-10℃の極寒キャンプ | CAMPING IN -10℃ NIGHT
2022年の1月4日-5日に行ったキャンプについてご紹介します。2022年一発目にして、初の雪中でのキャンプ。しかも都会では感じることのない氷点下の夜という、正月休みの最後の2日間に割り当てるには、仕事始めにダメージがありそうなくらいのハードモードでしたが、結果的にはとても楽しめました。今回はいつものキャンプメンバーに加え、こんな過酷な今回のキャンプがデビュー戦というツワモノの女の子も参加。自身も初心者キャンパーを名乗っていますが、もう泣き言を言ってられません。
フィールド情報
今回のフィールドは、長野との県境にも近い群馬の北軽井沢スウィートグラス。浅間山の裾野に広がるこのキャンプ場は、テントサイトだけでなく、見た目の個性的なツリーハウスや設備の整ったコテージなどもあり、アウトドアの初心者にも優しいフィールド。
コインを箱に投入する事で針葉樹や紅葉樹が買える無人の薪売り場、オリジナルグッズを含むラインナップ豊富な売店、カフェ、温水の出る炊事場、コインシャワーやランドリー、薪で炊かれたお風呂、ドッグランなど、設備がとにかく充実しており、真冬の過酷なシチュエーションでのキャンプに反して非常に心強い環境でした。
唯一悔やまれたのは、ハンモックNGだった事。予約をしてくれた友人によると、予約時にはオッケーと言われていたとの事ですが、何かの行き違いだったようです。
自身はテントになるハンモック(Kammok Sunda2.0)だったのでそのままテントモードに切り替え使用しましたが、ハンモック一択で臨んでいた友人は、フィールドに自立式のハンモックを借りて対応していました。
スマホの電波状況ですが、自身のdocomoの電波は問題なく使えました。無料のWi-Fiサービスもあるみたいでした。
8:00頃に友人宅にタクシーで向かい、そこから友人の車に乗り換えて都内を出発。藤岡ICを降りてすぐのところにある、道の駅ららん藤岡に10:15頃に立ち寄りました。
夏は噴水のでる丸い広場を中心に大きく4つの建物が囲んである複合施設でした。農産物の直売所やカフェ、ロハス食品のお店や肉の駅と言う名の上州麦豚という群馬特産豚がメインの精肉店、飲食店が連なっていました。ちょっとした地酒や調味料、肉を買って10:45頃に出発。
11:45頃、次のスーパーであるツルヤ軽井沢店に到着。かなり大きなスーパーで、各々必要なものを買い出し。12:00頃スーパーを出発。個人的には自然派系のクラッカーなどが多く売っていたのが嬉しかったです。
スーパーからキャンプ場までは吹雪の中凍った道を進みます。友人のランドクルーザーはこういう悪路にも強く、安心して走行できましたが、道中でスリップしている車もチラホラ。ちょうど目の前を通っていたパトカーに頼まれ、車に積んでいた牽引ロープで、3台ほどの車を道に戻していました。同乗していた友人含め、その姿に見とれすぎて、誰もその勇姿をカメラに収めていなかったのが悔やまれます。そんなこんなで13:00頃、キャンプ場に到着しました。
服装
タイトルでは-10℃となっていますが、当初は「-20℃になるかも」と、このキャンプに誘ってくれた友人に言われていたため、その想定で準備をしました。上の写真の焚き火用ベスト以外は、今回のキャンプで着用したものになります。
まず、極寒キャンプでの服の考え方について色々調べました。すごく暖かいもの単体に頼るのではなく、時間帯に応じた温度変化や状況に対応できるよう、レイヤリング(重ね着)を構成するというのが基本のようです。ということで、各部位の重ね順に沿って、アイテムを紹介します。
[上半身]
・アンダーウェア
ひとつ前の記事でも紹介した、MILLET(ミレー)のドライナミックメッシュショートスリーブです。夜には氷点下になるキャンプ場に合わせた服装でいても、車での移動中や日中のテント設営時などは気温も高く、動きに応じて体温も上がるため、汗をかきます。しかしこの汗が乾ききらないまま気温が下がると、一気に冷たくなり、体温を奪っていきます。そこで、素早く吸汗して一つ上の層の服(ベースレイヤー)に汗を逃し、その汗で濡れた布とも距離を作れる、厚手のメッシュのアンダーウェアがかなり効果的です。一見寒そうに見えるこの透け透けの服は、温めるためではなく、冷めないための必須アイテムなんです。
・ベースレイヤー
暖かいインナーとして優秀なのが、メリノウール性のインナーです。メリノウールとは、オーストラリアやニュージーランドで飼育されているメリノ種という羊の毛でできた天然の繊維で、ウールの中では最上級の素材です。湿気を吸って熱を発生させ、しかも繊維自体が熱を逃しにくいために高い保温性を誇りりつつも、汗と共に服の中の蒸れも放出するため、逆に夏に着ても快適。さらに天然の免疫機能によりニオイの原因とな細菌を抑制することによる防臭機能もあるという、超高機能素材です。
先程紹介したメッシュのアンダーウェアが逃した汗で発熱し、しかもお風呂に入れないキャンプでも防臭されて快適さを保てるという意味でも最適なアイテムです。
メリのウール性のインナーは各社から出ていますが、コスパのいいモンベルのスーパーメリノウール EXP. ラウンドネックシャツにしました。モンベルからはL.W(ライトウェイト)、M.W.(ミドルウェイト)、EXP.(エクスペディション)の3種の厚さとラウンドネック、ハイネック、Vネック(Women'sはラウンドネック、タートルネック、Uネック)の3種のネックが出ていますが、こちらのEXP.は厚いだけでなく、ウールの乾きにくいというデメリットを解消した速乾性が付与されているのと、空気の層を作れるボックス構造になっているのが魅力で選びました。
・インナー
なんとなくベースレイヤーの肌着感があるものが外に見えるのが嫌なので、前回も着ていたUNIQLOのソフトタッチ タートルネックT(長袖)で首も温めつつ肌着を隠しました。
・ミドルレイヤー1
このレイヤーから、フロントジップで開閉できる脱ぎ着がしやすいものに。毛足が長く、保温性もあり、しかも軽いモンベルのフリース クリマエア ジャケットにしました。実際のキャンプでは設営時や車移動の際はこれより上のレイヤーを脱いだ状態がちょうどよかったです。また、このレイヤーもまだ中間着なので、なるべく上に服を重ねてもかさばらないよう、タイト目サイズ感にし、フードのないものにしています。
・ミドルレイヤー2
ここまで重ねてきたレイヤーがその通気性で発散した熱を閉じ込める最大の空気の層として、ダウンを挟みます。これを脱ぎ着することでかなり温度調節ができるので、着ない時に収納しておくことも加味して、暖かさと軽さのバランスがちょうどいいモンベルのアルパインダウンパーカーを選びました。首元がかなり覆われる構造になっていて、かなり暖かいです。はじめはこれも着込んで待ち合わせ場所に向かったのですが、朝の時点で7℃近くあった都内では汗をかくほど暑かったので脱ぎました。
ちなみにモンベルのダウンはコチラのページの中央にある「ダウンクロージングのラインナップ」というマトリックスがスペックの把握にちょうどいいです。
・アウター
以前の記事でも紹介したPUEBCOのミリタリージャケットです。こちらのURLの写真とは違い、自身のものは表裏でカーキとホワイトが切り替えられるリバーシブル仕様だったので、雪景色に合わせて白を表にして着用しました。こちらは防寒というよりも、火の粉や雪、汚れや焚き火の匂いからダウンを守る目的が大きいです。
・グローブ
寒い中でもYouTube用のカメラをスマホを使って遠隔で操作する必要があるので、タッチパネル操作のできるグローブを購入しました。薄いですが十分暖かかったです。元々レイヤリングする(この上に手袋を重ねる)想定で作られているようで、
ごわつき感も少ないのがよかったです。
・帽子
ダウンパーカーで首元はカバーできているのですが、耳の寒さに備え、耳当て付きのフライトキャップであるhalo commodityのMEDERE TRECK CAPを購入。結果的には耳当てを使う瞬間はありませんでした。
[下半身]
・アンダーウェア
上半身のベースレイヤーと同じ素材の、モンベル スーパーメリノウール EXP. タイツ。肌触りも良く、かなり暖かくておすすめです。
・ミドルレイヤー
そのまま普段着でも使えるnano・universeのリラックスコーデュロイパンツ。このままキャンプ場以外の場所を歩く際にも違和感なく履け、価格も安いのでキャンプでラフに使ってもいいかというバランスで着用しました。ウエストにゴムが入っていたり、紐で調整できるので、そのまま履いて寝袋の中で寝るのにも楽です。
・アウター
アウターウェアは焚き火対策で綿性のものも検討したのですが、トップスに比べて脱ぎ履きが面倒なので、防水性と寝袋での履き心地を優先しました。シルエットがスリムなTOPO DESIGNSのフリースパンツをチョイス。膝とお尻部分はDWR加工でダメージにも水にも強い素材に。実際に使ってみましたが、自身が使っているのがVIRE STOVEだからというのもあるかもですが、焚き火の火の粉のダメージはなかったです。
・インナーソックス
足も身体動揺、汗冷えの対策として、薄手の5本指ソックスであるジオラインL.W. 5トゥソックスを購入。
・ソックス
五本指ソックスに重ねる本格的に防寒するための厚手ソックスはモンベルのメリのウールアルパインソックスを。ウールなので保温・吸放湿・防臭の3機能をそろえています。また、丈も長く、ふくらはぎ辺りまで覆うことができるので、膝下から暖かさを担保できます。
・シューズ
以前のキャンプで履いていたPALLADIUMのPUDDLE LITEですが、VIRE STOVEは炎が天面からしか出ないのをいいことに、両側面に足を近づけていたところ、熱で溶けてしまったので、新しい靴を探すことに。
アウトドアシューズブランドの老舗であるDannerから選ぼうと思いつつ色々見てみたところ、好きな形であるDanner Lightは側面のナイロンの耐火性が不安。しかし熱で溶けなさそうなオールレザー製で当てはまるMountain Lightは、トレッキングシューズっぽい形で好みじゃない。
そんな中、Dannerが2016年に裏腹系ブランドのSOPHNET.とコラボしたモデルであるZIP UP BOOTSをネットで発見。形はDanner Lightらしさがありつつオールレザー。しかも脱ぎ履きの多いキャンプにありがたいサイドジップ採用。これしかないと思い、店頭で試着したDanner Lightのサイズ感で探して見つけたヤフオクで購入。規格が違うのか、同サイズのDanner Lightよりブカブカだったので、純正インソールを購入して底上げしました。それでもまだ隙間があったのですが、結果的には上記に書いたような厚手の靴下を履くという意味ではちょうどいいサイズ感でした。
と、このように万全の装備で挑んだ結果、周りの友人が寒さを訴える中、自身は身体の寒さとは無縁で過ごすことができました。唯一、雪の積もった地面についている足先だけ、どうしても寒さを感じた為、薪を敷いてしの上に足を乗せて雪と距離をとったり、カイロを入れることで対策しました。
新しく導入した道具
今回購入したものの多くは上に挙げた防寒服がほとんど。それ以外のアイテムも、基本的には寒さ対策として必要だと思ったものだけでした。
・皿洗い用グローブ
結果的に、今回のフィールドが温水の出る暖かい水場だったので不要だったのですが、真冬の外で水しか出ない水場のキャンプ場でカトラリーやクッカーを洗うのは地獄。そんな時に備えて、防水防寒手袋としてTEMRESの02 Winterを購入。水は中に入れないのに中の水蒸気は発散するハイテクなアイテムなので雪遊びをする際の手袋にも良さそうです。自身は常に焚き火のそばにいるため、熱で溶けそうなので使いませんでしたが。
・インナーシュラフ
以前最強と謳っていたモンベルのシームレス ダウンハガー800 #0ですが、快適温度が-6℃ということで、-20℃になるかもしれないキャンプ場に持っていくには不安がありました。そこで、寝袋の中に入れることで、快適温度を1シーズン分引き上げることが出来るインナーシュラフである、SEA TO SUMMITのブランケット サーモライトリアクター フリースライナーを購入。生地の薄さに反し、-10℃の夜に、雪の上に立てたテントでコットを使わずにマット越しに寝ても全く寒くありませんでした。
・アンダーキルト
こちらは購入したのではなく、友人に譲っていただいたアイテムであるOneTigrisのアンダーキルト。ハンモックの底面に外付けして、風や地面からの冷気を防ぎます。今回はハンモックではなく急遽テント泊になったため、SOLのサバイバルブランケットの上にこれを敷き、その上にエアマットを置いて、後述するムートンラグを重ねた更に上に、寝袋を置きました。重ねまくったのでどれの効果かはもはやわかりませんが、背面の冷えは皆無でした。
・ダウンソックス
服もそうでしたが、強固な防寒対策をしても唯一寒さを感じたのは足元。特に寝る時に足が冷たいとなると、まず寝られません。そんなストレスは感じたくないので、ダウンソックスで暖をとります。ISUKAのダウンプラス テントシューズを購入。万全を期して、後述するハクキンカイロを片足に1つづつ投入したことで、快適に眠ることができました。
・カイロ
繰り返し支えてプロダクトとしてもかっこいい、燃料タイプのカイロで暖をとりたくて1923年からのロングセラー商品であるハクキンカイロを購入。対応しているベンジンを入れ、触媒をライターなどで温めることで、最大約24時間もの間、暖かさが続きます。先述した通り、ダウンソックスの中に片足につき1つづつ投入して寝たことで、非常に快適に眠ることができました。
・ムートンラグ
キャンプ中に睡眠時間を除いて最も長くとっている体勢は、おそらく椅子に座っている姿勢ではないでしょうか?夏でも快適に座っているような椅子では、冬に座ると下からの冷気を感ざるをえません。そこで天然の子羊のムートンラグが効果的です。座った瞬間の冷え感もなく、隙間風も防ぎ、座り心地も良く、焚き火の火の粉で燃え広がらないという、キャンプに最適なシートカバーです。メリのウール同様、吸湿・放湿をしてくれるため、なんと夏もさらさらと快適に使えるという万能アイテムです。キャンプ時以外はワークデスクの椅子に敷いて使っています。
これでほぼオールシーズンのキャンプを経験したことになるので、季節に応じた追加アイテムはもうなくなるはず…です。次のステップは不要なものを減らしたり、軽量製やコンパクト製を意識した買い替えになるのではと思います。
帰りの寄り道
行きの道中にも通りがり、帰りに必ず行こうと話していた、星野温泉 トンボの湯でお風呂に入りました。星野リゾート系なので当たり前ですが、設備がとにかく綺麗で、人も適度に少なく、かなりゆとりのある空間になっていました。しかしサウナだけは、コロナの問題で人数の上限が7名までとなっており、常に満員状態。うまくタイミングを見計らって入らなければいけない状態に。水風呂は外にあるため非情に冷たく、いい感じに締まるおかげで、整い方が段違い。完全にトリップしました。“飛べる”サウナです。
ご飯は中軽井沢駅の真前にある、あってりめんこうじ。「あっさり」と「こってり」の中間である「あってり」なラーメン。天下一品の「こっさり」の発想ですね。お昼時にはかなり並ぶタイプのお店らしいのですが、ラストオーダーである15:30ギリギリである14:50頃に駆け込んだおかげか、自分達以外誰もいない貸切状態でした。メニューの種類も多く、どのメニューも美味しかったです。
今回の様子を動画で
-10℃の極寒キャンプはこんな感じでした。noteでは細かい情報やギアの購入先などを紹介していますが、キャンプ当日の雰囲気は別途YouTubeで公開していますので、ぜひそちらもご覧いただければと思います。
それでは次のキャンプの紹介もお楽しみに。
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