。
苗木が多くさらに将来の方針も立たないものがあります。これらの苗木をどうしていくかは今後の課題です。
AppSheet化でよりスムーズとなった画像による記録は現在のところ2937枚となり、約3000枚の画像による資料をさほど労せず手に入れることができました。

わかったこと

・棚場と写真で見た感じが異なる
・樹種によって成長する時期が異なっている
・苗木は苗木のまま
・苗木は成長期にもっと手をかけてやる必要がある
・季節ごとにずいぶん様子が変わる
・見ごろの季節の写真が多い
・やっぱり見過ごす鉢がある
・真柏は少しずつ変化している
・完成木は意外と見てない

これからどうするか

わかったことの説明とここからどうするかを考えてみます。

棚場と写真で見た感じが異なる

これはとてもよい気づきです。以前からなんとなくは感じていましたが、目の前にある樹から受ける印象と写真での印象がずいぶん異なっています。
確かにいつも盆栽を見る角度とスマホを構える角度が異なっているのは事実です。それ以外にも、平面か立体かの違いもあると思います。
盆栽をアートとしてとらえるとき、立体芸術として受け止めると実物の印象を大切にすべきと考えます。
一方、盆栽は床の間に飾られて鑑賞することが多く、常に正面を決めて手入れするため、写真から受ける印象というのは「正面からの姿」をとらえたものとなります。
いずれの印象も大切にすべきと考えます。
写真での情報はそのまま残りますが、実際に見たときの印象は「コメント」で書き残していく必要があると考えます。
今年は3DGSを知って、3Dスキャンした盆栽データもいくつか残しました。
それでも、3Dスキャンデータはもう少し処理速度が上がらないと手軽に扱えるものではありません。


樹種によって成長する時期が異なっている

盆栽初心者あるあるだそうなのですが、盆栽が楽しくなって本に載っている樹種を一通り育ててみたくなります。そうすると、必然的に鉢数が増えていきます。
一鉢ごとにその木が持つ世界観があり、時間を共有しながら日々変化していきます。
盆カン以前では、お気に入りの樹種をメインに、松柏、雑木で大きなくくりで管理をしていたように思います。
また、春の芽出し、秋の黄葉などの時期はわかりやすいのですが、つぼみがだんだんと膨らむ様子、新芽がわかる様子までは、あまり気にしておりませんでした。
真柏の新葉が秋口によく伸びていく様子やキンズの葉が青々とする様子など、いろんな変化が身の回りで起きていることを知れました。
このあたりの変化を見やすくなったように思います。まだまだ不十分かもしれません。日ごろからもっと注意深く見る必要があることを感じさせてくれました。

苗木は苗木のまま

この気づきは私にとってとても大きな収穫となりました。一本の苗木に注目して一年の変化を見ることはありませんでした。春の芽出しから、どんどん葉が出て成長し、秋には黄葉し葉を落とす。この変化の中で一年前の葉を落とした寒樹姿を比較すると、それほど変わっていないことに気づきました。私の中では幹が太くなったり、枝数が増えたりいろいろ変化しているつもりだったのです。あまりに変わっていなくて驚きました。通年通して、それぞれの苗木を観察したことによる収穫です。何もしなければ、元のまま。であることに気を付けながら手入れをしていきたいと思います。

一年経ってもほぼ同じ樹形なので、思い切って整理してみました。

苗木は成長期にもっと手をかけてやる必要がある

盆カンで苗木の様子を見てて思うことは、もう少し幹が太くなったら、枝数が増えたら、針金を掛けよう。なんて考えることが多いです。そうこうしているうちに時間が経過し、何も変わらないままの状態になっているものが多いことに気が付きました。関西盆クラ市2024、展示会の即売会ではそうやって育てた苗木を中心に出していったのですが、もう少し、盆栽らしく仕立てることはできないものか考えます。
ただでさえ、供給過多の苗木たちです。もっと若木のうちからチャレンジしていってよいのではと思いました。

季節ごとにずいぶん様子が変わる

春夏秋冬、盆栽を育てていますと木々はずいぶん変化します。春夏秋に枝を伸ばし葉をたくさんつける雑木類なども冬には葉を落とします。

成長していると思ってましたが、実はそれほど変わっておらず、もっと積極的に樹づくりをしていかなければならないことに気付かされます。完成木に関していうと、少し切りすぎたと思うぐらい剪定してもまた同じように葉を茂らせるので、枝がよく見える季節にきちんと整えてやることが一番大切だということに気づきました。

見ごろの季節の写真が多い

これは当然の成り行きだとは思います。アプリの作りが日々気になる盆栽の様子を写真に撮る仕掛けにしているので、このようになってしまうのは当たり前のことだと思います。鉢ごとに変わる投稿頻度の傾向をグラフにしてわかりやすく表示したいと考えています。
かねてより気になっていた「GitHubの草」をここで活用できないか考えています。
調べてみると、これは「Calendar Heatmap」というグラフだそうです。全体の投稿頻度、樹ごとの投稿頻度など、グラフにすることで気づけることが多そうです。

やっぱり見過ごす鉢がある

これだけ、頻繁に毎日棚場を巡回していても、やっぱり見過ごしてしまう鉢が存在します。「更新日が古い順」はとても活躍しています。

これを見ながら、更新されていない鉢に注目し、更新間隔があかないような工夫をしています。
ただ、行方不明になった鉢などがいつまでも残ってしまう傾向にあり、それらのために目的の鉢がなかなか見つけられないこともよくあります。先ほど挙げていた「GitHubの草」をここでも生かせないか。検討しています。

真柏は少しずつ変化している

「苗木は苗木のまま」とは書いたものの、真柏の素材については結構変化してきていると思います。幹の太さが成長の度合いに関係していると思われますが、真柏は丈夫で成長が早いように思います。ただ、今までは、どこをどのようにしたらよいのかがさっぱりわかっていませんでした。いつも、盆栽教室に持っていって先生にアドバイスをいただきながら作っていっておりました。この一年で観察してみて、真柏は結構成長する感じがしています。

完成木は意外と見てない

盆栽には鑑賞できるレベルのいわゆる「完成木」と、かつて完成木であったが管理不行き届きで持ち崩した「養生木」、これから育てていく「苗木」といくつかのステージがあります。
この中で「完成木」と呼ばれる部類の木について、あまり画像を撮っていないことに気が付きました。

2つの対策を行うことにします

・ステージ管理の管理を行う。「完成」、「養生」、「苗木」など。これにより、各ステージ別の割合などの統計が取れる。
・鑑賞価値を自己評価するための指標「売り値」を設定する。
今まで、お気に入り度で盆栽の価値を測定しようと思っていましたが、もっといい方法を見つけました。「売り値」を自己評価することです。売るならこれぐらいの値付けが妥当かな?と思ってつける値段が、より客観的な評価となる気がしました。
苗木ならばフリマや即売会で買ってもらえる金額、完成木なら、自分が買ってもよいと思える金額を記入することで評価ができると思います。

おわりに

「盆栽の管理向上」から「盆栽の樹格向上」へ目標をシフトし、今年もチャレンジを続けていこうと思います。最後までお読み頂き誠にありがとうございました。

タグ

#盆栽
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#盆カン
#スプシ
#AppSheet


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