3.初心者による初心者の為の船釣りのはじめ方(実技編)
朝早く出発することの多い船釣りでは、暗く揺れていて風も吹く船の上で、手先の細かい作業を伴う準備を必要とします。準備ができた後も、実際に釣っている最中には、ルアーを取り替えたり、トラブルがあればラインを切って、改めて仕掛けを組み直したりという作業を、短時間で行わなければいけない場合があります。持ってきた道具を船の上で使うのが初めてでも、釣りにおけるチャンスの時間は短いため、周りも付きっきりで教えている余裕がありません。
なので、いかに事前に最低限のセッティングをしておくか、必要な技術を身に付けておくかが大切になります。そんなセッティングや技術を、釣りの前日から帰宅後までの各タイミング毎に紹介します。
前日までのセッティング
各道具が持ち運べる形状を保てる中で、できる限りの準備をしておくタイミングです。一部は当日船の上でも緊急的に行わなかればいけなくなる可能性もある技術なので、必ず何も見ずに出来るよう習得しておきましょう。
リールにPEラインを巻く
基本的に買ったリールにラインは巻かれていません。安いもので巻かれているタイプもあるみたいですが、僕が買ったもので巻いているものはありませんでした。ただ自分で巻くには専用の道具の購入が必要ですし、船の上では絶対にできない作業でもあるので、事前に釣具屋にお願いして巻いてもらうのがいいと思います。例えば大手釣具屋の上州屋であれば¥500でラインを巻いてくれます。リールかラインのどちらかを店舗で買えば、(例えばリールは持ち込みでも)無料で巻いてくれます。
PEラインとリーダーを結合する
PEラインにリーダーを接続する方法はいろいろありますが、僕はFGノットという結合方法だけを覚え、それでこれまでの釣りを対応しています。覚えれば簡単な結び方で、アレンジ次第でいろんな魚の強さに対応できます。
ノットの組み方は図解しているサイトよりも、動画が圧倒的にわかりやすいです。実際に手元にラインとリーダーを用意して、動画を見ながらやってみましょう。その際に参考になったオススメ動画を2本貼っておきます。
いろいろ見た中で一番簡単な結び方説明動画でした。
実際に揺れる船の上でノットを組むのは少し難しいのですが、そんなシチュエーション用に改良されたFGノットの組み方を説明してくれている動画です。
根掛りしたり何かのトラブルでPEラインがきれてしまった場合、PEラインから先の仕掛け(リーダー、スナップ・サルカン・ルアー)は、全て船の上で新たに組む必要があるため、このライン同士の結合は必ず一人で何も見ず出来るようになっておきましょう。
ドラグの調整
魚が掛かった際に、ルアーを思いっきり引っ張られてもラインが切れにくくなるよう、一定の強さで引っ張られると、リールからラインが出るようにする機構をドラグと言います。これの締め具合により、どのくらいの強さで引っ張られた時にラインが出るようにするかを設定できます。
当日の釣り始めるまでのセッティング
ロッドにリールを取り付けてラインをガイドに通す
船に乗る前か乗った直後に、まずはロッドにリールをセットします。次にリールからラインを出し、ラインローラーを経由してガイド(ロッドについた丸いリング)に通します。一見簡単ですが、初心者はラインローラーに通し忘れることが多いので、一旦家でシミュレーションしておくといいかもしれません。
このサイトがめちゃくちゃわかりやすいです。
リーダーにスナップ・サルカンをつける
リーダーとスナップ・サルカンの結合は、船の上で簡単にでき、覚えやすい簡単なものを2つだけ覚えて使っています。
はじめに覚えた結び方です。
太めのリーダーを使う際に、完全結びが少しやりづらいなと思っていたときに教えていただいた結び方です。多分覚えやすさと簡単さではダントツだと思います。
こちらもライン同士の結合同様、トラブルでPEラインが切れたりした場合に再度船上で手早く行わなけれないけなくなる可能性がある部分ですので、何度か家で練習し、いざという時にさっと結べるようにしておきましょう。
スナップ・サルカンにルアーを取り付けてロッドに固定する
リーダーの先につけたスナップ・サルカンに、ルアーの先端か上部にある金属製のリング部分を接続します。
船の移動時にフックのついたルアーがブラブラしていると危ないので、ロッドのガイドにルアーのフックをひっかけて固定します。やり方としては、まずロッドの先端を海の方に倒し、ぶら下がったルアーを手に取ります。手元に近いガイドに、ルアーのフックをひっかけてぶら下げます。そのままリールを巻き、ラインのたるみをとり、竿先が少し曲がる程度までラインのテンションをかけると、ルアーが動かなります。
ポイントについてからの釣り方
キャスティング
ターゲットの魚が集まっているであろう場所目掛けて投げたルアーを、手前に巻き取りながら泳がせて釣る方法です。ベイト(狙っている魚が捕食している小魚)を食べに魚が集まり、水面近くがボイル(狭いエリアで魚が跳ねて水しぶきが上がっている)している「ナブラ」という状態にある場所目掛けてルアーを投げたり、水上のストラクチャー(障害物)の周囲に集まっている魚目掛けてルアーを投げたりすることが多いです。他にも海底にいる魚を広いエリアで探るために、目標物はなくとも、魚がいそうなエリアの中でなるべく遠くにルアーを投げ、長い距離泳がせると言った釣り方をする事もあります。
真っ直ぐ遠くに飛ばしやすいキャスト方法はこちら。投げるイメージがしやすいと思います。
ただ、乗合で船に乗っていて他の人との距離が近かったり、振りかぶれるほど背面にスペースがない場合などは、アンダーキャストという下投げをする必要があります。
投げ方を習得しても、船や釣り場のルール上、投げること自体が禁止されていることもあるので、事前に確認しておきましょう。
また、投げるルアーの種類、投げた後のロッドの動かし方(ルアーの泳がせ方)は、釣る魚によって違うので、魚種名で都度検索するのがいいです。
ジギング
レーダーが魚を感知した場所に船を停めている際に、真下や船の周囲にジグと呼ばれる金属製のルアーを沈め、竿をしゃくりながらリールを巻く事で、ルアーを泳がせて魚を釣る方法です。一度海底までジグを沈めるので、キッチリ着底した瞬間を把握してロッドを振り上げて根掛かりを回避したり、ラインにつけられた色の変化で水深を把握しながら、棚(船長が教えてくれる水深○m〜○mに魚がいるという層)にジグを泳がせることが大切です。棚を外れた場所でいくらルアーを泳がせても魚は釣れません。
こちらもジグの種類やロッドのしゃくり方は魚種によって違うため、都度釣り物が決まるたびに検索して調べるのがベターです。
個人的にこの動画が一番丁寧でわかりやすかったです。
魚が釣れたらする事
釣り上げる
魚がルアーに掛かった感触がしたら、素早くロッドを振り上げてアワセ(フックを魚に刺す事)を入れます。無理にリールを巻き続けず、ドラグ機能により糸が出されている際は魚を泳がせ、逆に引っ張られていないタイミングでリールを巻いて魚を引き寄せていきます。
海面まで魚が上がってきたら、船長にタモ(船に備え付けてある網)ですくってもらいます。魚の種類によっては無理に水面にあげると暴れてバレ(針が抜ける)やすい魚もいるので、船長の指示に従いながら、タモの方へ魚を誘導します。
タモに魚が入ったら、リールのベールを倒し、糸が勝手に出ていく状態にして、ロッドをホルダー(船のへりなどにある竿を立てる穴)にさして、プライヤーを使ってフックを外します。
大きめの青物を釣る際の巻き上げ方ではありますが、説明の細かい記事です。
締める
魚が死ぬのに時間がかかるほど、また苦しむほど、その身の鮮度や質が落ちていきます。釣った魚の鮮度を保つため、手早く締める必要があります。
一般的には、小さな魚であればクーラーボックスに海水と氷を入れておき、その氷水で締めます。中型以上の魚になるとエラからナイフを入れ、脊髄あたりを切断し、海水の入ったバケツの中で逆さにして振り血抜きをしてから海水氷で締めます。血抜きする前に骨を折ったり脳天を刺したりして神経締めする方法もあります。魚種によって違うので事前に都度調べるのがいいです。
帰宅後のメンテナンス
ロッドとリールとルアーの水洗
船から降りたタイミングで、タックルを水洗いさせてくれる船宿もあれば、そうでない船宿もあります。いずれにせよ帰った後にはお風呂などでシャワーをかけて、改めて水洗いして潮を落とした方がいいです。
とはいえ浸水したりオイルが流れ落ちてしまうのは良くないので、水に沈めたり、お湯をかけたりはしないようにしましょう。
オイル挿しなども含めたメンテナンス方法はこちら。
準備万端
これで一通りの船釣り基礎知識が揃いました。特に今回紹介した実技周りは、実際に道具を触って経験を重ねる中で身に付く部分も多いので、あとはどんどん釣りに出かけたり、釣りをしているYouTube動画を見たりして、身体と頭で覚えていきましょう。
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