大麦の分析(Gerstenanalysen)について その3 - 生理学的な調査(Physiologische Untersuchungen) - Part1. 発芽率(Keimfähigkeit )

・半年くらい全然更新してなかった……。完全にPC上で纏めるのが億劫になってノートにドイツ語で纏めてたんですが、やっぱ日本語に直すの個人的には要るな～と思ったのと、なんとなく気が向いたので改めてnote上に纏めます。

前回の内容はこちら

さて今回は生理学的な調査(Physiologische  Untersuchungen)というのをまとめようと思います。主な内容は
・発芽率(Keimfähigkeit)
・発芽力(Keimenergie)
・水ポテンシャル・水感受性(Wasserempfindlichkeit)
・吸水能力(Wasseraufnahmevermögen(Quellvermögen(膨潤性)))
って感じです。相変わらずこれが正しい訳かどうかは不明……。
※なんかめっちゃ長くなったので今回は1番上の発芽率(Keimfähigkeit)のみです。

そもそも生理学的な調査とは…
胚芽の生命現象を調べること。Mälzerei(製麦場)での発芽プロセスにおいて、最良の胚乳抽出物を得るためには、生育可能で丈夫な発芽システムが前提となる。
という塩梅です。

発芽率(Keimfähigkeit )

発芽率はビール大麦にとって最も重要な性質です。
発芽率とは、大麦が休眠期(Keimruhe)を過ぎたかどうかに関わらず、サンプル中のすべての生きた穀粒の割合。
発芽率の標準値：最低でも95%

発芽率の調査には以下の2つのメソッドが使用される：
1. ビタスコープを使ったクイックメソッド(Schnellmethode mit dem Vitascope)
2. 過酸化水素メソッド(Wasserstoffperoxidemethode)

1.ビタスコープを使ったクイックメソッド

麦芽納入時に手早く発芽率を知る必要があるので、ビタスコープによる染色法を用いる。この方法は、発芽株の酵素活性を検出するという原理に基づく。生きている穀物では、無色のトリフェニルテトラゾリウムクロライドが、発芽植物に含まれる酵素によって赤色のホルマザンに還元される。

試験方法
・100粒の穀物をKornschneider(前回参照)で縦に半分に切る。
・専用キュベットの両側に反粒ずつを25個、断面が外側になるように置く。（1つのキュベットには合計50個の半分になった粒が設置されている状態）。50粒のサンプルを2回、または100粒のサンプルを一回で検査することができる
・専用キュベット2本をビタスコープに挿入する。
・水栓を開けてウオータージェットポンプを起動し、5分後に取り扱い説明書の手順に従って手順を継続。

おそらくこんな感じの設備。ググっても情報少ない……。

評価スキーム：均一に着色されている粒と、2/3以上着色されている粒は全て発芽可能である。発芽できないのは、着色されていないか、わずかに黄色に着色されている粒と、2/3以下しか着色されていない粒である。

穀物の種類は違うけどだいたいこんな感じかと(自分も実際に見たわけではないので確証は持ててませんが……。)

2. 過酸化水素メソッド(Wasserstoffperoxidemethode)
酸素を加えることで(2H₂O₂ = 2H₂O+O₂)休眠期(Keimruhe)から復活し、穀物が発芽するようになる。この方法には3日間を要するので納入時の確認には向いておらず、むしろ再検査(Nachuntersuchung)に適している。

試験方法
・0.75％の過酸化水素溶液を用意する(そのためには200mlの水に5mlの30%の過酸化水素を加える)
・200粒ずつのサンプルを、200mlの過酸化水素溶液に18～21℃で2日間サンプルを浸す
・2日後、サンプルと液体をフルイ(ざる的な)にかけて分離する。その後、新たな過酸化水素溶液にもう1日浸す(濃度が変わらないように新しい溶液を用意すること)
・3日目に液体から粒をフルイにかけて分離し、発芽していない粒を数える
・95%以上の粒が発芽していれば発芽能力を計算する
※発芽した粒の数が95%以下の場合、苗が露出するように解剖針(Seziernadel)を使ってもみ殻を、指でその下の皮を取り除く。次にこの粒を吸水紙を敷いたシャーレに4mlの水を加えてさらに1日浸す。4日目に未発芽の粒と傷ついた粒を数える。

計算方法
発芽率(％) = 200 - n / 2 (v / 2の傷ついた粒も含める)
n = 未発芽の粒の数
v = 傷ついた粒の数
※葉または根の胚芽が不完全なものは傷ついた粒とみなされる

標準値：最低でも96%

とりあえず一旦ここまで……。長いし難解なのでめっちゃ疲れるし時間かかる……。しかもまとまってないという。