両側乳がんラプソディ #12 闘病記とアルコール
乳がんの基本情報がなんとなく理解できた後、私がやったことは乳がんの先輩方のブログや手記、闘病記やインタビュー記事などを読みまくることであった。
思ってもいない乳がんを宣告され、先の見えない不安でいっぱいである。
乳がんサバイバーの経験を追体験することで、自分の今後に対してイメージすることができたのもありがたかったし、勇気づけられた。
でもそれ以上に、世の中にはこれほど多くの方が乳がんを経験しており、みなさんお一人おひとりが異なる人生を生きながらそれぞれがさまざまな思いや事情を抱えて乳がんと向き合っていること、乗り越えていることに胸が震えた。
きっとこのような行為を繰り返すことにより、私も乳がんであることを受け入れて行くことができたのだと思う。
「乳がん ブログ」、「乳がん 体験」など考えられる限りの検索ワードを打ち込み、そのたびに画面上に現れる十人十色の乳がんサバイバーの方々のライフヒストリーを貪り読んだ。
ここで詳しく紹介することはできないが、もし以前からブログや闘病記を書いていて、これを読んでくださっている乳がんサバイバーの方がいたら、あなたに励まされた(たぶん一度は読みにお邪魔しているから)ことをお伝えし、お礼を申し上げたい。
私の経験は私にしか体験できないことではあるけれど、私の闘病記を読んで不安な気持ちが和らぐ人が一人でもいたら良いなと思う。
それは、私が受けてきたバトンを一つでも次の方へ渡すことができたことを意味していると思うから。
ちなみに、書籍になっている闘病記として、西加奈子さんの『くもをさがす』(河出書房新社)を読んだのだが、気になる記述があるのでここで共有したい。
本によれば、西さんはお酒が大好きだったが、乳がんが発覚する前から飲みたくなくなったそうである。
実は、私も乳がんがわかる半年ほど前の2022年11月、急にお酒が飲みたくなくなった。
それまで何十年も(大げさか)晩酌は欠かさず、晩酌といえば聞こえは良いが、隙があれば休日も日の高いうちからビール缶をプシュッとしていた。
そんな私が、突如飲みたくなくなったのである。
ついに私にもそんな時が来たか、健康になったな、と都合よく解釈していたが、なになに乳がんを患っていた。
もしかして関係があるのか、と一人疑問に思っていたところ、西さんの一文が目に入って、思わず声が出た。
確信を得るため、ネットでアンケートでも取ろうかと思ったが、残念ながらSNSはやっていないし、有効な回答数を集められるほど知り合いもいない。
でも、心のどこかで引っかかっていて、乳房の手術のために入院した時、形成の研修医の先生と世間話をする機会があってこっそり聞いたことがある。
「お酒が飲みたくなくなったら乳がんが発覚したんですけど、関係ありますかね。」
「聞いたことありませんね。」
一言で終わった。引き下がらないぞ。
「調査してみてください。」
押す。
「はあ。」
気のない返事。
これを書きながら気づいたが、聞くなら乳腺の先生にすべきだったか。
結果は一緒だろうけど。
とにかく、もし私と同じ経験をされている乳がんサバイバーの方がおられましたらご一報ください。
気になってしょうがないので、話を聞いて一緒に頷きまくりたいです。