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森ぶら♪ きのこスイッチ
7月の森ぶらイベント「キノコ探し」を翌日に控え、その事前レクチャーとして、きのこちゃんと森を歩きました。(きのこちゃんは油山市民の森自然観察センターの、キノコの先生です)
注意)一度、きのこちゃんのキノコ愛に触れると、誰もがキノコスイッチONになり、キノコ、キノコ、、、と夢中になってしまいます。
7月に入って大雨が続き、この日は束の間の休雨日。セミもトンボも今ぞっとばかりに飛び立っている。そして地面には、あるぞあるぞキノコ!!
観察センターの入り口前に、何種類ものキノコが生えています。
きのこちゃんが、次々と解説をしてくれますが、その名前をメモするのが大変で、4つ目であきらめてメモを止めました。名前を覚えるより、いろいろな種類を探してみよう!ということに変更(笑)
切株の周りに、すごくたくさんのキノコがある!との事で、近づいて見ると、うわっっ!!碁石!?いきなりきたー!見たいと思っていたキノコを目の前にして大興奮です。コップの中に碁石のような粒が入っているように見えませんか?本名はスジチャダイゴケ。
ちょうどよく、小さな枝に開く前と後が並んで生えています。この碁石のような粒の中に胞子ができ、雨粒で跳ねてコップから飛び出す仕組み。凄ーい!
爪先のオレンジ色の点をよく見ると、画びょうの様な形をしています。これは、ニセキンカクアカビョウタケ。落ち葉の分解初期を担当しているキノコ。分解が進んだら、別のキノコにバトンタッチ。そうやって葉っぱの形はどんどんくずれて、土に還っていくそうです。
そしてすぐ横に、オレンジ色のひょろ長いシロソウメンタケの仲間が生えています。名前はシロだけど、赤も紫もあるそうです。こんな棒みたいなキノコもあるんですね。素麺って名前も面白いなぁ。で、その横の白いのが、イヌセンボンタケ。犬?植物の名前でもよくありますが、犬が付く名前は、役に立たないとか、食べても美味しくないという意味で付けられます。犬好きには納得いかない意味であります。
お次は切り株に生えている、しじみ貝そっくりのシジミタケ。このキノコは傘の背中側で木に付く種類。そして横にはキクラゲも生えていて、切り株はキノコのワンダーランド。
珍しい形のキノコが続出です。クロアシボソノボリリュウタケ。ハートの頭もいい感じ。
これは柄が長く伸びるズキンタケ。かわいい頭巾は、小学校の給食係の帽子に似てるかも。
キノコには、傷つけると変色したり、乳液が出たりする種類もあります。ヒロハウスズミチチタケもその種類ですが、雨に濡れていて、今日は乳の出が悪いです。
饅頭型キノコの、ニセショウロの仲間。松露とかトリュフとかは高級食材ですが、こちらは”ニセ”が付くので食べられません(有毒)。唐津銘菓の「松露饅頭」という和菓子を知っていますか?キノコは入っていませんが、こし餡が薄皮に包まれていて、とても美味しいですよ。断面はどちらが饅頭か見分けが難しいくらいそっくりです。こんど並べてみますね。
落ち葉から生えているのは、そのまんまの名前で、オチバタケの仲間。
落ち葉は、土の生き物に食べられて粉ごなに小さくなることもあるけれど、最終的には、キノコ(菌)によって分解され、土になっていくそうです。
それじゃぁ、世の中キノコだらけってこと??そうです、私たちが普段、キノコと呼んでいるのは、キノコの本体ではなく、胞子を飛ばす時の部分的な姿。キノコの本当のからだは、白いワタのような細い糸の集まりです。それはまさに、カビ!カビですよ!
キノコはカビの仲間で、キノコと呼ぶかどうかは、胞子を飛ばす時の、このキノコ型の姿が目に見えるかどうかという、曖昧な違いなのでした。
ふと気づくと、もう一時間以上もスタート地点の観察センター前にいます。しかもここには、まだいっぱいキノコがある、、このままスタートしたような、していないような感じで終わるのか‥‥?やはり少し移動しよう。
斜面にツチグリの幼菌がいっぱい顔を出しています。この少年の趣味はツチグリをポフポフつつく事で、子孫繁栄の手伝いを勝手出ているそうです。ツチグリについては、きのこちゃんの解説をぜひ見てください(油山市民の森HPへ)
中央広場に出るとすぐ、きのこちゃんがモミジバフウの木にかぶりつきです。ヤバいっす!もうこれほんとヤバいっす!と言いながら、私には見えない何かに夢中になっています。通りすがりの人々に、どうしたんですか?と心配されても動じません。
彼女の目に映る宝物は、この白やグレーの頭を持つ「変形菌(粘菌)」
ねばねばアメーバの変形菌が胞子をまく時の姿です。森の宝石とも言われるほど、色や形が多種多様にあって、その筋の人々を魅了しています。きのこちゃんも熱心に観察されています。
マクロレンズで撮影中、、、どこにあるのか素人には分からない!変形菌は胞子をまく時の形がキノコに似ていますが、菌類ではありません。
後日きのこちゃんより、顕微鏡で観察した画像をいただきました。キラキラできれいですね~。ムラサキホコリの仲間で、和名はまだ無いそう。
そしてまた、この場で一時間近く過ごし、本日の観察は終了。翌日の「森ぶら」の下見でしたが、移動距離数十メートルの最短コースで、非常に濃い内容になりました。
そして私も、きのこちゃんによって、しっかりキノコスイッチを入れられたのでした。
前夜にキノコ入門書をざっくり読んだのですが、、、自分はキノコの事をまったく分かっていなかったと、大ショックを受けるくらいの内容でした。「きのこ博士入門」はタイトル通り入門者におススメです。そしてこの本に登場する珍しいキノコたちが、油山でも観察できますよ!
※表紙のキノコは、カバイロコナテングタケ。写真を撮った人がテディベアみたい!と言っていました。けっこう大きなサイズです。